BlackBerryにとって不幸なことに、同社が買い手を探していることを正式に発表した今、同社の置かれた状況はさらに悪化する可能性が高いとSmithen氏は考える。長年にわたってBlackBerryを基に標準化を行ってきた法人顧客や政府機関が今後も同社製品を使い続けるべきかどうか検討しているとしたら、身売り先を探しているという発表や同社の将来に関する不確実さを理由に、顧客はBlackBerryを見限るかもしれない。もちろん、それが現実になれば、同社の市場シェアはさらに縮小するだろう。
「この正式発表に法人顧客や政府顧客が動揺し、BlackBerryの今後の存続を疑問視し始めているという懸念がある」(Smithen氏)
BlackBerryが直面する最大の問題は、ハンドセットハードウェア事業の買い手企業を見つけられる可能性が非常に低いということだ。同社の堅牢な電子メールプラットフォームは多くの大企業が利用しており、新しいBlackBerry 10ソフトウェアはウェブ体験を大幅に向上させるが、この市場の大手ハンドセットメーカーの大半はBlackBerryをあまり必要としていない。
HTCやMicrosoftといった企業との戦略的提携の可能性も検討されてきたが、実際のところこれらの企業はBlackBerryのハードウェアを必要としていない。また、ソフトウェアの価値を評価するのは難しく、断片的に利用されることになるだろう。
サムスンがBlackBerryに興味を持つ可能性を示唆するアナリストもいる。GoogleのAndroidプラットフォームを軸にスマートフォン事業を構築してきたサムスンは、自社製品をほかのAndroidスマートフォンと差別化するため、Googleと少し距離を置こうとしているようだ。
サムスンにとって最大の脅威の1つは、GoogleがMotorolaを所有していることだ。Motorolaがスマートフォン分野で競争するために自社事業の再構築を進める中で、GoogleはサムスンなどAndroidのライセンスを受けている企業と直接的に競合することになるかもしれない。
Jefferiesのエクイティアナリストによれば、サムスンは独自の社内OSを強化する目的でBlackBerryに関心を抱く可能性があるという。サムスンは「Tizen」というOSを開発しており、新興市場の低価格デバイスメーカーに対抗するための安価なOSとして活用する予定だ。
このアナリストたちは12日に投資家に配布されたリサーチメモの中で、次のように述べている。「世界最大のベンダーといえども、新しいOSを一から開発して成功を収められる可能性は低い。しかし、BlackBerry 10は、サムスンがAndroid仮想化機能と約15万種類のアプリを備えた独自のエコシステムを開発するための堅実な基盤となるかもしれない」
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