オムニチャネル、O2Oなどが話題になるが、POSなどで管理されている商品はSKU(Stock Keeping Unit)単位、デジタルマーケティングのウェブ、タブレット、スマホサイトはPage単位でデザインされているこが多い。Online側がPageで管理され、Offline側がSKU単位で管理されていては「O≠O」となり、Online側とOffline側の整合性が取りにくく、グローバルな拡張性もない。オムニチャネルをドメステックで実現する際もROI(Return On Investment)計測などが行いにくい。
販売時点情報管理(POS)において、物は販売する商品、情報(価格など)はバーコードなどに入った情報になる。そしてこれらの物と情報はひとつになり(物情一致)、レジでピット音がすることで正確な管理が可能となる。POSを使うすべてのコンビニはSKU単位で商品が管理されているが、これはイトーヨーカドーが1965年の時点でSKUを導入したのが最初の一歩があったから実現されたことだ。この最初の1歩がなければ、日本にこれほど多くのコンビニは存在しなかっただろう。
例えば、ここにカメラのウェブサイトがあるとする。
デジタル一眼レフカメラを買った人がいるとしよう。この人が交換レンズを追加購入したいと思い、オプションレンズにどのようなものがあるかを調べるためにカメラメーカーのサイトを訪れたとする。このとき、まずは自分の所有するカメラのページに行き、オプションに何があるかを探すであろう。ところがカメラ本体とオプションレンズの組み合わせは別のページに品番の表があるだけなので、ユーザーは自分の所有するカメラの品番をメモして、これを表で照らし合わせるという手間を強いられる……。
このカメラのサイトが
「1ページに複数の商品を1つのWebページ(HTML)単位で管理」
していると、カメラとオプションはひとつの粒度となってしまう。つまり、異なる商品が同じページに並ぶ状態になり、アクセス情報はカメラをアクセスしたのか、オプションをアクセスしたのかの判別がつきにくい。ひとつのカメラに色が、黒、ゴールド、シルバーと3つあれば、どの色をアクセスしたか、どの色のカメラの滞留時間が長かったかの情報は、需要の予測などにつながる。
モバイルファーストであれ、PCサイトであれ、
「1商品を、1コンテンツ、1SKU単位で管理」
で管理することが、今後のグローバルな展開の最初の一歩として肝心だ。
オムニチャネルをグローバルに展開することはないと考える人もいるだろう。例えば、「1商品を、1コンテンツ、1SKU単位で管理」で作られたインドネシア語のモバイルサイトを見て、東京オリンピックに合わせて日本に来た人は、日本のリアルな店舗で買い物をするかも知れない。この売り上げは微々たるものかも知れないが、東京オリンピックで世界中が日本に注目するチャンスをグローバルなオムニチャネルに活かすことも考えられる。最初の一歩として「1商品を、1コンテンツ、1SKU単位で管理」として、その管理単位で「英語」「インドネシア語」「タイ語」「アラビア語」「ドイツ語」「スペイン語」……としておけば、マーケケットのリサーチにも活用できる。
Amazonの優れた点は、本の管理はISBNコードで、その他はAmazonオリジナルなASINコードで「1商品を、1コンテンツ、1SKU単位」で管理し、その単位で多言語化(物流センターのない国もサイトはある)されていることだ。
「ISBN」は、「International Standard Book Number(国際標準図書番号)」の略。「ASIN」は、「Amazon Standard Identification Number」の略で、Amazonグループが取り扱う、書籍以外の商品(電子書籍、CD、DVD、ビデオ、ソフトウェア、ゲーム)を識別する10桁の番号。
今回のゴールSKUなどのリアルな商品管理単位にデジタルマーケティングも合わせ「1商品を、1コンテンツ、1SKU単位で管理」を管理単位にすることで、その後のグローバルな拡張・展開を国内と同じ仕組みで活用することができる。デジタルマーケティングを経営と一体として捉える場合、コンテンツの管理単位をSKUと同じにすることは極めて重要である。地球儀からデジタルマーケティング経営を考察した場合、複雑性の迷路に陥らないためにも、最初の一歩が肝心だ。
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