Albert Shum氏という人物のことは知らないかもしれないが、同氏がデザインに関わった製品のいくつかは知っているはずだ。
Shum氏は有名なNikeのInnovation Kitchenで働くデザイナーグループの一員だった。Innovation Kitchenは、最終的に「Nike+」運動パフォーマンスモニタリング製品ラインとなる最も初期のプロトタイプを開発したチームだ。Microsoftが5年前にShum氏を雇ったとき、同氏とチームは「Windows Phone」発表の際に目玉となったタイルベースのインターフェースを開発した。
Shum氏は新しいタイプのMicrosoft社員だ。同社は、優れたデザインを切望するようになった消費者の支持を得ようとしており、Shum氏のような創造的なタイプを必要としている。AppleやAmazon、サムスンが作り出す洗練されたスタイリングとますますシームレスになる体験に対抗するなかで、Microsoftは、プログラミングの才能が装飾的なデザインよりも優先されがちな文化から脱却しようとしてきた。Shum氏は、より「右脳的な」創造的思考が「左脳的な」エンジニアリング文化に織り込まれるよう、自身が支援する必要があると考えている。
Windows Phone Design StudioのゼネラルマネージャーであるShum氏は、「それは本当に特別なソースのようなものだ」と述べる。
Microsoftがそうしたデザイン精神を持つまでには長い時間がかかった。1999年、Microsoftの共同創設者であるBill Gates氏は初期のキャンディーカラーの「iMac」を一笑に付し、金融アナリストとのカンファレンスで、「今のAppleが提供している1つのことは、色における優位性だ。Microsoftがそれに追い付くのに長い時間はかからない、とは思わないが」と皮肉を言った。
88名の従業員を抱えるShum氏のグループは、デザインをMicrosoftの事業戦略に据え直す活動の中心にいる。Shum氏は、同社スマートフォン事業を全面的に見直す取り組みにおいて指揮に携わり、シンプルで分かりやすく、そしておそらく最も重要なことだが、Microsoft独自となる新しいタイルベースのインターフェースを考案した。
米CNET ReviewsのBonnie Cha記者は2010年、新しいWindows Phone OSが発表されたときに、「その結果生まれたのは、新鮮で楽しく、機能的なものだ」と書いている。
もちろん、Windows Phoneは非常に大きな課題に直面している。comScoreによると、2012年12月の米国スマートフォンOS市場におけるWindows Phoneのシェアはわずか2.9%で、Appleの「iOS」とGoogleの「Android」OSに大きく水をあけられているという。さらに悪いことに、スマートフォンに関する話題でWindows Phoneが大きく取り上げられることはあまりない。Facebookは先ごろ、Android上で動作する新しいスキンを発表してヘッドラインを飾った。サムスンはWindows Phoneデバイスも製造するが、同社の少なからぬ企業力の多くをAndroid搭載の「GALAXY S4」に振り向けている。GALAXY S4は数週間以内に発売される予定だ。
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