10thライブツアーとして、これまでのライブを振り返ったり、アニメをテーマにしたライブが行われ、それ自体も10年間の歴史を詰め込んだものと感じさせるものになっていたが、このAct-4はツアーファイナルとして、10年間の集大成となる圧巻のライブとなっていた。そして、最新のものからやっと歌われたというライブ初披露やオリメン揃っての披露というだけではなく、39人フルメンバーでステージに立つという、悲願とも言えるライブが実現したと思えるもの。コンテンツの触れたタイミングによって感じ方や感動の度合いに差はあるかもしれないが、少なくともメンバーをはじめとする関わる人たちや、プロデューサーさんたちの夢がかなったステージであることは、このライブを見た人に対して伝わるものだったと感じている。
私事で恐縮だが、筆者自身ミリオンライブ!はソーシャルゲーム版のサービス開始時から触れ、1カ月後にはインプレッション記事を書いて、イベントも一部のCD発売記念(リリイベ)であったり、涙に暮れた1stライブからナンバリングライブも見続けて書き続けてきた人間としては、夢の光景だったと素直に思えるもの。そして、37人で始まったミリオンスターズが2人増えて39人となるなかでも、誰ひとり欠けることなくここまでたどりついてステージ立ったことが夢のようだと思えるもの。そして、いざ実現するとここまで長かったような、あっという間だったような不思議な感覚になったのも正直なところだ。
振り返れば、ミリオンライブ!の軌跡が必ずしも順風満帆とはいいにくいところもあった。それでも着実に歩みを進めてここまで至ったものと感じている。ミリオンライブ!は、765プロライブ劇場を発展させるべく公演を行う背景と、アイドルたちが一丸となって劇場を盛り上げていくという仲間との絆が描かれている。メンバー同士の絆やプロデューサーさんとの絆が少しずつでもはぐくみ広まっていき、さらにソーシャルゲーム版から「ミリシタ」に、そしてコミックスや数々のリリイベにライブイベント、そして10年かかって放送まで至ったアニメなど、ひとつひとつの出来事やコンテンツがバトンをつなぐかのように展開され、それがここで結実したようにも感じている。
ゲームやライブなどこれまでのさまざまな出来事が思い返せる、思い出に浸れるようなライブであったが、ここで一区切りではないのは明白であり、むしろ通過点にも思える。本稿掲載時にはすでに11周年を迎えているのだが、この先の扉を開いて新たな時代へと羽ばたくミリオンスターズが描いていく世界を楽しみにしたい。
また余談ではあるが、筆者のお気に入りのアイドルは木下ひなたということを“踏まえず”、これまでにソーシャルゲーム時代に気になるアイドルとして中谷 育と周防桃子をあげていたことを踏まえれば、原嶋さんが「アニマル☆ステイション!」をはじめとして、めいっぱいの動きで見る人を元気にする躍動感のあるパフォーマンス、渡部恵子さんが見せる安定感のあるパフォーマンスをはじめ、見るからに三角形にしてコンサートライトを振っているプロデューサーさんが多い「ローリング△さんかく」の光景であったり、佐竹美奈子もあげていたことを踏まえれば、全力感あふれるパフォーマンスをはじめ、Team1stのリーダーとして「Star Impression」をけん引する姿であったり、馬場このみもあげていたことを踏まえれば、髙橋さんのムードメーカー的なトークに加え、「dear...」などでの聴く人を離さない歌声であったり、北上麗花もあげていたことを踏まえれば、平山さんの「花ざかりWeekend✿」での、進化と期待に応え続ける“ぴらみ砲”もさることながら、至る場面で自身が持つ高い歌唱力を発揮しているような、伸びやかに響く歌声など、それぞれに印象的というのはある。また「ミリシタ」において気になるアイドルに桜守歌織をあげていたことを踏まえれば、香里さんが“歌のお姉さん”を感じさせる美しく芯のある歌声もさることながら、頭を覆うぐらいの大きめなペレー帽が目を引く衣装「エスペランスノーツ」を再現した衣装が、以前から見ていていたと錯覚するぐらいに、お似合いという以上になじんでいる度合いが極めて高いと思えたところもある。また、ミリオンライブ!楽曲で聴いている回数が最も多いのは、実は「ファンタジスタ・カーニバル」なので、角元さんがエレナをほうふつとさせるような笑顔いっぱいと元気な歌声で歌うこの曲を、またライブで見られて聴くことができてよかったと感じている。そして、「きまぐれユモレスク」の破壊力の高さはやはり想像以上であり、麻倉さんから星梨花として歌うときに醸し出されるキュート感は当代随一と改めて実感できるところがあった。
改めて、筆者のお気に入りのアイドルが木下ひなたであることを踏まえて、印象に残る場面はいろいろとあった。ちなみに、ひなたは北海道出身で、実家はりんご農家。そんな田舎でのんびり育ったおばあちゃんっ子の純朴カントリーガールで、上京して活動しているアイドルとなっている。
まず触れておきたいのは、田村さんがひなたの個別衣装で登場したこと。この公演で着ていた個別衣装は「ラブリーフルーティア」で、「ミリシタ」におけるひなた最初のSSRで「あま~い森へようこそ♪」に紐づいたもの。ひなたといえば“りんご”であり、イメージカラーも赤となっているなか、ラブリーフルーティアは赤と白を基調とした、レトロ感もあるドレス風のデザイン。さらにリボンや、りんごのアクセサリーが飾られた小さな帽子もワンポイントとなっている。ちなみに「ミリシタ」の衣装エピソードでは、貸衣装と勘違いするというひなたの純朴な一面が垣間見えるものとなっている。
ひなたにとてもお似合いの衣装と感じているなかで、再現された衣装で登場した田村さんを見ても同じような感想を持ったという以上に、ひなたと同じように後ろ髪を少しハネた髪型をしていたこともあってか実在性が高く感じられたこともあり、ひなたそのものとも、目元にラインストーンを入れてオシャレ感もあっため、少し大人になったひなたの姿とも思えるものだった。加えて、白い手袋をつけてパフォーマンスしているのだが、手や指の動きが丁寧であるゆえ、より映えるものとなっていた。
またユニット曲でも見せ場となるところはあった。DAY1ではまず、Fleurangesの「旅立ちのコンパス」があげられる。この曲は8thライブでFleurangesが披露しているのだが、この公演では田村さんが不在。そのため、前述のように初めてオリメン4人がそろっての披露となった。田村さんが、パステルカラーのユニット衣装「カモミール・ウィスパー」をまとった姿も初めてのこと。ゆるふわ感のあるユニットであり楽曲というなかでも、麻倉さんが星梨花として歌う時のかわいい歌声、桐谷さんが美也として歌うときの柔らかい歌声、近藤さんが可憐として歌うときの優しい歌声に加え、田村さんがひなたとして歌うときの心がほっこりするような歌声は、癒やし感満載と感じられるものだった。また、田村さんが初めてFleurangesとしてステージに立つことがわかっているプロデューサーさんも多かったようで、4色のなかでも赤のコンサートライトが多く振られている光景も印象的だった。
同じくDAY1で披露された「Shamrock Vivace」は、CLEVER CLOVERのメンバーとして参加している楽曲。「ミリシタ」において、オリジナル歌唱メンバーで配置する自動編成ではひなたがセンターに立っており、その姿は「アイドルマスターチャンネル」にある同曲のMVとしても見ることができる。CD音源のバージョンでは歌い出しが複数のメンバーでの歌声となっているなか、このステージでの歌い出しは1番と2番ともに田村さんが担当。軽快に歌う姿とともに、6人の歌唱メンバーでのステージで中央に立って歌う姿も、ウインクもバッチリ決めている姿も印象的だった。
DAY2では、まず「Unknown Boxの開き方」に触れておきたい。アニメにおけるMILLIONSTARS Team6thのユニット曲。アニメのなかでも少しではあるが、5人がステージで歌う姿は描かれている。ライブではAct-3で披露されなかったため、前述のようにここで5人そろっての初披露となった。“ふわふわお姫様アイドル”のまつり演じる諏訪さんをセンターに、それぞれが描くお姫様らしさを表現するステージとなっていたなかで、田村さんが穏やかな表情で歌ったり優雅に踊ったり、さらに赤いリボンを結んだ小指を立てて歌う姿は、“アイドルしているひなた”“王道アイドルなひなた”という感覚を持てるもので、一歩も二歩も成長しているひなたの姿をイメージできるものとなっていた。
さらにDAY2での「俠気乱舞」も、見せ場となったところ。前述のように劇中劇にあたる任侠作品をイメージした「TA02」の楽曲で、ひなたは悪徳組長役を演じている。その熱演ぶりは同CDのドラマパートや、ミリシタ内「プラチナスターシアター~俠気乱舞~」に収録されている。
4thライブ以来約7年ぶりのオリメン披露となるなかで、4thライブでの田村さんは懸命に歌っているようにも見えたことを覚えているのだが、序盤の田村さんによるソロパートで高音を響かせるところは聴きどころであるなか、今回はそれがすごくきれいに出ていたこと。また、曲にあわせて引き締めた表情を見せつつも、歌っているのが心から楽しいということが伝わるぐらい、ノリノリでニコニコな表情を見せながら歌い踊っていたのが目を引いたところ。それでいて、激しさもある和風ロック曲で他のメンバーが熱唱するなかでも、負けない声の強さで歌っていて、“これが木下組の組長の余裕……”と思わせてくれるぐらい、ひなたとしても田村さんとしても成長した姿を見せていたことに興奮したところ。加えて、この曲をラブリーフルーティアという、どちらかというとキュート系な衣装で歌う姿もインパクトは大きいものだった。
また、全体曲でDAY1に披露された自己紹介楽曲ともいえる「EVERYDAY STARS!!」も触れておきたい。前述のようにアレンジされたセリフを各メンバーのパートで口にしているのだが、CD音源のほうで、ひなたは“聞いてほしいこと”を、喋るのが遅くて言えないまま終わってしまうのだが、このライブでは、田村さんがひなたとして、聞いてほしいことをちゃんと言って伝えていたこと、そしてそのメッセージの内容に目頭が熱くなる思いだった。
ちなみに余談を重ねて恐縮だが、田村さんの前が大関さんのパートとなっており、ひなたと美奈子といえば「LTP09」のドラマパートの関係をほうふつとさせ、さらに田村さんのあとが原嶋さんのパートとなっており、美奈子、ひなた、育といえばユニット「ミックスナッツ」をほうふつとさせるもの。そしていつかミックスナッツのユニット曲「ドリームトラベラー」を、ミリオンスターズでのオリメン(※このみ役の髙橋さんを加えた4人)でも、765ASのメンバーを加えたオリメン(※双海真美役の下田麻美さんを加えた5人)でも披露される機会があることを夢見ているのは付記しておきたい。
そして、このAct-4において筆者が最も印象的だったのは、ひなたのソロ曲「あのね、聞いてほしいことがあるんだ」が歌われたこと。この曲はひなた最初のソロ曲で、MCパートで田村さんも触れていたが、2016年4月に行われた3rdライブツアー福岡公演以来、約8年ぶりのこと。そしてこの公演は、それまでリリイベに出演しつつも、ナンバリングライブとしては初めて田村さんがステージに立ったライブでもある。「あのね、」の披露時に声が震え出す場面もありつつも崩れることなく最後まで歌いきったこと、そしてひたむきに気持ちを伝えようという姿勢で歌っていたことが伝わり、ひなた初めての大舞台ソロであればこうなるであろうと思えるような光景だったことは、今でもよく覚えている。
10年間の集大成となる大舞台で、原点に戻るかのように最初のソロを歌ったこと、それをラブリーフルーティアを着て披露したことも感慨深い。何より、8年ぶりにライブで見た「あのね、」は、ひなたがアイドルとして成長して、大舞台で歌うことが楽しいという気持ちが伝わる、そして“聞いてほしいこと”を伝えているステージと感じられるものだった。田村さんがひなたとして「あのね、」を歌うときの語りかけるような歌い方や温かく優しい声、それでありながら大会場でも隅々まで響くような声の強さ、そして落ち着いた穏やかな表情と歌声の安定感をもってこの曲を聴いていると、心が温かくなりつつも涙腺を刺激するもの。と同時に、これまでステージのも思い返せるものだった。
初めてのイベントで数百人の前で「あのね、」を初めて披露した「LTP09」のリリイベ、ひなたソロ2曲目の「りんごのマーチ」を披露した「LTH07&08」のリリイベ、ミリオンスターズとしての初めての大舞台に立った3rdライブツアー福岡公演、悪徳組長役を得て、その後ひなたの名役者ぶりにつながったようにも思える「TA02」のリリイベ、トークでの不思議空間を作りつつ、ユニット「キャンサー」の「ランニング・ハイッ」や、Sunshine Rhythmとして「サンリズム・オーケストラ♪」を歌った「LTF01」のリリイベ、“北国の星”として武道館で「りんごのマーチ」を披露した4thライブ、765ASのメンバーに混じって「メリー」を歌ったことも印象的な「HOTCHPOTCH FESTIV@L!!」、ひなたソロ3曲目の「スノウレター」を披露した「MTG05&MS07」のリリイベ、その「スノウレター」を大舞台で歌った5thライブ、ユニット「ピコピコプラネッツ」として躍動し、一歩先にあるひなたの姿を見せていた6thライブツアー仙台公演ならびに追加公演、そして近い距離感でピコピコプラネッツのパフォーマンスを見せていた「MTG16&17」のリリイベ、ミリオンスターズでのオリメンが揃って歌った「Helloコンチェルト」も心に残る7thライブ、ひなたソロ4曲目の「ハッピーマイガーデン」を披露したほか、MCパートでの言葉がX(旧Twitter)のハッシュタグ「#ミリオンライブは止まらねぇ」となり、ミリオンライブ!の行く先を示す言葉のきっかけとなった9thライブ、培った表現力で久々の「スノウレター」を歌った10thライブツアーAct-2……。こうしたステージに立ち、積み重ねてきた経験があってこその、Act-4での「あのね、」と感じられたところがある。
そしてこの先も、頑張り屋であり、歌となれば心に響く歌声で、聴く人たちが温かい気持ちになれる、そしてたくさん人たちを魅了するひなたの姿を、田村さんが体現し輝かせ続けられる未来を確信できる「あのね、」であり、Act-4でのパフォーマンスと思えた次第だ。
本公演の模様は、「ASOBISTAGE」でのアーカイブ配信を期間限定で実施。DAY1とDAY2ともに、視聴チケットの販売期間は3月4日12時までで、アーカイブ視聴期間は3月4日23時59分までを予定。価格は各6000円(税込)。詳細は10thライブツアー特設サイト内オンライン有料配信情報にて記載されている。
今後の展開についても告知された。公開された情報は「アイドルマスター ポータル」内、告知内容まとめ(【DAY1】【DAY2】)に掲載されている。
まず、ライブ内で公開されたミリオンライブ!の10周年の思い出を集めたPVを、2月27日付けで公開した。
前述のように、ミリオンスターズ単独の11thライブが開催決定。2024年11月9~10日にAichi Sky Expo(愛知県国際展示場)を予定している。また、「HOTCHPOTCH FESTIV@L!! 2」についても開催を予定。どちらも詳細は後日告知するという。
「ミリシタ」に関しては、各種アップデート情報をはじめ、プラチナスターチーム「Unknown Boxの開き方」ティザーMVをライブで公開したほか、開発中の「アイドルグランプリ(仮)」の進捗報告となるムービーを公開。新シリーズ「MOVEMENT OF “STARS”」の発表や、次回「ミリオンリンケージ」テーマ発表、コミック連動イベントの始動なども告知した。
2023年4月から2024年2月にかけて開催された「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 10thLIVE TOUR」の全公演におけるライブブルーレイの発売が決定。「ASOBI STORE」でAct-1~4のASOBI STORE特装版を全て購入すると、各巻のASOBI STORE特装版の同梱物と特典に加え、全巻連動購入特典として、衣装「リ・プロローグ・X」に実際に使われたものと同じ10周年バッジと全巻収納BOXもついてくるという。
また、新規描き下ろしイラストを使用したAct-4開催記念グッズについても発売する。アクリルスタンドやキャラファイングラフをはじめ、10thライブツアーを完走した出演キャストからのメッセージが込められたデジタル色紙も販売する。
2024年8月23~25日に、横浜産貿ホール マリネリアにて、ミリオンライブ!の 展示会が開催予定となっている。
このほか各種グッズやコラボ情報も告知された。
「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 10thLIVE TOUR」特設サイト
「アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ」公式サイト
THE IDOLM@STER TM&(C)Bandai Namco Entertainment Inc.
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