2003年に赤外線アレイカメラ(IRAC)を搭載して打ち上げられたSpitzer宇宙望遠鏡は、これまで宇宙空間に送られた中で最大の赤外線望遠鏡だ。米航空宇宙局(NASA)によれば、Spitzer宇宙望遠鏡の観測機器によって、科学者たちはちりの多い星誕生領域や、銀河中心部、成長中の惑星系など、可視光の光学望遠鏡では観測できない宇宙の領域を詳しく観測することができるようになったという。
Spitzer宇宙望遠鏡は、打ち上げ時には搭載カメラの冷却液として液体ヘリウムを搭載していた。カメラの発する熱が、高温の天体が放射する赤外線の観測を妨げるためだ。この冷却液は予定通り徐々に減っていき、2009年に底を突いた。これは今から約1000日前にあたる。しかし、IRACはすべての赤外線センサが使えるわけではないものの、今でも撮影が可能である。
このフォトレポートでは、Spitzer宇宙望遠鏡がこれまでに撮影した画像の一部を紹介する。
この写真の星雲には「竜巻(Tornado)」というニックネームが付いており、緑に見えている光は、衝撃波を受けた水素分子から発せられたものだ。若い恒星から吹き出した物質のジェットが周囲のガスやちりの中に衝撃波を引き起こして発生したと考えられている。
提供:NASA / JPL-Caltech / J. Bally (University of Colorado)