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データディスカバリの主要4ツール比較--デジタルマーケティングに活用 - (page 5)

田中猪夫(日本総合研究所 特命研究員)2014年06月06日 11時00分
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【TIBCO Spotfire】

奥行が深い「TIBCO Spotfire」

 TIBCO Spotfireは、ほとんどすべての大手製薬業のR&Dに標準採用され、製造業の品質管理、金融のリスク管理などに実績が多い。トップマネジメントというよりはマネージャーが活用するタイプ、あるいはトップマネジメントの場合はマネージャーがビジュアル化したものを視覚的かつ対話的に分析するタイプの製品。Spotfireの特徴を「ひとこと」で表すと、

「抽象的な表現だが、奥行きが深いデータディスカバリツール」

と表現できるのではないだろうか。

6種の統計解析などと連携

  • Spotfire1 TIBCO Enterprise Runtime for R(TERR)

 奥行の深さを端的に示す右図「Spotfire1 TIBCO Enterprise Runtime for R(TERR)」をご覧いただきたい。

 この図のS+、Open Source R、TIBCO Enterprise Runtime R、SAS、MATLAB、TERADATA ASTERは、Soptfireに密連携できるもので、通常のデータディスカバリツールの可視化などの機能にさらに強力な統計解析機能などを付加したい場合に有効なものである。TIBCO Enterprise Runtime for Rは、Spotfireクライアントの統計処理エンジンとしても標準的に内包されている。

(1)S+(S Plus)
S+は2008年にTIBCO社に買収されたInsightful社で開発販売され、日本国内ではNTTデータ数理システムで販売されている統計パッケージ。ベースはベル研究所で開発された統計処理言語であるS言語の商用実装版。SpotfireもS+もTIBCO社のもので、SpotfireはS+を連携し、高度な統計解析処理を実装することができる。

(2)Open Source R
R言語はOpen Sourceの統計解析専用言語。日本では2004年頃から「R言語」の解説本が毎年発売されている。計量経済、理工学、医学系の論文などでニーズが高いため、大学などの教育機関でもよく利用される。

(3)TIBCO Enterprise Runtime R
TIBCO社が独自に開発した企業での利用を想定したR言語のランタイム・エンジン。通常のOpen Source Rより10数倍高速に実行することができ、企業でのRの活用を想定した商用互換エンジンとして、オープンソースであるが故のRの欠点を補っている。

(4)SAS
世界的に活用されている統計パッケージ。

(5)MATLAB
MathWorks社が開発している数値解析ソフトウェア。

(6)TERADATA ASTER
Teradata Asterは、並列処理で稼働する、多構造化データの分析を目的とした、リレーショナル・データベースと MapReduce技術を統合したソフトウェア。

 データディスカバリツールのマスクドニーズである、

『「何かを探索したい」(非定型業務)という目的はあるが、その「何か」ははっきりせず、使い込む中で「何を見るべきか」が分かってくる。』

から目標設定した「全員マーケターという発想を組織にビルトインすること」(マーケッティングと経営は一体)の3桁の使命分析、

『3桁:データディスカバリツールをトップマネジメント、ユーザー部門(マネジャー)が導入し、「過去からのデータ(財務管理のデータ)」「現在からのデータ(POSデータ、日次決算データ)」「未来からのデータ(アクセスログ、MAのデータ、SFAのデータ、アドテクのデータなど)」から「何かを探索する」。』

に、6種の統計解析などをビルトインして、未来を予測し可視化することが可能となる奥行きが深いデータディスカバリツールである(統計・数学好きには魅力的ではないだろうか)。

P&GのSpotfireグローバル展開事例

 Spotfireの奥行の深さをグローバルな経営にビルトインした世界最大のFMCG(Fast Moving Consumer Goods:日用品)メーカーであるP&Gの事例から、さらにSpotfireを考察してみよう。

 P&GのSpotfire活用はハーバードビジネスレビュー誌に、Thomas Davenport氏が「How P&G Presents Data to Decision-Makers(英文)」としてスクリーンイメージとともに紹介している。英文のレポートだが、「My cockpit」「P&G managers are conferring in such rooms(写真)」「Heat Map(Country A、Country B、Country C……」などのスクリーンイメージをご覧いただきたい。無料会員登録が必要だが、「P&Gは情報をどうビジュアル化しているか」(日本語版)もある。

 このP&Gの事例は統計解析はSASを利用し、Spotfireに結果を連携し可視化しているものだが、ハーバードビジネスレビュー誌の記事によると、CIOの Filippo Passerini氏は、

『これらのビジュアル表示の目的は、その洗練度合いや独創性でマネージャーたちを驚嘆させることではない。その事業で何が起きているかをひとめで理解し、意思決定しやすくすることである。…それを「whatだけでなく、whyそしてhowに至ること」と呼んでいる。意思決定者がデータを見た時、重要な分野で何が起きたのか(what)を把握するのに時間を取られれば、その原因(why)と対処法(how)に行き着かないかもしれない。優れたビジュアル表示は常に例外によるマネジメント(Management by exception)に焦点を当て、マネジメント上の注意が最も必要とされるポイントを明らかにする。』

と、語っている。

 マーケティング系のデータを含め、

(1)販売価格、数量、利益の予測
価格と数量シェアの分析と予測

(2)価格とプロモーション
弾力的価格設定、キャンペーン効果

(3)サプライチェーン
陳列在庫

(4)ビジネス・インサイト
製品の価値と数量シェアのトラッキング

(5)リテール・インサイト
小売販売者と製品のトラッキング

(6)コンシューマ・インサイト
コンシューマの購買行動とロイヤリティのトラッキング

などが行われている。

 P&GはSASなどの連携で統計解析を行いこれらを実現しているが、企業によってはSpotfireが連携できる6つの統計解析などの中から選び、これらの

『可視化されたCockpitにデジタルマーケティングのデータである「未来からのデータ(アクセスログ、MAのデータ、SFAのデータ、アドテクのデータなど)」』

が含まれれば、「Decision Cockpit」は「未来からの経営」に近づくが、これにはCIOとCMOの連携が不可欠だろう。

 そして、選ばれた統計解析などを使いユーザー部門がEUC(End User Computing)で、さらに深く探求することができる。このように、Spotfireは奥行きが深いデータディスカバリツールであることを理解していただけただろうか。

  • 参考例としてR言語連携:分析アプリケーションから、Rスクリプトを実行

  • 参考例としてSFDCやMarketo連携の例:マーケティングとセールス―アナリティクス連携

 TIBCO社の日本法人は、各産業出身のコンサルタントや、プロフェッショナルサービスを提供する組織を用意しており、また、各産業の業務に精通したパートナーとの連携により、いかにデータ分析を業務にビルトインし、改善に繋げるかということを、顧客と一体となってグローバルにも展開が可能なベンダーだと思う。

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