ChatGPTやGeminiで「読まれない資料」を「一瞬で伝わるビジュアル」に変える方法

 あなたが作る資料、本当に読まれているだろうか?テキストがびっしり詰まった議事録や報告書は、読み手の集中力を奪い、重要なメッセージを伝えきれない。

 人間は外部情報の8割以上を視覚から得ており、視覚情報は文字情報よりも6万倍速く脳に伝達される。本稿では、この「視覚化」をChatGPTやGeminiを活用して誰でも実践できる、簡単な3ステップを紹介する。

【ステップ1】思考を「すべて」吐き出す ― 完璧主義を捨て、まずテキスト化する

 最初のステップは、構成や見やすさを気にせず、頭の中にある情報を「すべて」テキストに書き出すことだ。いわば思考の「ブレインダンプ」であり、質より量を重視する。

 手が止まったら、AIを「壁打ち相手」として活用しよう。「このテーマについて他にどんな論点がある?」「反対意見を5つ出して」などとAIに問いかけることで、思考を広げ、テキストの量を増やせる。

【ステップ2】AIで「混沌」を「構造」に変える ― テキストの塊から要点を抽出する

 次のステップは、ブレインダンプで生まれた混沌としたテキストを、AIを使って「構造化」することだ。このステップの目的は、情報の塊から伝えるべきメッセージを整理し、論理的な骨格を作ることにある。

 例えば、議事録であれば、「結論」「決定事項」「宿題(To-Do)」といった重要な要素をAIに抽出・分類させる。これにより、単なる文字の羅列が、意思決定の記録という価値ある情報に生まれ変わる。

プロンプト 使用するプロンプト
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【ステップ3】「魔法のテンプレート」で、AIに視覚化を指示する

 構造化したテキストができたら、いよいよ最終段階だ。ここからは非常に簡単で、特別なテンプレートを使う。

テンプレート 使用するテンプレート
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テンプレートの内部構造を細かく理解する必要はない。行うべきことは次の2点だけ。

・テンプレート内のkey_featuresを書き換える。
・ステップ2で作成した構造化テキストを貼り付ける。

 特に重要なのは1のkey_featuresだ。ここで、「この資料を使って誰に何をどう伝えたいか」という具体的な目的を指示する。

 例えば、以下のように目的を書き込む。

・経営層向けなら: 「プロジェクトの健全性を信号機の色(緑・黄・赤)で直感的に示して」
・営業担当者向けなら: 「Next Actionsの期限を特に目立たせ、行動を促すデザインにして」
・新メンバー向けなら: 「専門用語に簡単な注釈をポップアップ表示する機能を追加して」

 これだけで誰でも簡単に、オーダーメイドのビジュアルを生成できる。この「簡単さ」と「再現性」こそが、このワークフローの最大の強みである。

実践:混沌とした議事録メモが、伝わる「ビジュアルサマリー」に変わるまで

 実際の会議メモを例に、この3ステップを実践してみよう。

【実践ステップ1】思考の書き出し

 まず、会議での会話をそのまま文字に起こした、未整理のテキスト(ブレインダンプ)を用意する。

会議メモ 会議メモ
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【実践ステップ2】AIで構造化する

 次に、混沌としたテキストを構造化するための専用プロンプトをAIに与える。

結果
専用プロンプト

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【実践ステップ3】AIで視覚化する

 最後に、ステップ2で構造化したテキストを「テンプレート」に入力し、視覚的な資料の設計案を作成する。

結果 結果
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おわりに

 本記事で紹介した3ステップは単なる時短術ではない。AIを最強の「視覚化パートナー」とし、その能力を最大限に引き出すことで、「読まれない資料」の生産という不毛なサイクルを断ち切るための第一歩だ。

 あなたのアイデアが、真に価値ある形でチームに伝わるインパクトを、ぜひ体験してほしい。

山門樹

関西AIキャンパス共同代表。情報工学の修士号取得。エンジニアとしての技術的基盤を構築後、企画職を兼務し、新規事業の企画・開発を担当。現在は海外向けゲーム開発プロジェクトの主幹を務めると同時に、複数の新規ビジネスインキュベーションにも参画。「AIを知ることから使える状態へ」をテーマに、AIスタートアップと共同でローカルコミュニティ「関西AIキャンパス」を立ち上げ、共同代表を務める。

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