米航空宇宙局(NASA)の核分光望遠鏡アレイ(NuSTAR)は、われわれの銀河系の中心に存在する超大質量ブラックホールの高エネルギーX線を初めてはっきりと捕らえたこれらの写真を撮影した。赤外線で撮影された背景画像は、いて座A*(短縮形はSgr A*)と呼ばれる、われわれの銀河系の巨大ブラックホールの位置を示している。NuSTARは高エネルギーX線を観測できる初めての望遠鏡で、天文学者がブラックホールのような究極の物体を精査する新しいツールとなっている。
メインの画像で、最も明るい白色の点は、ブラックホールの最も近くにある最も高温の物質で、その周囲のピンクがかった斑点は高温ガスだ。この高温ガスは、近くの超新星残骸の一部である可能性が高い。右側の時系列の画像は、NuSTARが2012年7月、2日間にわたる観測の中で撮影したフレア(爆発)現象を示している。中央の画像には、ピークに達したフレアが写っている。このとき、ブラックホールは物質を吸収し、華氏1億8000万度(摂氏1億度)の温度まで熱していた。
メインの画像に写っているのは、4つの異なるX線エネルギーを持つ光だ。青色の光は10~30キロ電子ボルト(keV)、緑色は7~10keV、赤色は3~7keVのエネルギーをそれぞれ表している。時系列の画像には、3~30keVのエネルギーを持つ光が写っている。
われわれの銀河系の中心部が写った背景画像は、NASAのSpitzer宇宙望遠鏡によって、より短い赤外線波長で撮影された。
提供: NASA/JPL-Caltech