拙著「勝ち続けるための-デジタルマーケティング経営」では、最も大切なことは「デジタルマーケティング経営はひとりで実践しないこと」と示唆した。デジタルマーケティング経営は、社内の人同士、あるいは社内と社外の人のペアシステムで実践することが成否を決める。
日本にドラッカーをビルトインした経営学者で、(財)日本総合研究所 会長の野田一夫氏は個人のサイトでペアシステムを「サイコ」の製作実話を映画化した「ヒッチコック」を例に解説している。
[889]『PSYCHO(サイコ)』の成功と“ペアシステム”
「『PSYCHO(サイコ)』の破天荒な発想は全ての映画会社に拒否され、そのため彼は広大な自らの豪邸を担保に自己資金で製作を敢行。しかも、苦労の末完成した作品は関係者試写会で酷評された結果、彼は破産に追い詰められました。それを救ったのは、彼の良妻兼仕事上の無二の協力者であったアルマ。脚本家としてまた映画製作のプロとして夫の成功を蔭で支えつづけた彼女は、『PSYCHO(サイコ)』に関しては考えが合わず、久しぶりに自分の新作に没頭していた間に夫の危機に直面させられたのですが、落胆の極にあった夫を叱咤激励し、短時間の間にフィルムの再編集によって失敗作品を驚異的成功作品へと変身させるという奇跡をやってのけたのです。
異色ベンチャーには、洋の東西を問わずペアの創業者が目立ちます。シリコンバレーの半世紀ならヒューレット・パッカード、マイクロソフト、アップル、グーグルなど、戦後の復興・成長期の日本ならソニー、ホンダ、松下電器、リコーなどですが、これは単なる偶然とは思えません。“隼”の設計主任で、戦後は組織工学研究所を主宰した糸川英夫氏は、この方式を“ペアシステム”と名づけて重視したことが思い出されます。」
「お互いの専門が違う」(同じ専門家同士は喧嘩になりやすい)
「年齢差はあまり関係ない」(気が合うことの方が重要)
ペアの相手とのコミュニケーションで、お互いの思考方法、知識、経験が異なるので、違う視点で話すことになり、自分の考えがデセンター(中心が動く)される。
ぺアの相手はコミュニケーションを積み重ねることで、お互いの理解も深まり、会議などでの発言に違う角度から相づちを打ちと、他の人も同調しやすくなる。
ひとりの能力が10の場合、ペアシステムの場合、10+10=20ではなく、10×10=100になり、普通ならできないことが可能となるともいわれている。
門前の小僧習わぬ経を読むの効果で、専門の違うペアの相手の仕事が分かり、ひとりが仕事から一時離れる必要があったときでも、もうひとりが連続できる。
今回のゴールデジタルマーケティング経営の実践はペアシステムで行う。
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