とはいえ、サムスンへの身売りが実現する可能性は低そうだ。また、BlackBerryの資産が複数の買収企業に分配される可能性もある。例えば、BlackBerryには複数の企業が魅力を感じそうなモバイル特許が数多くある。同社のメッセージングプラットフォームやエンタープライズサーバサービス事業も、一部の買い手の関心を引くかもしれない。
BlackBerryを丸ごと買収することに最も大きな関心を抱きそうな企業は、LenovoやHuawei、ZTEといった中国メーカーだ。これらの企業はローエンドデバイスで新興市場に攻勢をかけている。BlackBerryはローエンドスマートフォン「BlackBerry Curve」によって、これらの新興市場で成功を収めてきた。
しかし、カナダや米国の政府がそうした買収を承認する可能性は極めて低い。BlackBerryと中国のデバイスメーカーの合併にはセキュリティに関する重大な問題が伴うからだ。
そのような合併が実現すれば、BlackBerryの米国での売り上げは激減するだろう。米政府は前述の中国企業と、それらの企業がワイヤレス事業者向けに製造する電気通信機器に対して、既に疑いの目を向けている。
米下院情報特別委員会は2012年に発表した報告書で、HuaweiとZTEが製造した電気通信機器は使わないように警告した。同報告書は、「米国の国家安全保障上の利益に対する脅威を考えると、対米外国投資委員会(CFIUS)は、HuaweiとZTEが関わる買収や乗っ取り、合併を阻止すべきだ」と提言した。
たとえカナダ政府がLenovo、Huawei、ZTEによるBlackBerry買収を承認したとしても、同社の米国における事業は壊滅的な打撃を受けるだろう。同社の大企業顧客や米国防総省のような政府顧客が今でもBlackBerry携帯電話を利用しているのは、BlackBerryにセキュリティの強固なモバイル電子メールプラットフォームという確固たる評判があるためだ。米国防総省が一部のAppleデバイスとAndroidデバイスの利用を許可したのは最近のことである。
しかし、はっきりしていることが1つある。BlackBerryに何が起こるにせよ、早めに起こらなければならない。BlackBerryの将来が不確かな状態が長引けば長引くほど、同社は多くの売り上げと顧客を失い、買収を検討する企業にとっての魅力が薄れるだろう。
Current Analysisの業界アナリストであるAvi Greengart氏は次のように述べる。「BlackBerryはこれまでも、あらゆる選択肢を検討してきたと思われる。同社は今回そのことを正式に発表してしまった。危惧されるのは、そのニュースがBlackBerry 10の展開に大きな悪影響を及ぼし、それが買い手企業の同社に対する評価に影響してしまうことだ」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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