この4~5月、2つの国の市場監督当局がソーシャルメディアに関連する決定を行った。
1つは4月2日、米証券取引委員会(SEC)が、ツイッターやフェイスブックなどのソーシャル・サイトについて、企業各社が投資家にどのソーシャル・サイトを利用するかを事前に告知していれば、重要な開示情報の伝播ツールとして認める判断を公表したことである。
この判断に当たってSECは、今日の市場におけるソーシャルメディア・チャンネルのもつ価値やその普及ぶりを高く評価し、 各社のこうした新たなコミュニケーション方法の追求を支持すると言い切り、今回の発表は、まさにソーシャルメディアを広く活用している市場関係者の実情に見合う措置だった。
米IRコンサルタント大手ブランズウィック(本社シカゴ)の調査によれば、ウォールストリートのアナリストや投資家の8割は、このSECの決定で企業各社がいまよりもさらにソーシャルメディアを活用するようになると予想しているという。
もう1つは5月、オーストラリア証券取引所(ASX)が、上場の企業は重要な発表に際して、自社の事業に関連する投資家のブログやチャット・サイトなどのソーシャルメディアを確認し、モニターしなければならない、という上場企業の開示規則を施行したことである。
もちろん、「自社の事業に関連する投資家のブログやチャット・サイトなどのソーシャルメディアを確認し、モニターしなければならない」とする規則に対応できる方法を模索することになる。
では、いったいどうようにすればいいのだろうか。デジタル・マーケティング会社オンライン・サークル(本社メルボルン)による次のような対応ガイダンスが、ひとつの参考になるかもしれない。
まずは、1)自社ビジネスの重要なキーワードを作成し、2)業界に関連するウェブサイトのリストを用意することだ。次は、3)自社ウェブサイトのコンテンツ変更をモニターする。
例えばウォッチ・ザット・ページを利用すれば、新たな情報が収集でき、自社のトップ5のウェブサイトの変更状況も把握できる。
そして、4)ウェブ上の新着コンテンツのチェックである。これにはGoogleアラートがいい、という。
このGoogleアラートに前出のキーワードを書き込めば、自社に関して何が語られているのか、そして気になるニュースをらくらくとモニターできる。
もちろん、同業他社や業界に関する最新情報も入手できる。例えば、このアラートに、自社のCEO(最高経営責任者)など経営トップの人たちを組み込むのも1つの方法だ。
対応ガイダンスの最後は、5)ツイッターの「サーチ・アドバンスド(高度な検索)」の活用である。
単語やフレーズや、特定地域の特定ユーザーによるツイート、また、そのツイートがポジティブかネガティブか、などの情報を検索できるというわけだ。
オンライン・サークルのジェフ・リチャードCEO(最高経営責任者)は「今回の規則は、たんなる規則以上の効用がある」と語る。
「ソーシャルメディア上の誤報や市場操作につながるポスティングの早期発見は別にして、こうしたソーシャルメディアのモニタリングと分析は市場全体に対する洞察力をもたらす」。
たしかに、このガイダンスは、IR担当者がいますぐ取り掛かりたいヒントに満ちている。
日本企業はもちろん、どの国でもソーシャルメディアに関心を寄せる企業は多い。それだけに、このASXの新たなルールと上場各社の対応から目を離せない。
この記事はビデオリサーチインタラクティブのコラムからの転載です。
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