『いよいよ飛躍する「ネット動画広告」』の第5回目は、インターネット動画広告配信プラットフォームを提供するVideologyのアジア・パシフィック責任者のKen Paoさんにご登場いただきます。Ken Paoさんは、Videology創立時からのコアメンバーのひとりとして、日本およびアジアでの市場開拓を引っ張っていらっしゃいます。
Ken:Videologyは世界最大級のインターネット動画広告配信プラットフォームです。主にブランド広告主を扱うエージェンシーに対してPC、モバイルなどマルチスクリーンへのビデオ広告配信ソリューションを提供しています。既存のディスプレイテクノロジーの延長ではなく、テレビ広告を行っているブランド広告主を扱うエージェンシー向けに、UIや配信機能などを最適化しているのが特徴です。数学の専門家による高度な数理解析を駆使したデータを用いて、ある期間に決まったインプレッション配信を保証する予約(ギャランティー)配信を可能にしています。
Ken:米国のインターネット動画広告市場は2013年度で約4000億円規模、2016年には8000億円規模になると予想されています。参考までに、日本では、2013年度132億円規模で、2016年には400億~500億円規模になるのではないかと予想されています。
テレビ広告とインターネット動画広告を組み合わせた事例としては、ある高級車メーカーが参考になると思います。この高級車メーカーは従来テレビ広告のみを行っていましたが、テレビ広告のみでは思うようなリーチが獲得できていないという課題を抱えていました。
そこで、ある特定の地域と年齢層に絞ったインターネット動画広告と従来型のテレビ広告を組み合わせてキャンペーンを行った結果、キャンペーン全体でターゲットリーチが17%向上しました。また、後の調査ではオンラインでリーチできたユーザーの一部はテレビを見る習慣がないことも分かりました。このようにテレビ広告にインターネット動画広告を組み合わせることで、テレビ広告だけではリーチできない層にアプローチすることも可能になってきました。
動画コンテンツとしては、テレビ局のドラマなどを見逃した視聴者向けのキャッチアップ動画や、Huluなどの動画コンテンツポータルなどが人気です。
Ken:我々のプラットフォームが、ブランド広告を扱うエージェンシーに選んでいただけている理由はいくつかあると思います。まず、さきほども申上げましたがVideologyのプロダクトはエージェンシーが使っていただきやすいように開発されています。UIやレポートなどもエージェンシーが使いやすくなるように努力していますし、サポートも充実させています。ただ個人的には、従来のテレビ広告のように固定CPMで在庫予約して配信できる予約配信機能が評価されているのではないかと考えています。
テレビCMを多く流しているブランド広告主は、従来どおりの期間内に特定の配信数を保証する「ギャランティ配信」を好まれますので、Videologyのプロダクトを使った動画広告キャンペーンの配信と相性がよいはずです。また在庫予測テクノロジにより各ターゲティングを設定した場合の在庫数が予測できるのも特徴です。これにより、ブランド広告主は固定CPMで、ギャランティ配信で、かつ地域やデモターゲティング設定を行い配信できます。
例えば、ニューヨークに住む40代の男性のみに高級車の動画広告を配信することができるわけです。従来のテレビ広告ではニューヨークに住むすべての年齢層が対象でしたが、この機能を用いることによって、ブランド広告主にとっては従来型よりも低いリーチコストでターゲットユーザーに動画広告を届けられます。
Ken:動画広告という観点では、前述のテレビ局のキャッチアップコンテンツなどが、ひとつのターニングポイントになったと思います。テレビ放送のドラマなどをリアルタイムで見られなかった視聴者向けに、期間限定でインターネット配信されるコンテンツのことをキャッチアップコンテンツと呼んでいるのですが、ある欧米のテレビ局ではこれらのキャッチアップコンテンツをインターネットで配信することで、次週のテレビ放送の視聴率が向上した事例が見られました。
いろいろな考え方があると思うのですが、キャッチアップコンテンツを配信することで、既存の放送コンテンツの視聴率に寄与するのであれば、テレビ局がキャッチアップコンテンツをインターネット配信すると判断することを理解できるのではないでしょうか。
また制作済みのコンテンツのため、新たに制作費を投入することなく、インターネット動画広告から収入を得られることも大きいのかもしれません。これらのように一部のコンテンツホルダーの試みが他のコンテンツホルダーにも広がり、インターネット動画コンテンツが拡充され、多くのユーザーがインターネットで動画視聴するようになっていったのではないかと思います。また、結果的にインターネット動画広告マーケットの拡大にもつながっています。
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