「アイドルマスター」5ブランド合同東京ドームライブで見た“出会えてよかったと感じるステージ” - (page 6)

 “夢のようなライブ”“奇跡のライブ”“圧巻のライブ”“最高傑作のライブ”などなど……。感じ方は人それぞれでも、おそらくこのような言葉が思い浮かびつつ、そうした言葉を並べても足りないと思うぐらいのライブとなっていた。と同時に、この規模をもってしても、アイドルマスターシリーズを彩っているアイドルと楽曲の一端であるというのも、18年にわたって積み重ねてきた歴史であることの証左とも言える。

 合同ライブならではと感じさせる、垣根を超えたシャッフルやカバーを存分に盛り込み、さらに5ブランドだけではなく961プロや876プロの楽曲披露もあるなど、ブランド、メンバー、そしてプロデューサーさんも含めて、いろいろな繋がりを感じさせたり、新たな繋がりを生み出していくようにも思えるもの。DAY2の最後には、「PROJECT IM@S」が2nd VISIONから3.0 VISIONに移行する映像も映し出されていたが、シリーズとしてそれぞれのブランドの躍進とともに、さらなる繋がりを生み出して広げていくことを予感させる、一つの節目と新たなスタートと思えるライブとなっていた。

 また余談かつ私事であるが、筆者個人としても印象に残る場面はいろいろとある。というよりも、ありすぎると言っていいぐらいのもの。「そうくるの?」と思える楽曲と歌唱メンバーの組み合わせに、見ている側が翻弄されるぐらいで、興奮したのを覚えている。思いつくままに書き記していくことにすると、従来のライブであれば“全部持っていった”と思えるものがこのライブでは多々あったぐらい。そんななかでもDAY1の「Tulip」のインパクトが特大だと思っていたのだが、DAY2の「MOON NIGHTのせいにして」がお返しと言わんばかりのインパクトだったというのが、まず率直な感想としてまずある。

「Tulip(Long Intro Ver.)」(DAY1)
「Tulip(Long Intro Ver.)」(DAY1)

 参加していないメンバーの話題で恐縮ではあるが、シンデレラガールズにおけるお気に入りのアイドルが龍崎薫ということを踏まえて見れば、「ハイファイ☆デイズ」が歌われたところが嬉しかったところ。この曲は龍崎薫が属しているユニット「L.M.B.G(リトルマーチングバンドガールズ)」の代表メンバー5人が歌っている楽曲であり、龍崎薫が個別に名前が出た初めてのボーカル曲。ちなみに、アイドルマスターシリーズで初めてゴールドディスク認定を受けたCDにもなっている。歌唱メンバーは年少アイドル中心ということもあって、シャイニーカラーズという“末っ子”とも言えるブランドがカバーしていることもさることながら、シンデレラガールズライブにおいては、歌われるたびに仲間や友だちが増えていくかのように歌唱人数が増えていき、シンデレラガールズ10周年ツアー福岡公演では12人で歌っていた光景を見ていただけに、同じ人数規模で新たに歌っている仲間が増えた感があり、どこか感慨深さを感じたところがある。

「ハイファイ☆デイズ」(DAY1)
「ハイファイ☆デイズ」(DAY1)

 ミリオンライブ!であれば、DAY1のトークでフッと力が抜けて笑顔になれる“これがミリオンライブ!”と思えるようなハプニングがあって微笑ましかったこととか、DAY2では“ミリオンライブ!は止まらねぇ”という、ミリオンライブ!9thライブで生まれた名言がここで言われていて熱かったところがある。また、ミリオンライブ!におけるお気に入りのアイドルが木下ひなたということを踏まえると、彼女が属しているユニット「ピコピコプラネッツ」の楽曲である「Get lol! Get lol! SONG」が“カエルつながり”の楽曲として歌われたことについて、まさかこの場で歌われるとは思ってなかったので驚きとともに嬉しかったところ。さらには「Arrive You ~それが運命でも~」でのTIntMe!とU149のステージは、かねてから気になるアイドルとして、ミリオンライブ!では中谷育と周防桃子、シンデレラガールズでは赤城みりあと佐々木千枝をあげていたこともあるだけに、このコラボは熱かったというのが本音としてもある。彼女たちが東京ドームという大舞台に立っているという感覚もさることながら、特にシンデレラガールズ5thライブ幕張公演でも印象的だった、今井麻夏さんが表現する“オトナに憧れる千枝の姿”を見ることができたのも良かったところ。

「Get lol! Get lol! SONG」(DAY1)
「Get lol! Get lol! SONG」(DAY1)

 SideM関連では、知識に乏しいのが正直なところではあるなかで、それゆえに新鮮な感覚で見られることが多かった。そんななかでも「バンダイナムコフェスティバル2nd」で、カッコよさと見守りたくなる感覚がかなり高いと思っていたC.FIRSTのステージをまた見られただけではなく、シンデレラガールズのプロデューサーさんにとっては思い入れの強い「Trancing Pulse」で、堂々としたパフォーマンスを見せていたのも目を引いたところだった。ほかにも、過去に神速一魂とCafé ParadeのCD発売記念イベントは見たことがあるので、「バーニン・クールで輝いて」のミリオンライブ!メンバーカバーは熱かったこととか、Café Paradeで言えばアイドルとしてもキャストとしても個性派、というのが伝わるMCであったりパフォーマンスが見られたなかでも、小林さんが咲として歌った「待ち受けプリンス」での、単に高音ボーカルだけではないキュート感あふれる可愛らしさの表現と、他の歌唱メンバーとなじんでいるステージは素直にすごいと思えたところがあった。加えて、アルストロメリアの「ラブ・ボナペティート」で可愛らしいところを見せていたがゆえに、自身のユニット曲「Pavé Étoiles」でのカッコよさも際立ち、惹かれるところもあった。

「We're the one」(DAY1)
「We're the one」(DAY1)

 ごく個人的に熱かったのは、U149の「ドレミファクトリー!」。ちなみにU149には龍崎薫もメンバーに入っている。「バンダイナムコフェスティバル」でも東京ドームのステージに立って披露し、躍動した姿を見せていたのだが、今回は他ブランドからのユニット、メンバーも増えて賑やかなものに。そもそもU149とTIntMe!で気になるアイドルは前述した通りだが、シャイニーカラーズの気になるアイドルで小宮果穂をあげている上、後述するが765プロオールスターズのお気に入りアイドルは双海亜美と真美。DAY2出演メンバーでU149、TIntMe!、もふもふえんとあったときに、コラボの想像もしていたのだが、それ以上のものとなって出てきた、というのが率直な感想としてある。ステージでは、よく見ると個性を表すようなダンスパフォーマンスを行っているのだが、遠目で見ると年少と言えるアイドルたちが元気いっぱいで賑やかに歌い踊っているように感じられるもの。東京ドームの大舞台で躍動している姿を見ると、しみじみくるところがあった。

「ドレミファクトリー!」(DAY1)
「ドレミファクトリー!」(DAY1)

 またシャイニーカラーズでのお気に入りアイドルが桑山千雪、ユニットがアルストロメリアということを踏まえて印象的だったところもある。千雪は優しい笑顔が印象的で、母性溢れる落ち着いたたたずまいが特徴の、283プロのお姉さん的な存在のアイドル。そして、大崎甜花と大崎甘奈の双子姉妹ととも、会場に笑顔の花を咲かせる、ポップでハッピーな3人組アイドルユニットとして活動している。

 DAY2のMCにおいて、優しい雰囲気を漂わせる千雪としての挨拶とともに、直近では「SETSUNA BEAT」を思い起こさせるような、独特なセンスと感性の持ち主と思わせてくれる芝崎さん自身の挨拶でインパクトを残していたところもあるが、まず触れておきたいのは「花ざかりWeekend✿」。前述のようにOLの“花金”をイメージした楽曲で、千雪は雑貨屋で働いていたという社会を知る大人の女性であり、さらにアルストロメリアのキャッチコピーは「花ざかり、私達の幸福論」といる“花ざかり”繋がりもある。ステージでもミラーボールの輝きを受けて、大人のお姉さんの魅力全開と思えるようなノリノリでニコニコしながら歌い踊る姿が印象的だった。

 また見せ場と感じているのは、「きゅんっ!ヴァンパイアガール」。この曲は文字通り、ヴァンパイアガールがイメージされる魅惑の雰囲気たっぷりな楽曲。こと千雪といえばゲームのなかで、「よそゆき顔のセレナーデ」(プロデュースアイドル)で魅惑の衣装を着ていたり、「黄昏時に会いましょう」(サポートアイドル)のイベントでは、ハロウィンで雪女の仮装をし、甜花と甘奈を怖がらせてしまうぐらいにノリノリで楽しんでいる姿が描かれている。ステージでは、芝崎さんがいたずら少女っぽい表情で歌い進める姿もさることながら、3人が「han(はぁーん)」と吐息交じりで言うところと、そのときの満面の笑顔がハートを射貫くぐらいのもの。全力かつ楽しんでバンパイアガールになりきっている千雪の姿を、芝崎さんが体現されていると感じたところだ。

「きゅんっ!ヴァンパイアガール」(DAY2)
「きゅんっ!ヴァンパイアガール」(DAY2)

 アルストロメリアとしては、ユニット曲「ラブ・ボナペティート」を披露。製菓用語が随所に盛り込まれたな歌詞に、ポップなメロディーで奏でられる楽曲となっている。序盤では王道とも言える可愛さと軽やかさを感じさせるパフォーマンスで、シャイニーカラーズのなかでもキュートで癒されるユニットの存在を示していく。さらにCafé Paradeと浅倉さん、釘宮さんが登場。ことCafé Paradeはカフェで働くスタッフたちで結成されたユニットという背景もあり、この曲ならではの参加メンバーと思えるもの。さらに浅倉さんと釘宮さんが萩原雪歩と水瀬伊織として歌うときの可愛らしい歌声が加わることで、よりキュート感が増すものに。終盤では「ポ~」と口にしながら全員がぎゅっと集まるところもあるのだが、賑やかで楽しそうという雰囲気が伝わるもので、人数が多い分たくさんの花が咲いているような華やかなステージになっていたことも心に残るところだった。

「ラブ・ボナペティート」(DAY2)
「ラブ・ボナペティート」(DAY2)

 そして765プロオールスターズのお気に入りのアイドルが双海亜美・真美ということを踏まえても印象的なところはある。参加はしていないが「エージェント夜を往く」を聴いていると、かつて双海亜美・真美が歌ったときに、一部のフレーズが“とかちつくちて”と聞こえることが話題になったのもずいぶん前と懐かしんだこととか、前述した「ドレミファクトリー!」で下田さんが参加した際、曲中でひとり変わったポーズを決めていたところもあるのだが、まず触れておきたいのは「咲くは浮世の君花火」。途中参加した下田さんがソロパートでこぶしをきかせた歌声を響かせたことながら、たくさんのメンバーがセンターステージで歌うなかでも、先端に立って力強く歌っているところが、お祭りごとの先陣を切っている亜美・真美らしいと思えた。

 見せ場と感じられたのは「O-Ku-Ri-Mo-No Sunday!」。miroirの久川姉妹、765プロオールスターズの双海姉妹、アルストロメリアの大崎姉妹と、双子アイドル3組による夢の共演と言えるもの。正統派アイドル感のあるポップで可愛らしい楽曲であるなかでも、ラップパートも特徴のひとつ。間奏で登場した下田さんは、亜美・真美として披露したラップがパワフルなもので、一気に双海姉妹の世界に引き込んだのが面白いところ。さらにスクリーンには6人が映し出されており、下田さんをミラーにして同時に映し出しているというもの。反転した同じ動きをしているだけに、より亜美と真美を感じされるものとなっていた。可愛く歌うなかでも随所に元気な声が聞こえてきたり、最後ポーズを決めて手を振ったときに投げキッスしてファンサービスをするところなど、随所に亜美・真美らしさを感じるステージとなっていた。加えて、前川さんと黒木さんが甜花と甘奈として歌うときの可愛らしさは、miroirと楽曲との親和性が高かったこと、楽曲がより楽しく、そしてかわいいと感じられたことは付記したい。

「O-Ku-Ri-Mo-No Sunday!」(DAY2)
「O-Ku-Ri-Mo-No Sunday!」(DAY2)

 最後に触れておきたいこととしては、アイドルマスターというコンテンツが東京ドームで単独ライブを行ったことそのものにある。そもそもアーケード版などのゲーム「アイドルマスター」においてはトップアイドルを目指すなかで、そこでの一番大きい会場としてドームが用意されていることから、大きな目標であり到達点のひとつという位置づけとされたもの。あくまで架空のドーム会場であるが、東京ドームに近しいイメージとなっていた。こうした背景は別にしても、東京ドームは誰もが認める大規模会場のひとつであることは間違いなく、ゲームやアニメ発のキャラクターコンテンツが東京ドームでライブを実施する事例もあるが、まだ珍しい状況であることを考えれば、ここまでたどり着いたことに感慨深さがある。

 春香のセリフ「プロデューサーさんっ! ドームですよっ! ドームっっ!」は、ゲーム中のコミュでドームでライブすることになったときのもの。と同時に、アーケード版のPVでは、最後にこの音声だけが流れて終わるというもので、印象に残りやすいものだった。あくまで演出と思われるが、それが言霊になったことはこの状況が証明している。もっとも、ドームライブ自体はMOIW2015で実現し、それ以降もシリーズとしてドームライブは行われている。また東京ドームで行われた「バンダイナムコフェスティバル」においてはアイドルマスターが中心的な存在であったことから、“あと一歩”まできたところで、しっかりとその一歩を踏んだという形になった。

 MOIW2015でドームライブが実現したときは、筆者は信じられないという気持ちが強かった。もちろんアーケード版でプレイしていたことから比べると、今回の東京ドーム単独ライブも信じらいのだが、段階を踏んであと一歩というところまできていたことから、やっとという気持ちと、当時のアイテムを忍ばして持っていたこともあるが、ふとしたときにしみじみして当時のころを思い出すことも多かったのが本音としてある。アーケード版でサテライトに向かいながら、亜美では(※初代作では双海亜美として、2人が交代しながらアイドルの仕事をしているという設定)なかなかファン人数(スコア)が伸びにくいアイドルになっていたとか、オーディションで持ち歌の「ポジティブ!」のジャストアピールが取りにくい仕様になっていた時期があったとか、手のかかるところはあっても、それでもトップアイドルと呼べるところまでゲーム内で導いたとかを思い返して、それが現実だとこういう景色なのかなと、ライブを見ていて思うところもしばしばあった。

 アーケード版PVでは、最初に「プレイヤーは新しい日常を体験する」という言葉が出てくる。どんなコンテンツでも触れたことで生活に入り込む感覚、日常と違う体験が得られるものと思われるが、筆者はアイドルマスターの影響が強かった。もっとも、イチプレーヤーだった人間が、こうして細々とながらも記事を書き続けているような未来も想像できなかったのも正直な気持ちとしてある。そして、いろんなことを見て体験できたこともさることながら、夢物語のような未来に少しずつ歩みを進めている光景と、想像しなかった未来の到達点とも言えるライブを見ることができたこと、そしてこうして記すことができたことを思うと、素直に出会えて良かったと、アーケード版のロケテスト時代から18年間親しんできた筆者は思った次第だ。

 なお本公演の模様は、「ASOBISTAGE」でのアーカイブ配信を期間限定で実施。DAY1とDAY2ともに、視聴チケットの販売期間は2月20日12時まで。アーカイブ視聴期間は2月20日23時59分までを予定。価格は各6500円(税込)。このほかMOIW2014とMOIW2015の公演も視聴できる「アイマスMOIW2014・2015・2023 配信フルパック」も販売されており、価格は3万円(税込)。こちらも販売期間は2月20日12時までで、アーカイブ視聴期間は2月20日23時59分までを予定。詳細はライブ特設サイト内チケット(配信チケット(国内))にて記載されている。

 ライブで告知されたように、本公演の映像商品である「THE IDOLM@STER M@STERS OF IDOL WORLD!!!!! 2023 Blu-ray PERFECT BOX!!!!!」が発売決定。12月13日発売予定で、価格は3万7000円。あわせて新曲の「CRYST@LOUD」をCD化。7月26日発売予定で、価格は1980円(税込)。詳細は特設サイトに記載されている。

THE IDOLM@STER TM&(C)Bandai Namco Entertainment Inc.

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