デジタルマーケティングの最新動向を紹介するイベント「Adobe Digital Marketing Forum 2013」で楽天の事例が紹介された。同社編成部 アクセス解析・最適化推進チーム リーダーの高橋歩氏は「楽天流 データドリブンな組織の作り方」と題し、アクセス解析やウェブサイト最適化への取り組みを紹介しながら、“データドリブン”な組織を構築してきた工程を解説した。
楽天では、4200人の担当者がアクセス解析の「Adobe Analytics」、ウェブサイトなどでパーソナライズした情報を提供する「Adobe Target」を活用しながらウェブサイトを運営している。彼らが属しているのは、国内外で40を上回る事業部門だ。電子商取引のプラットフォームである「楽天市場」を筆頭にオークションや銀行、証券をはじめとする金融、旅行代理業など多岐に渡っている。
楽天グループは、インターネットを通じて、人々と社会を“エンパワーメント”することを経営の基本理念としている。その行動指針である「楽天主義」では、成功のコンセプトとして「常に改善、常に前進」「Professionalismの徹底」「仮説→実行→検証→仕組化」「顧客満足の最大化」「スピード!! スピード!! スピード!!」の5つを掲げている。
「常に改善、常に前進」「仮説→実行→検証→仕組化」の鍵となるのが、データに基づく意思決定だ。同社グループではAnalyticsをウェブ行動分析の基盤として用い、さまざまな経営判断や意思決定は、ここからもたらされるデータを指針としている。基本的に「Adobe Marketing Cloud」が全面的に採用され、ウェブマーケティング活動の軸となっている。
事業部の枠を超えて横断的に、それぞれの部門がデータドリブンの組織となるよう支援するのが「アクセス解析・最適化推進チーム」であり、「楽天を究極的なデータドリブンカルチャーを持った企業にすること」(高橋氏)が目標だ。
同チームが目標を実現するために実行した施策について、高橋氏は、(1)役割を見える化する、(2)プラットフォームを用意する、(3)しくみでエンパワーする、(4)Web Analyticsの未来を描く――の4つの観点から説明した。
「役割を見える化する」は、担当者の役割と責任範囲を明確に規定することを図っており、実装、分析、提案といった役割の定義を厳格にした。これらを曖昧にしておくと、活動の重複による非効率などが発生する。そこで、すべての事業部に戦略立案、レポート・分析、実装・開発の担当者を配置、同チームが支援し、Web Analyticsを推進する体制を整えた。
役割の次には、そこで求められる知識とスキルを定義した。たとえば、ウェブ分析担当者であれば、アクセス解析の「Adobe SiteCatalyst」について、基本的な操作法や知識を体得していることなどだ。
同チームは、これらのような知識とスキルの習得に向け、各担当者に対し、トレーニングやサポートを実行した。高橋氏は「インフォーマルなコミュニティも大事」と指摘する。
「部署や職種を超えた“ゆるい”つながりから、新しい考え方がわかったり、新たな取り組みが生まれることもある」からだ。実際、同社には会社公認の同好会「Rakuten Analyst Club」があり、アナリスト約40人が集まり、時に酒を酌み交わしながら、一つのテーマに取り組んでいるという。
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