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データディスカバリの主要4ツール比較--デジタルマーケティングに活用

田中猪夫(日本総合研究所 特命研究員)2014年06月06日 11時00分
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次世代BIのデータディスカバリツール

 ガートナーの「Magic Quadrant for Business Intelligence and Analytics Platforms 20 February 2014」)によると、リーダーと位置付けられたビジネスインテリジェンス(BI)製品のうち3社がデータディスカバリベンダという結果がでている。

 従来のBIは、最初に「何か可視化したい」(定型業務)という目的があり、IT部門とともとに実装を行う。次世代BIであるデータディスカバリは、「何かを探索したい」(非定型業務)という目的はあるが、その「何か」がはっきりせず、使い込む中で「何を見るべきか」が分かってくるタイプのツールだ。

 1980年代から1990年代前半にユーザー部門主導で浸透したEUC的(End User Computing)でオーガニックなニーズが、ビックデータという流れの中で再び表出し、データディスカバリツールに注目が集るようになった。

 今回の記事では、グローバルに利用されているデータディスカバリ主要4ツール(Domo、QlikView、Spotfire、Tableau)を、デジタルマーケティングデータで活用する場合の比較を行ったものである。

○×式製品比較の失敗研究

 私は、前職で10年間ほど米国のサイトマネジメントツールの日本法人のビジネスをお手伝いしていた。その時にメディアの方から〇×式の機能比較表がExcelシートで送られてくるので、バージョンアップされるたびに更新していた。依頼されるメディアの人たちは、各製品の設計思想(コア・コンピタンス)や特徴的な事例を学ぶ訳でもなく、単に機能を一覧することを漏れなく行うことに注力する。

 この作業を数年繰り返すと、各サイトマネジメントツールの表面的な〇×の差があまりなくなってくる訳だが、ここには大きな落とし穴がある。

 例えば、製品情報サイトを得意とするサイトマネジメントツールと、そうでないものを比較するとき、導入を検討する企業がグローバルな製造メーカーであれば、製品情報の多言語化がしやすいものが、導入後にスムースに活躍できるはずだ。しかし、〇×式だと、多言語化できるかどうかは両方とも〇となる(HTMLのテキストを多言語化できれば〇になる)。導入後に製品情報を多言語化しようとすると、途端に製品単位で翻訳することもできず、翻訳メモリの管理がデザインに影響したり、結局、翻訳コストの問題を言い訳に中途半端なグローバルサイトになってしまう。

 企業が自社の業務を改善するためなどに製品を導入する場合、自社の現在と将来のニーズを考察して導入すべきなのだが、身近な声の大きな人と同じものを導入すると安心だという心理と、各メディアのあおる〇×式の比較という悪癖からの導入が推進され、その企業のグローバルビジネスに影響を及ぼしてしまう。

 話を具体化してみよう。グローバル企業で、

「デジタルマーケティングデータをデータディスカバリツールで、ウェブサイトやスマホ、タブレットなどの複数デバイスにアクセスされたログ情報を分析・可視化し、それをトップマネジメントが経営ツールにすることを目的とするプロジェクト」

を行うとすると、〇×式で選ばれたサイトマネジメントツールによるグローバルサイトが、

「韓国ではハングル語でなく英語サイト、トルコでもトルコ語でなく英語サイト、サウジアラビアでアラビア語でなく英語サイトへのアクセスされた情報から得られたデータ」

となっている場合と、

「韓国はハングル語、トルコはトルコ語、サウジアラビアはアラビア語で構築されたグローバルサイトにアクセスされたデータ」

の場合、どちらが経営に役に立つだろう。明らかに後者の方がデータが正確で、しかも顧客指向ではないだろうか。

 さらに、オムニチャネル、O2Oなどでも、POSなどで管理されている商品はSKU(Stock Keeping Unit)単位、デジタルマーケティングのウェブ、タブレット、スマホサイトはページ単位でデザインされていて、オンライン側がページで管理され、オフライン側がSKU単位で管理されていては「O≠O」となり、オンライン側とオフライン側の整合性が取りにくく、オム二チャネル、O2Oに適応できず、アクセスログのデータと売上データの因果関係を探りにくい(特集:CMOになれる--企業を救うデジタルマーケティング経営第7回:地球儀から学ぶデジタルマーケティング経営を参照)。

 こうしたことから今回の比較記事では、今後日本で大量に導入されるであろうデータディスカバリツールが、〇×式で共通機能(可視化、ダッシュボード)の細部比較で導入される弊害を避け(失敗研究)、ユーザーがそれぞれの製品の設計思想(コアコンピタンス)を理解し、さらに自社のニーズを理解した上で導入が進められるための水先案内となるべく企画されたものである。

 さらに、データディスカバリツールの活用は、本社が日本にあっても、マーケティング部門は北米、欧州、MEA(Middle East and Africa)、APACに分散していたり、ユーザー部門は拠点という意味では各国に存在し、グローバルなサプライチェーンや設計なども行われるならば、グローバルで活用できるツールであるべきだと、ツールはグローバルなものに絞り込んだ。その他の製品については、今回は俎上に載せていないが、機会があれば、ユーザーの導入・活用事例という形で、コアコンピタンスを明らかにできれば幸いである。

想定読者はトップマネジメントとマネージャー

 デジタルマーケティングのデータを含めたデータディスカバリは、経営におけるデータを時系列で整理すると、「未来からのデータ」となる。その他の経営データを整理すると、

「過去からのデータ(財務管理のデータ)」
「現在からのデータ(POSデータ、日次決算データ)」
「未来からのデータ(アクセスログ、MAのデータ、SFAのデータ、アドテクのデータなど)」

の3つになる。ちなみにMAのデータとはマーケティング・オートメーションツールからのデータ、SFAのデータとはセールス・フォース・オートメーションからのデータ、アドテクのデータとは、DMP(データ・マネジメント・プラットホーム)などからのデータを指す(第4回:時間軸で学ぶデジタルマーケティング経営を参照)。

 これらのデータを可視化し、「何かを探索したい」ユーザーは、トップマネジメントとマネージャーの2種類だ。

 トップマネジメントの場合は、可視化されたデータをその場で瞬時に変え、「何かを探索するため」別の角度から見たい、あるいはグローバルに全体を俯瞰して可視化したいなどのニーズ。

 マネージャーの場合は、「何かを探索するため」可視化するデータを統計解析し、その因果関係を模索したり、データをさらにブレークダウンしたいなどのニーズ。

 また、トップマネジメントやマネージャーが、「Management by exception」(例外管理)にフォーカスしていることは書くまでもない。

 ここでいうマネージャーは、ドラッカーの定義する「経営担当者」を指す。

「現代の経営」(上、下:P.F.ドラッカー 著 野田一夫 監修 現代経営研究会 訳:1987年4月16日 初版発行)より、

「『経営担当者』というのはマネージャー(Manager)の訳語である。本書では、この語は事業の諸機能(顧客の創造、マーケティング、革新などを中心とする諸機能)を担当する責任と権限を持つ人々を指しており、その中には、社長から職長に至る広範な層が含まれている。マネージャー(経営担当者)と区別されるのは、『一般労働者』(Ordinary worker)と『専門家職員』(Professional employee)とであり、企業はこの3つの集団から成り立っている。……中略……わが国のいわゆる『部課長』とマネージャーとを実体的に同一視することができるかどうかは一概には言えない。」

私のスタンス

 私のスタンスは、外資系コンサルティングファームのような戦略コンサルタントでなく、「デジタルマーケティングが分かるビジネスコンサルタント」で、基本的にドラッカーの「ビジネスはマーケティングとイノベーションで顧客を創造すること」を信条にしている。

 したがって、マーケティングとイノベーションは経営と一体で、マーケティングは広告やプロモーションだけのことではないと考えている。そのため、マーケティングと経営を一体と捉えた「勝ち続けるための―デジタルマーケティング経営(原著)」(Gumroad 2014年1月4日発売)を出版し、「デジタルマーケティング経営研究会」を主催・運営している。

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