正式発表だ。経営難のBlackBerryは身売りも視野に入れている。
BlackBerryは米国時間8月12日、自社の「戦略的な選択肢」を検討する特別委員会を設置したことを発表した。同社は「『BlackBerry 10』の普及促進に向けた価値の強化と規模の拡大」を目指していると明確に述べたが、その発表の中で、選択肢は合弁事業や提携から他社への事業売却まで多岐にわたる可能性があることも明かした。
では、かつて強大な力を誇ったBlackBerryの買収に興味を持つのはどのような企業なのだろうか。
それこそが重要な問題だ。業界の専門家は、プライベートエクイティ企業が資金をプールしてBlackBerryを買収することに興味を持つかもしれないと推測する。BlackBerryのテクノロジは同社の一部の競合企業にとって価値があるかもしれない、との意見もある。しかし、1つはっきりしているのは、BlackBerryが必死な姿を見せているということだ。同社が競合のAppleや「Android」はおろか、Microsoftにまで押される中で、同社の市場シェアは急速に縮小し悪化の一途を辿っている。BlackBerryはさらなる損失拡大を食い止める方法を見つける必要に迫られており、それができなければ、忘れ去られてしまったほかのテクノロジ企業と同じ道を辿ることにもなりかねない。例えば、PalmがHewlett-Packardに買収されたことを思い出してほしい。
ここ数年、BlackBerryの契約者数減少と市場シェア縮小に歯止めがかからない。新OS「BlackBerry 10」を搭載するデバイス3機種をロールアウトしようとしていた2013年第2四半期は、最も大きな打撃を受けたようだ。
IDCの調べでは、第2四半期のBlackBerryの世界スマートフォン市場におけるシェアは2.9%で、前年同期の4.9%から縮小した。
AppleとAndroidがこの数年でBlackBerryのシェア喪失から大きな恩恵を受けたのは間違いないが、BlackBerryの競争相手には他にもMicrosoftと、徐々に勢いを増す同社の「Windows Phone 8」OSがいる。
実際に、「Windows Phone」の出荷台数は2013年第1四半期にBlackberryを上回った。IDCのアナリストであるRyan Reith氏は、NokiaがWindows Phoneデバイスの販売拡大のために懸命な努力を続ける中で、同デバイスの好調は第2四半期も続き、第3四半期にも繰り返される可能性が高いとしている。
Macquarie SecuritiesのエクイティアナリストであるKevin Smithen氏は、BlackBerryの選択肢が減ってきていると考える。Smithen氏は12日、投資家に宛てたメモの中で、この市場の競争が極めて激しいことを考えると、BlackBerryの身売りの可能性や、エクイティ企業の力を借りて非公開化する可能性について、楽観的な考えを抱くことはできないと述べた。
「多額の現金損失や契約者の大幅な減少を考慮すると、財政支援者がレバレッジを割り当ててBlackBerryを非公開化するのは難しいのではないだろうか」(Smithen氏)
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