ヤフーは4月25日、2013年第3四半期通期の連結業績を発表した。6年ぶりに売上げ、利益ともに2桁成長を達成し、サービス開始以来16期連続での増収増益となった。ヤフーでは2012年4月に宮坂学社長による新体制を発足させたばかりで、1年目にして大きな成果をあげた。
2012年度の業績に貢献したのが、1月末に再編した広告ソリューションだ。ヤフーでは、これまで「ディスプレイ広告」と「リスティング広告」の2種類の広告商品を提供してきたが、再編にともないディスプレイ広告の名称を「プレミアム広告」に、リスティング広告の名称を「プロモーション広告」にそれぞれ変更した。
主なサービスの変更点として、まずプレミアム広告では、ブランドパネルやプライムディスプレイなどのバナー商品を強化。ポータルサイト「Yahoo! JAPAN」の背景をジャックする「トップインパクト」など、よりリッチな表現でユーザーの記憶に残るインタラクティブな広告を提供する。
プロモーション広告は、これまで検索連動型広告「スポンサードサーチ」と興味関心連動型広告「インタレストマッチ」によって構成されていたが、再編後はインタレストマッチの機能を拡張。ターゲティングやマッチング力を強化した「Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)」へと生まれ変わった。YDNではテキストだけでなく画像や映像コンテンツも活用。クリック単価に加えて表示回数についても指標とする、スマートフォン重視のプロダクトとなる。
「これまではディスプレイ広告とリスティング広告の大きく2つを提供していたが、価値が重複している部分が多々あった。ディスプレイ広告はブランディングに、リスティング広告はプロモーションにと整理していたつもりだが、結果的に逆の目的で使われるケースもあった。本来のソリューションの役割を考えた時に、それぞれのニーズにきちんと合った広告商品にする必要があった」――こう語るのはヤフー マーケティングソリューションカンパニー ディスプレイ広告ユニット ユニットマネージャの高田徹氏だ。
再編に向けて「ヤフーとしてタブー視していた」(高田氏)というアドテクノロジ企業との連携も強めた。より表現力の高い広告サービスを提供するために「MediaMind」と提携。また、Criteoとともにクリック課金型リターゲティング広告を、BrightTagとともに、さまざまなタグを一元管理できるタグソリューションの提供を開始した。
これらの取り組みの効果もあり、2012年度は広告事業の売上げが大幅に増加した。プロモーション広告では売上げが過去最高を記録、特にスマートフォン経由の売上が増加した。また、プレミアム広告もブランドパネルやプライムディスプレイへの出稿が伸びたことで売上が過去最高となった。再編後は、小口の顧客も多いとしながらも「広告主の数が千の単位から万の単位に増えた」と高田氏は語る。
4月から社内の組織体制も刷新した。リスティング広告はもともと子会社化したオーバーチュアが提供していたこともあり、ヤフーでは、ディスプレイ広告とリスティング広告の営業本部が分かれていた。つまり、1社の顧客に対して2人の営業担当者が提案に行っていたというわけだ。これを組織再編によって統合した。
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