「W3Cが再び失敗を犯さない限り、WHATWGは今後もW3Cと喜んで連携していくと思う。ここにWHATWGとW3Cの対立構造はない。実際、この2つの団体は複数のチャネルを共有している。例えば、この仕様のWHATWGバージョンには『レビューコメントを送信』というツールがあり、そこで入力したコメントは実際にW3Cのバグデータベースへ送信される」(Hickson氏)
「Firefox」の開発元であるMozillaのエンジニアリング担当バイスプレジデントMike Shaver氏は、次のように付け加えている。「WHATWGは参加するための障壁が比較的低いため、今後も多くの開発者(そして、コンテンツ作成者のような開発者以外の人)にとって、ウェブ開発に参加できる場所として魅力的な存在であり続けるだろう。ウェブ開発者は記憶力が優れている。多くのウェブ開発者は、W3Cがウェブに注力し、Microsoftが積極的に参加している状態が続くという確信を抱く前に、W3CがHTML5を無事に完成させるのを見たいと考えるだろう」
4月にGoogle、Opera、Mozilla、Appleの従業員が一堂に会し、「WHATWGは今でも貴重な役割を果たしている」と結論づけたとHickson氏は記している。具体的には、WHATWGは「実験のプロセスが容易」な上に、「W3CのHTMLワーキンググループの失敗というできれば避けたい事態が発生したとき、既に完成している『非常口』としての役目を果たすこともできる」とHickson氏は言う。
同氏は、W3CとWHATWGの間に正式な連携機構はないが、これら2つの団体はつながっているとしており、「実際には、WHATWGに深く関わっている人の多くは、W3C HTML Working Groupにも深く関わっている」と述べる。
新しい標準を現実世界にどのように公開すべきか、という問題についても一定の緊張状態が発生している。今日では、新しいテクノロジを設計する最善の方法や、さらには新しいテクノロジが標準になるべきかどうかについて合意が得られる前に、ブラウザに組み込まれている。Microsoftはこのプロセスの早い段階で標準化を行うべきだと考えている。そうなれば、開発者は複数の異なるブラウザに対応するために、同じページの複数のバージョンをコーディングしなくても済むからだ。
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