動画広告事業に参入する企業が相次ぎ、YouTubeに動画を投稿するクリエーターの活躍も目立った2014年。業界内で広く叫ばれていた「動画元年」は本当に到来していたのか。最近話題となったYouTubeの再生単価に関するうわさや、「YouTuber最大1000人採用」のその後とあわせて、UUUM代表取締役社長の鎌田和樹氏に聞いた。
――2014年はYouTuber(ユーチューバー)が世間でも大きな話題となった。これは「動画元年」の表れだったのか。
2014年でようやくスタートラインに立ったというところでしょうか。それまで一部の世代にのみ浸透していたYouTuberの存在が世間一般で知られるようになり、YouTuberを活用したタイアップ広告に対する問い合わせも年末にかけて増加しました。
そういう意味ではようやく認知が広がったという印象で、2014年はほとんどのタイアップ広告は新規案件というケースが多かったです。最近になってようやくリピートの案件が出てくるようになりました。
――ようやく広告商材として認知され始めた段階だと。
そうですね。当社でも2014年12月に「Yの冒険」というYouTube実況向けゲームアプリ「Yの冒険」をリリースして、3名の当社所属YouTuberにゲーム実況を依頼しました。その結果、ダウンロード数やその後のリテンション率など、非常に高い広告パフォーマンスを確認できました。こうした事例などを踏まえて、いかに広告効果が高いかという点を広告主に対してアピールしていかなければならないと考えています。
2014年は複数の企業でさまざまな動画事業が立ち上がったこともあり、当社にも提携の話が多く舞い込んでくるようになりました。2015年は動画関連ビジネスが本格的に盛り上がっていくのではないでしょうか。
―― 一方で、最近YouTubeの再生単価が下がっているといううわさが流れた。実際はどうなのか。
当社に所属するクリエーターの再生単価の推移を見ている限り、単に季節性に沿ったトレンドだと理解しています。確かに広告出稿が集中する12月に比べて、1月は広告出稿が減りやすい上に再生回数が伸びやすいため(すなわち広告枠の在庫は増えやすいため)、再生単価は下がりやすくなります。当社でもその傾向は出ています。
ただし、クリエーターによって差はありますが、全体として、2014年1月と比べた場合には、今年は昨年を上回った水準で推移しています。YouTubeの再生単価が構造的に下がったという認識はなく、むしろ広告主への認知が広がっている影響で、年間で見れば上昇トレンドにあるという認識です。所属クリエーターと話してみても、足元の傾向は全く悲観していないですね。ごく当たり前の傾向として受け止めています。
季節性上、3月は再生単価が大きく上がりやすい時期になりますので、3月頃には再生単価に関する懸念も薄らいでいくと思います。
――クリエーターによって再生単価に差はあるのか。
差はあります。広告のつきやすさで決まってくるので、コンテンツの中身や視聴者層によって再生単価は違ってきますね。今後も優良なコンテンツとそうでないコンテンツで再生単価の差は広がっていくのではないでしょうか。
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