ヤフーは4月12日、スマートフォン向けの電子チケット販売サービス「PassMarket」を開始した。ユーザーはイベントのチケットを購入し、発行されたQRコードを会場の受付けに提示するだけで入場できる。イベント以外にもクーポンや整理券、商品引換券などの配布・販売に活用できるという。サービス開始当初は企業向けに提供するが、夏ごろには個人にも解放し、誰でも数人~数万人規模のイベントを開けるようにする。同社では2014年春までに20億円の売上げを目指す。
ユーザーは、PassMarket上に掲載されているイベント情報から参加したいイベントを選んで電子チケットを購入する。支払い方法はクレジットカードと「Yahoo!ウォレット」から選択でき、今後はコンビニ支払いや各社のキャリア決済にも対応する予定。なお、サービスの利用には「Yahoo! JAPAN ID」が必要となる。
ヤフーの各種サービスとも連携しており、イベント情報ページからシームレスに会場までのアクセス方法を「Yahoo!地図」や「Yahoo!乗換案内」アプリで調べたり、無料通話・メッセージアプリ「カカオトーク」の友人に共有したりできる。電子チケットは「Passbook」にも対応しているため、イベント開始前や会場付近に着いた際にアラートを鳴らすこともできる。
PassMarketは、ソフトバンクがグループ企業の全社員を対象に実施している新規事業提案制度「ソフトバンクイノベンチャー」から生まれたサービスだ。開発を担当したヤフーの稲葉健二氏は「毎年クリスマスになるとチキンを買うようにしているが、いまだに予約のために電話をしたり、わざわざ店舗まで行って紙の引換券をもらったりする必要がある。これだけスマートフォンやネットが普及している中で、もう少し何かできるのではないかと考えた」と開発の経緯を語る。
イベント主催者は、チケットの価格を無料または100円~50万円まで設定できる。月額料金やイベント情報の登録料は無料で、チケット1枚あたり5%の手数料が発生する仕組み。また、会場での入場確認にはQRコードを読み取る専用アプリをインストールしたスマートフォンを使用するため、従来のように電子チケットを確認するための高額な機器などは不要だ。
稲葉氏は「大手のチケット会社だとイベント情報を掲載するだけで5~6万円かかり、手数料も10%近く発生する。また情報掲載には1カ月以上かかるが、PassMarketであればイベント開催の前日でも登録できる」と、導入コストの低さや柔軟性の高さをアピールする。
各ソーシャルメディアとの連携機能も搭載しており、主催者はイベント情報をFacebookやTwitter、カカオトーク、LINEなどで告知できる。また、イベント登録と同時にFacebookのイベントページを作ることも可能で、Facebookの友人の参加状況をPassMarket上から確認できるという。
「主催者にはソーシャルメディアでファンを増やしてもらって、チケット販売はPassMarketを使ってもらう。既存のチケットサービスでは1回限りで関係が切れてしまうことが多かったが、PassMarketでは主催者がどんどんファンを増やして、回を重ねるごとにイベントを活性化させることができる」(稲葉氏)
PassMarketは、すでに5月25日と26日に横浜で開催されるハンドメイド作品の展示・販売イベント「ヨコハマハンドメイドマルシェ2013」での採用が決まっているという。夏以降は個人でも利用可能にすることで、ヨガ教室の集客や花火大会の座席販売、店舗での新製品の整理券配布など、幅広い用途で活用してほしいとしている。
稲葉氏は「PassMarketには2つの側面がある。既存の紙チケットの代替になることと、これまで紙チケット化できなかったモノ・コトを電子チケット化して誰もが簡単に売り買いできるようになること。ヤフーでは特に後者に力を入れていきたい」と語り、これまでチケットや整理券を手で売るしかなかった中小企業や個人の課題をPassMarketで解決していきたいとした。
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