IRの現場で、TwitterやFacebookなどソーシャルメディアの議論が盛んだ。
しかし、IRの仕事として使うことには今ひとつだ。
IR業界の有力誌「インサイドIR」電子版(5月28日付)では、いまTwitterを積極的に使って自社のニュースやトレンドをシェアしているIR担当者10人を取り上げた。
その10人のなかでも、フォロワーが3万3800人といわれるワールド・レスリング・エンターテイメント(WWE)のジェシカ・デイビス(@WWEinvestor)、ドイツのソーシャルメディアを引っ張ってきたドイチェ・ユーロショップのパトリック・キス(@pkiss)、英国IR協会のIRベストガイドライン賞ソーシャルメディア部門で2年連続受賞(2012年、2013年)のBASFでTwitterを担当するアンドレア・ウェンシャー(@BASF_IR)の3人の動向は、IR関係者ならずともウォッチしておきたいところだ。
最初はWWEのIRディレクター、ジェシカ・デイビスである。IRサイトプロバイダー大手Q4ウェブ・システムズの調査によれば、WWEのIR部門のTwitterアカウントは3万3800ものフォロワー数を獲得している。WWEには大勢のソーシャルメディアの聴衆がいるのだ。
デイビスは、スパンデックス・タイツのレスリング最新ニュースはもちろん、マーケティングや自社の株主動向を書き、投資家の質問にも個人的に回答している。
公平開示規則によく配慮されており、ほどんどのツイートは読者がWWEのウェブサイトに載っている情報に立ち返る仕組みとなっている。
2人目は、欧州各地で大手ショッピングセンターを展開するドイチェ・ユーロショップのIR・PR責任者、パトリック・キスである。
キスはドイツにおけるIR活動の中心的人物だ。キスは英語とドイツ語でツイートしている(@pkiss)。
そこでは、時には自分自身の関心であるランニングや美術館訪問についても書くが、ダークプールからコーポレートアクセス、IRカンファレンスなど市場やIRについてもよく論じ、この間に6000もツイートしてきた。フォロワーは2810と多くの数を獲得している。
独BASF、2年連続受賞にウェンシャーの貢献
3番目は、ドイツの化学大手BASFのIR Twitterアカウントを担当するアンドレア・ウェンシャーだ。彼女のツイートは昼夜を問わず、カプセルコーヒーからスポーツ向きのスキンサポーターまで、自社の製品が消費者の日々の暮らしに役立っていることを訴えている。
BASFのツイッターは、2009年第3四半期決算発表に向けに立ちあげられ、それ以来、“ツイーティング”は同社のコミュニケーションツールの1つとして定着している(@BASF_IR)。
彼女はIRチームの1人としてTwitterを担当。決算ではライブツイーティングでQ&Aへの参加を呼びかけ、BASFの投資家に対する自社に対する理解の広がりや双方向コミュニケーションに注力してきた。
下記のように、フォロワー数で見ると、次に続くのは、米オンラインミュージック、パンドラのドミニク・パチェルや米不動産ジローのRJ・ジョーンズ、そして、スウェーデンの顧客管理サービス、トランスコムのステファン・ピーターソンに英リクルートのヘイズ、デビッド・ウォーカーだ。この4人のTwitterも一度はチェックしたい。
この10人は、米国、ドイツ、英国、スウェーデンの各企業で働くIR担当者だ。
では、日本企業はどうだろうか。ソーシャルメディアをめぐる議論はやりつくし、IRで使うにはどうしたらいいのかも分かった。
あとは、ツイッターの始動を待つばかり。そう思うのだが……。
この記事はビデオリサーチインタラクティブのコラムからの転載です。
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