この機能には完全に意表を突かれた。そして「iPhone 16 Pro」を圧倒している──。
ロンドンで発表されて以来、筆者は「Nothing Phone (3)」をじっくり試している。透明な背面パネルに、新たに背面に搭載されたGlyph Matrixディスプレイという遊び心あるデザインは、やはり目を惹く。
プロセッサの実力やバッテリーの持ちはまだ本格的に評価できる段階ではないが、ひとつどうしても触れておきたい機能がある。それがカメラの「マクロモード」だ。
なぜ、あえてマクロ撮影というニッチな機能を語るのか。不思議に感じる人もいるかもしれない。このモデルはNothingが「初の本格フラッグシップ」と位置付けており、確かにスペックを見る限り、妥協を許さない高級モデルだ。
その分、799ドル(約11万円、日本発売は未定)という価格設定は、Pixel 9のような人気モデルや、あのiPhone 16にも手が届きそうな領域に入っている。だからこそ、このスマホには他機種と一線を画すような個性的な強みが必要になる。筆者が今もっとも惹かれているのは、まさにこのマクロモードだ。その理由を説明させてほしい。
こちらはエディンバラの晴れた日に撮影した、花の蜜を吸うハチの写真だ。驚くほど近くまで寄れ、しかもハチの顔や足についた小さな花粉の粒のディテールも鮮明に捉えており、背景は自然で美しいボケ味を見せている。色彩も鮮やかなのに、あくまでも自然なトーンに落ち着いている。そして日光を浴びた黄色の花びらにも、光が飛び過ぎず、細部の階調がしっかり残っている。
筆者自身、長年プロのフォトグラファーとして活動し、YouTubeのチャンネルも運営している。そこでは、数千ドルする機材を駆使した本格的なマクロ撮影も行っている。その経験から言っても、今回は特別なレンズやライトは一切使わず、Nothing Phone (3)の標準カメラ、そのマクロモードだけでこんな写真が撮れてしまったのだ。
もちろん、マクロ機能が搭載されたスマホはNothing Phone (3)だけではない。実際、ほとんどの高級スマホがマクロ撮影に対応している。例えばiPhone 16 Proも超広角レンズでの接写に対応している。
しかし、同じシーンをiPhone 16 Proで取った写真が下記だ。確かに寄れてはいるが、超広角レンズゆえにハチや花のスケール感は異なって見える。これこそ筆者が普段スマホのマクロモードに抱いているイメージそのものだ。輪郭やディテールは妙に強調され過ぎ、背景のぼかしも不自然だ。撮影時の設定は「ナチュラル」を選んでいるのに、実際には緑が色あせ、黄色は精彩を欠いている。
ProRawで撮ってLightroomで編集すれば、たしかにずっと良い結果にはなる。それでも、Nothing Phone (3)はそんな手間をかけずとも、カメラ任せで素晴らしい結果を出してくれる。
スマホを選ぶ決め手が「昆虫のマクロ撮影」なんて、かなりマニアックな話かもしれない。だが筆者にとって、他のモデルにはない驚きや楽しさを与えてくれた最大のポイントは、このマクロモードにある。
以上が、短期間のテストを経て現時点で強く感じたことだ。これからさらにじっくりとNothing Phone (3)を試していくつもりだ。
Nothing製品一覧(Amazonで価格をチェック)この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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