また、デザインが非常に優れているからといって、ワイヤレスキャリアから十分なサポートを得られないという問題を克服できるわけではない。ワイヤレスキャリアは、消費者に競合OS搭載モデルを勧めることが多い。開発者はそれが原因で、Windows Phoneデバイス向けに必携アプリを開発しようという気をなくしてしまう。そのせいでMicrosoftは好循環からはじき出されている。
しかし、消費者にとってのWindows Phoneの魅力を高めようとするShum氏の取り組みは、市場シェアを奪取する上で極めて重要だ。デザインは最初から製品開発の一部であるという考えに、Microsoftはまだ慣れようとしている段階にある。
「デザインに対するわれわれのアプローチはこの数年で大きく変わった」(Shum氏)
現在46歳のShum氏は、香港で生まれ8歳のときに家族とともにカナダのマニトバ州ウィニペグに移った。香港でタクシー運転手をしていた同氏の父親は、新天地でレストランを開業し、Shum氏は時折そこで働いた。
「わたしはおいしいオムレツを作ることができる」(Shum氏)
少年時代は常に芸術に関心を抱き、大好きな日本の漫画本のような絵を描いていた。修理にも熱中し、自転車を分解して組み立て直そうとしていた。同氏をトロント近郊のウォータールー大学に導いたのは、そうした技術と創造の追求の融合だった。同大学の在学中は建築家を目指していた。
Shum氏は建築学を学んでいたとき、自身が好む象徴的な建物を作ることができるのはほんの一握りの建築家だけであることを悟る。
「Frank Gehry氏のような人は世界に1人か2人しかいない」(Shum氏)
さらに、同氏はターンアラウンドタイムの短い小規模なプロジェクトに取り組む方が自分の好みに合っていることに気づいた。そのためプロダクトデザインの世界に足を踏み入れるが、そこでも芸術とエンジニアリングを組み合わせることができた。大学生協の1つがNorthern Telecomと提携しており、同氏はそこで携帯端末の開発に携わった。
「ある意味で、わたしはあまりにも長い間、携帯電話に関わっている」(Shum氏)
1990年にはウォータールー大学でメカニカルエンジニアリングの学位を取得。その後スタンフォード大学に進み、プロダクトデザインの修士号を取得した。
多くのスタンフォード大学卒業生と同様、Shum氏も大企業に就職するのではなく、起業家になる道を選んだ。同氏とクラスメートの1人は、テクノロジ新興企業の安息の地であるサンフランシスコのソーマ地区で倉庫スペースを見つけ、Primal Sportsを創設する。2人はそこで、アスリート向けのあらゆる製品をデザインした。
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