電通が毎年発表している「日本の広告費」で、2014年に国内のインターネット広告費が初めて1兆円を超えた。その要因の1つが、日本では2014年が元年になると言われていた「動画広告」だ。
動画広告と一言でいっても、動画サイトでコンテンツ再生前に配信するタイプ、従来のバナー枠に配信するタイプ、SNSのタイムラインに配信するタイプなどさまざまな種類がある。今後もそのバリエーションは増えていきそうだ。
そんな中、Twitterは、2013年5月に開始した「Twitter Amplify」、その一環として2014年8月に開始した「Promoted Video(プロモビデオ)」の2つのサービスを武器に、動画広告市場を切り開こうとしている。他のSNSや動画サービスでも似たような広告商品があるが、Twitterは「ライブ性」「リアルタイム性」で差別化を図る。
なお、同社の傘下には6秒ループ動画「Vine」があるが、これを活用した広告商品を展開する予定はないようだ。
Amplifyは、メディア企業のコンテンツを企業がスポンサーして、内容に興味があると考えられるTwitterユーザーを対象に配信するもの。スポンサー企業はコンテンツの中に、テレビCM向けに制作した動画など最大15秒の広告を入れることができる。Twitterでは「広告主はフォロワーの範囲を超えて、多くのターゲットユーザーに情報を届けられる」と説明している。現在、15カ国以上で稼働しており、パートナーが130社以上、広告主が100社以上いるという。
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Twitterのコンテンツパートナーシップ&Amplify シニアマネージャーであるマイク・パーク氏によれば、Twitterでの動画視聴の約90%がモバイル端末を経由しているという。なお米Ooyalaが世界130カ国の動画視聴傾向をまとめたレポート「Global Video Index」によれば、2014年第2四半期(4~6月)は、モバイル端末の動画視聴率の平均は約30%だった。
また、Twitterの多くのユーザーはテレビを見ながらツイートする傾向がある。マクロミルが2014年5月に日本で実施した調査では、5人中4人のユーザーがTwitterを使いながらテレビを視聴したことがあるとの結果が出た。また、テレビを見ながらTwitterを利用していた人の75%が、テレビを見ながらツイートした経験があるとしている。
「このような点から、『Twitterは第2の画面』と呼ばれることがある。しかし私たちは『Twitterは第2の“生放送の”画面』と言いたい」(パーク氏)。
Amplifyは、スポーツの試合のハイライト映像などをリアルタイムに配信することに長けているが、パーク氏は「Twitterでは速さが重要」と説明する。スポーツのテレビ中継などである出来事が起きてから、それに関するツイートのタイミングが速いほど、リツイートされる確率が高いという統計が出ているそうだ。
「ツイートの発信とプロモーションが高速であれば、エンゲージメント率がより高くなる。それはマーケティングの成果にも大きな影響を及ぼす」(パーク氏)。
一方のプロモビデオは、広告主が自ら制作したビデオコンテンツをTwitterにアップロードして、特定のユーザーに訴求できるもの。企業のブランディングに活用できるコンテンツであり、Amplifyと比べると広告動画は長めであることが多い。
A lively crowd, a live mic and our most intimidating social experiment yet. Watch Quiet Please to see what happened.
https://t.co/7f9JFAS05f
— Heineken US (@Heineken_US) 2014, 9月 5
「当初想定していたよりも、1分以上の動画の反響がとても良い。4分近くの動画が1万近くリツイートされたこともある。また、1ペイドビューあたりのアーンドビュー(フリービュー)が多い。平均で、ペイドビュー1つあたりアーンドビューが5つで、広告主はCPV(動画1再生あたりのコスト)を効率化できるメリットがある」(パーク氏)。
広告主はこの2つを使い分けて、Twitterユーザーに自社ブランドを訴求することができる。パーク氏によれば、今後、広告動画の管理を簡略化したり、ユーザーがより簡単に動画を視聴できるようにしたりする予定。また、Twitter以外のプラットフォームに動画を配信することも検討しているという。
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