このように、2005年のIPOは好調だったわけだが、もう少し個別に見ていこう。表2と併せて見てほしい。表2は、2005年末(大納会の12月30日終値)の株価が、公募・売り出し価格に対してどのくらい上昇、あるいは下落したかをランキングしたものだ。上位と下位を10社づつ取り上げた。
表2:2005年年間IT・インターネット関連株のIPO動向
年末までのパフォーマンス(単位:%)
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
まず、表1で抜きに出たトップのオールアバウトに注目してほしい。通常、上場に伴う株式の公募・売り出しで人気化した、つまり初値のパフォーマンスが好調だった企業(表1のランキング)は、急速に上がった分だけ調整局面を迎えることが多い。オールアバウトも、初値が公募・売り出し価格に対して約8倍となった。これだけで特筆すべきだが、その後当然のごとく調整局面を迎えたが、表2の通り年末に至っても公募・売り出し価格に対して約5倍の値上がりとなっている。初日に売り逃した人が今売却したとしても約5倍のパフォーマンスを得られるわけだ。
これは、リクルートからヤフーという資本の背景による支えもあるが、第2ステージに入った成長性を織り込んだ評価ともいえるだろう(関連記事)。
それから、もう1つ2005年のIPOを語る上ではオンラインゲームのガンホーは外せないだろう。ガンホーは表2のだんとつのトップで、11倍の値上がりを示している。この企業も、資本背景を見ると筆頭株主はソフトバンクBBで、代表取締役会長の孫泰蔵氏はソフトバンク社長の孫正義氏の実弟ということも材料視にされていた(関連記事)。
しかし、ガンホーに実態がないわけではない。日本の成長企業50社のランキングである第3回「デロイト トウシュ トーマツ 日本テクノロジー Fast50」で、ガンホーは圧倒的な成長率1位だった(関連記事)。
これが波及して、同じオンラインゲームを手がけるゲームポッドも、まだIPOしてから日が浅いが好パフォーマンスだ。
こうしたIPO好調の中で、2005年はインフラ系の企業は評価が低かった。インターネットイニシアティブは一度ブックビルディング時の不人気から上場を延期したが、再度上場を果たした。そうした経緯を考えればまずますのパフォーマンスだったといえるのではないか。2005年にIPOを延期したのは、この企業とIT関連ではないがリビングコーポレーションだった。構造計算書の偽造を見落としたことを公表して、投資家の判断を誤らせる懸念が生じたためなので、人気の度合いなどとは意味が異なるわけだが。
また、子会社連動株が日本市場では受け止められなかったこともはっきりした年といえる。ソニーコミュニケーションネットワークの上場の経緯をふまえてほしい(関連記事)。4月にソニーが検討を開始してから、8カ月後に普通株を上場することを決めた。
このように、簡単ではあるが、2005年のIPOを総括してみた。2006年もIT・インターネット関連ではメジャーな目玉ベンチャー企業が相次いで新規上場を申請する噂がしきりにある。同業界だけを考えても、少なくとも上半期は2005年の好調を引き継ぐだろう。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
すべての業務を革新する
NPUを搭載したレノボAIパソコンの実力
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力