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縦横無尽のデータディスカバリツール「Oracle Endeca Information Discovery」 - (page 2)

田中猪夫(日本総合研究所 特命研究員)2014年09月16日 12時20分
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Oracle Endecaを「人の軸」で考えたときの強み(疎連携)

 デジタルマーケティングを「人の軸」で考えることは、「モノの軸」を考えるよりはるかに複雑で、なおかつ、B2C、B2Bでプロセスが違う。

 しかし、デジタルマーケティングをチェーンで考えることに違いはなく、サプライチェーンマネジメントが「在庫をフロー」で考え、TOC/CCPMが「時間をフロー」で考えるように、デジタルマーケティング(デマンドチェーンマネジメント)を「フロー」で考える必要がある。

※デマンドチェーンマネジメント:顧客の需要創造から商品開発、顧客開拓、販売促進、引き合い獲得、受注成約に至る需要連鎖にフォーカスする。

 デジタルマーケティングを現状分析し、その基本的な機能・構成要素・工程を「データディスカバリの主要4ツール比較--デジタルマーケティングに活用」では5つの要素・工程に分解した。

(a)「クッキー化」:ブラウザー情報が認識できた段階
(b)「コンバージョン化」:メールアドレスなどの識別できる顧客情報の一部を把握した段階
(c)「リード化」:個人情報のほとんどを把握した段階
(d)「ホット化」:今すぐに購入したいと思っているリードの段階
(e)「顧客化」:商品を購入し、人(顧客)と物(商品)が一致した段階

 一般的にはB2BやB2Cの高額・複雑性の高い商品はこのプロセス(+オフライン)を経て購入に至るため、各プロセスをいかに確実に早く取りこぼしなく「フロー」を作るかが課題になる。

 余談だが、プロセス化しにくいのはB2B2Cのメーカーである。

 メーカー側は(e)の工程がない場合は多く、自社の商品をどこの誰が購入したかが分かりにくい。

 「現代の経営」(上、下:P.F.ドラッカー 著 野田一夫 監修 現代経営研究会 訳:1987年4月16日 初版発行)には「ビジネスはマーケティングとイノベーションで顧客を創造すること」とあるが、肝心の「顧客が誰か」が分かりにくい。「顧客創造」が「顧客の潜在意識のなかにあるマスクドニーズに商品やサービスを提供すること」であるならば、「顧客が誰か」が不明瞭だと、マーケティングとイノベーションがうまく行かず、結果としてシェアが激減するということになる。

 (e)をID-POSに求めたり、自社の直販サイトや会員制のサイト(例えば、Kao PLAZA)に求めたり、(e)の個人を特定せず、データから顧客の動向を探る「データ経営」に求める特命組織を作り(例えば、花王の「デジタルビジネスマネジメント(DBM)室」)成果を出したり、エスノグラフィー(例えば、「消費者調査にエスノグラフィー手法を導入」)を行ったりと、「顧客創造」手段を複数持つことは「勝ち続ける経営」に直結する。

  • ID-POSで(e)と、顧客のライフスタイルなどを把握(共通カードなど)
  • 自社の直販サイト、会員サイトで(e)を把握(オウンドメディアのソーシャル化が有効)
  • データ経営で顧客の動向を探る(データサイエンティストが必要)
  • エスノグラフィー(行動観察)からマスクドニーズを探る(グローバル展開にも効果的)

 さて、デジタルマーケティングとOracle Endecaに話を戻す。

(a)「クッキー化」:CEM/アドテク
(b)「コンバージョン化」:CEM
(c)「リード化」:CEM/MA/CCCP
(d)「ホット化」:CEM/MA/SFA
(e)「顧客化」:CEM/CRM

※CEM(Customer Experience Management)、MA(Marketing Automation、B2B)、CCCP(Cross-Channel Champaign Management、B2C)、SFA(Sales Force Automation)、CRM(Customer Relationship Management)

 CEM(Customer Experience Management)はデジタルマーケティング(デマンドチェーン)のすべてのプロセスで必要になり、自社の販売する商品やサービス、さらには付加価値として自社商品を利用するユーザー環境までをマネジメントする。

 例えば、世界的にデジタルマーケティングが成功しているRedBullのグローバルサイトは以下のような構造になっている。

 一般的な日本のグローバルサイトは製品情報が主体で、動画は「動画広告」だが、RedBullは「シェアしたくなるコンテンツ」が主体。単一商品のグローバル企業サイトだが、実はOracle WebCenter Siteにより構築されていることはあまり知られていない。RedBullのCEM事例は研究すべき価値のあるものではないだろうか。

 OracleはアドテクノロジーはBluekai、MAはEloqua、CCPMはResponsys、SFA/CRMはSiebelと揃っており、BlueKaiとEloqua、Responsysは「Oracle Marketing Cloud」としてクラウドで提供される。

「Oracle Marketing CloudとOracle Encdecaと疎連携可能」
「Oracle SiebelとOracle Encdecaと疎連携可能」

で、(a)「クッキー化」、(b)「コンバージョン化」、(c)「リード化」(d)、「ホット化」、(e)「顧客化」の各プロセスを、詳しくは後述するがP&Gの事例「P&Gは情報をどうビジュアル化しているか」(要無料会員登録)にあるような可視化(フローを含め)をすることがOracle1社で可能になる。

 ただし、P&Gの事例になかでも語られているように、デジタルマーケティングのログデータなどは、ガバナンスとして用いるデータは特定し、なおかつ

「データディスカバリツールで即座に利用できるようなレディネス(readiness)な状態にすること」

が、日本人以外のマネジャーも使うグローバル企業には肝要なことだろう。

 問題は全体最適につながるように(a)~(e)のプロセスのどこから手を付けれるかということだが、私は「モノの軸」+「人の軸」は後工程から、(e)→(d)→(c)→(b)→(a)順の改善を経験的にお薦めする(第1回:ネギに学ぶデジタルマーケティング経営)。

コンサルタントやプロフェッショナルサービス

 前回の「データディスカバリの主要4ツール比較--デジタルマーケティングに活用」で紹介したデータディスカバリツールではコンサルタントやプロフェッショナルサービスの体制を強調していた日本法人は少なかったが、コンサルタントやプロフェッショナルサービスには、

「ビジネスの側面」と「テクノロジーの側面」

がある。

 例えば、アナリティクス界のドラッカーと称されるトーマス H.ダベンポート氏がハーバードビジネスレビューで紹介しているP&Gの事例「P&Gは情報をどうビジュアル化しているか」(要無料会員登録)にある、

『「whatだけでなく、whyそしてhowに至ること」と呼んでいる。意思決定者がデータを見た時、重要な分野で何が起きたのか(what)を把握するのに時間を取られれば、その原因(why)と対処法(how)に行き着かないかもしれない。優れたビジュアル表示は常に例外管理に焦点を当て、マネジメント上の注意が最も必要とされるポイントを明らかにする。』

つまり、

「WhyそしてHowに至ること」
「優れたビジュアル表示は常に例外管理(Management by exception)に焦点」

などを実現するには「ビジネスの側面からのコンサルテーション」と、それを実装する「テクノロジーの側面からのコンサルテーション」の両方が必要になる。

 他のテクノロジーツールと違いデータディスカバリツールは複雑なインプリメンテーションを必要としないタイプのものなので、機能的に実装可能ならば、トーマス H.ダベンポート氏が絶賛するP&Gの事例は、多くのデータディスカバリツールに水平移動し、積極的にキャッチアップすべきだろう。

 さらに、P&Gでは、マーケティング系のデータを含め、

(1)販売価格、数量、利益の予測
価格と数量シェアの分析と予測
(2)価格とプロモーション
弾力的価格設定、キャンペーン効果
(3)サプライチェーン
陳列在庫
(4)ビジネス・インサイト
製品の価値と数量シェアのトラッキング
(5)リテール・インサイト
小売販売者と製品のトラッキング
(6)コンシューマ・インサイト
コンシューマの購買行動とロイヤリティのトラッキング

などが行われているが、さらに、データディスカバリツールは時間軸(第4回:時間軸で学ぶデジタルマーケティング経営)で、

「過去からのデータ(財務管理のデータ)」
「現在からのデータ(POSデータ、日次決算データ)」
「未来からのデータ(iBeaconからのデータ、アクセスログ、MA/CCCPのデータ、SFA/CRMのデータ、プライベートDMPのデータなど)」
※MA(マーケティング・オートメーション)、CCCP(クロス・チャネル・キャンペーンマネジメント)

 3種データを扱うことができるため、カスタマージャーニー(Customer Journy)をデスティネーション(destination)までのフローと捉えることも可能となる。サプライチェーンマネジメントが「在庫のフロー」にフォーカスし、TOC/CCPMが「時間のフロー」にフォーカスしたように、データディスカバリツールを活用し、デジタルマーケティングをフローで考えることは、プロセスを分解しやすいB2Bや高額商品(第8回:TPSから学ぶデジタルマーケティング経営)でも大きな効果を生むだろう。

 B2Cにおいては「個(セル)」のブランドとグローバル、「個と個の関連性」など、データディスカバリツールを活用すれば、通常のデジタルマーケティングがリーチすることができない深淵まで導いてくれるだろう。

 Oracle Endecaをデジタルマーケティングにおける最終後工程と位置付けることで、その前工程のソリューションをOracle社がすべて取り揃えていることから、製品そのものの連携は行いやすいはずだ。

 しかし、最も肝心なことは、ユーザー毎に違う全体最適をどうデザインし、「デジタルマーケティング=経営」に近づけるコンサルティングやプロフェッショナルサービスではないだろうか。

デジタルマーケティングでの活用事例

 今後はOracle Endecaを含め、DomoQlikViewSpotfireTableauLumiraYellowfinのデジタルマーケティングにおける日本国内ユーザーの事例も紹介したい。

 また、データディスカバリの各種情報のアップデートは、「データディスカバリ活用研究会」を通じて行う予定である。

田中猪夫
◇ライタープロフィール
田中猪夫(一般財団法人 日本総合研究所 特命研究員)
1959年11月19日、岐阜県生まれ。
日本版システム工学を専門とする。
20代に、当時発売したばかりのPCでのVARビジネスを創業
30代に、イスラエルITテクノロジーの日本への展開に尽力
40代に、外資系ITベンダーの日本法人のマネジメント
現在は、一般財団法人日本総合研究所 特命研究員。
デジタルマーケティング経営研究会」を主催・運営。
データディスカバリ活用研究会」を主催・運営。お問い合わせはこちら
主な著書
勝ち続けるための- デジタルマーケティング経営(原著)」PDF版
あたらしい死海のほとり」(Kindle版)
New shores of the Dead Sea」(Kindle版)

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