デジタルマーケティングデータをデータディスカバリで活用した日本の事例を考察してみよう。
アクセス解析ツールのひとつの方法で、「パケットキャプチャー型」という方式がある(GoogleのUniversal AnalyticsやAdobe Analyticsはウェブビーコン型)。「RTmetrics」はパケットキャプチャー型の代表的なものだが、データディスカバリツールのQlikViewを組み合わせ、2桁の使命分析レベル、
『2桁:データディスカバリツールをマーケティング部門で導入し、「過去からのデータ(財務管理のデータ)」「現在からのデータ(POSデータ、日次決算データ)」「未来からのデータ(アクセスログ、MAのデータ、SFAのデータ、アドテクのデータなど)」から「何かを探索する」。』
を実現した「BIQQ」というテンプレートがある。
あらかじめ業務、業種向けテンプレートがあることで、ユーザーのイメージが湧き導入がはかどる例は、身近なところではExcelのテンプレート集、エンタープライズレベルではSAPの製薬業テンプレート、あるいは新薬申請テンプレートなどグローバルに展開されるものなどがある。
BIQQにはマーケティング部門向けのテンプレート(事前定義)が用意されているが、さらにBIQQを利用してマーケティング部門だけでなく、「全員マーケターという発想を組織にビルトインすること」を実践した先進的な企業もある。
それは、企業に対して福利厚生のアウトソーシングをサービスしているイーウェルという企業の事例だが、3桁の使命分析レベルのものだ。
『3桁:データディスカバリツールをトップマネジメント、ユーザー部門(マネジャー)が導入し、「過去からのデータ(財務管理のデータ)」「現在からのデータ(POSデータ、日次決算データ)」「未来からのデータ(アクセスログ、MAのデータ、SFAのデータ、アドテクのデータなど)」から「何かを探索する」。』
この事例を丹念に研究すると、他の企業でも企業の大小に関らず同じようなニーズがあることが分かる。例えば、
「アクセスログ以外の会員情報などは業務システムからAccessやExcelに落とし込み手作業でアクセスログと結合が必要だった」
「ユーザー部門でデジタルマーケティングデータが必要な場合はマーケティング部門に依頼が必要で、両部門とも時間が必要だった」
「月1回の定例レポートが限界、新しい視点での深掘りや、多様なニーズ分析などが困難だった」
「会員情報とアクセス履歴、属性情報とポイント履歴とアクセス履歴、利用履歴とメルマガ登録状況とアクセス履歴などのクロス分析が困難だった」
これらは多くの企業でも今まで諦めていた共通課題ではないだろうか。
この事例の資料はダウンロード可能となっているが、もし、疑問点があれば自分の目でテンプレートなどを確認し、疑問のひとつひとつを払拭してみてはいかがだろうか(三現主義)。
ここからのレポートは、各ベンダーの日本法人を訪問し、データディスカバリツールの尖った部分(コアコンピタンス)をディスカッションし、それをベースにまとめたものだ。
可能であればBIQQと同様にすべての製品について、
「自分の目で確認し、疑問があればそれをクリアーにする三現主義の実践」
を行って欲しい。スピードや使い安さの感覚は文字で表現することが難しく、「現物」に直接触れ、「現実」をとらえることを重要視していただきたい(たとえ、あらかじめ自社部門で導入したい製品があったとしても)。
Domoは日本語の「どうも」から付けられた社名で、2010年に米国で創業された。シリーズCラウンドの125億円の増資により、資本金は現在250億円、エンジェル投資家もそうそうたるメンバーで、成功を有望視されているデータディスカバリSaaSベンダーである。
DomoはManagement by exception(例外管理)をビルトインしている企業であれば、トップマネジメントでもマネージャーでも活用できるSaaSだが、トップマネジメントがすべてを把握するタイプの企業ではトップマネジメント向きのSaaS。
Domoの特徴を「ひとこと」で表すと、
「アジャイル経営のためのデータディスカバリサービス(SaaS)」
と表現できるのではないだろうか。
Domoの日本法人ドーモは、2011年8月に創業された。現在のDomo全社の営業方針はユニークで、オープンなマーケティング活動などは行われておらず(ステルスモード)、1件1件のユーザーにクローズドな営業活動が行われている。
DomoはManagement by exception(例外管理)が徹底しているため、この記事もオープンなマーケティング活動に属することになるので、CEOのJosh James氏に許可をいただき掲載している。
DomoのSaaSユーザー数は、創業3年で全世界500社、日本は非公開だが、おそらく10分の1は稼働中ではないだろうか(グローバル自動車メーカーなども含まれる)。
創業の動機は極めて明快。OmnitureのCEO時代に、
「社外のインターネットで世界中のあらゆる情報が瞬時に手に入る。例えば、自社の株価はいつでもすぐにわかるのに、当日の自社の社員数やキャッシュバランスを知りたいと思っても2、3日待たなければ分からない。」
という強烈なストレスがあり、従来のBIにそれを求めたが、3つの理由で、従来のBIは壊れていると判断し、Domoを創業した。
(1)Can't get no satisfaction(満足することができない:with a more-than-obvious nod to the Rolling Stones)
(2)You can't always get what you want(欲しくても手に入らない)
(3)Get off your cloud(クラウドから降ろせ)
Josh James氏のマスクドニーズを確認するため、各種調査で課題を浮き彫りにした訳だが、この課題は自社の状況を照らし合わせ実感できる人は多いはずだ。
(1)CxO(エクゼクティブ)の70%はリアルタイムに社内の情報にアクセスできていない
「全般的に、エグゼクティブは、現状より高い頻度でレポートを受け取りたいと望んでいます(エグゼクティブの5人に1人は、販売パイプラインのレポートを月次でしか受け取っていません)。また、全回答者の70%が最も重要な情報にリアルタイムにアクセスできないとしています。」
出典元:「Decisions on the Move: Mobile BI 2013」 Aberdeen Group, Inc., A Harte-Hanks Company、「Real-Time Operational Intelligence: There's No Time like the Present」 Aberdeen Group, Inc., A Harte-Hanks Company、「Collaborating in the Cloud」 Forbes
(2)ビジネスマンの98%はデータから意味を導いている。しかし、必要なビジネス情報にアクセスできている回答者は43%。
「ビジネスで優れた決定を下すためには、適切かつ正確なデータに素早くアクセスし、データから得られた正しいインサイトにもとづいて最善の選択を行なう必要があります。これが、全回答者のじつに98%が業務を遂行する上でビジネス情報に依存している理由だと思われます。しかし、その一方で、必要とするすべての情報にアクセスできていると感じている回答者は43%しかいません。これは憂慮すべき状況です。」
調査の対象:幅広い産業分野の様々な部門のビジネスリーダー(有効回答者数1064人)、集計:オンラインアンケート、質問数:21(デモグラフィックスを含む)
(3)マネジャーはExcel地獄に陥っている。
多数あり。
データディスカバリツールで、デジタルマーケティングのデータを含めたデータディスカバリを行う場合、最も重要なポイントはアクセスするデータソースとの接続性にある。
「全員マーケッターという発想を組織にビルトインすること」(マーケッティングと経営は一体)の3桁の使命分析、
『3桁:データディスカバリツールをトップマネジメント、ユーザー部門(マネジャー)が導入し、「過去からのデータ(財務管理のデータ)」「現在からのデータ(POSデータ、日次決算データ)」「未来からのデータ(アクセスログ、MAのデータ、SFAのデータ、アドテクのデータなど)」から「何かを探索する」。』
を実現しようとすると、アクセスするデータソースは、ERPなどの過去からのデータはもちろん、未来からのデータとして、
「各種DMPツール、各種MAツール、各種SFAツール、各種アクセスログ解析ツールなど」
と、企業によるさまざまなデータソースがある。
すると接続APIは数十のレベルでなく、数百必要になり、それを適切なバージョンで標準的に取り揃え、インプリメンテーションがない状態にしておかないと、
「アジャイル経営のためのデータディスカバリサービス(SaaS)」
とはならない。創業して3年間もの間ステルスモードで個別販売を行う理由は、接続APIを充実させることを水面下で行なってっているからではないだろうか。
データディスカバリツールはオンプレミスで提供されるもの、オンプレミスをAWSなどに載せて提供されるもの、あるいはDomoのようにクラウドサービスのみで提供されるものに分かれる。
Domoは生まれたときからクラウドとして提供されているところは、Omnitureに似ている。
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