11月30日にジャスダック市場に上場したばかりのファンコミュニケーションズに、市場関係者のあいだで“来年の有望株”との見方が浮上している。同社はアフィリエイト(成功報酬型)広告を専門とするインターネット広告代理店。成功報酬型広告市場で約20%とトップシェアを占める。
同社は「エーハチネット」のブランド名でサービスを展開。成功報酬型とは、広告掲載先から訪れたインターネット利用者が商品を購入したり、会員登録するなど具体的な効果があったときのみ広告費を支払う形式。費用対効果の極めて高い手法として足元で高い成長を遂げている。
アフィリエイトサイトと呼ばれる同社審査済みの広告掲載サイトは今12月期予想ベースで25万サイト、広告主は同1850社。広告主は初期導入費用として5万円、基本管理費としての月額4万円のほか、同サイトへの成功報酬の30%をコミッションとして同社に支払うシシテムだ。
同社のサービスを使用する広告主の平均広告費は月額20万円程度。同サイト数は足元で月1万5000ペースで増加。同サイト増加は広告主にとって出稿先の多様化、広告主の増加はサイトオーナーにとって広告収入の増加につながるため、シナジー(相乗)効果を伴って拡大を続けている。すでに社会現象にもなっているブログの飛躍的な普及は、同社にとってアフィリエイトサイト数増加の追い風に働く。ブログ市場は今後2年間でさらに2倍へ成長するとの予測もあり、当面は良好な市場環境が続く見通しだ。
11月30日、ジャスダックに新規上場したファンコミュニケーションズが公開価格150万円の2.2倍に当たる330万円で初値を付けた。初値ベースの今12月期予想PERは165倍。初日の出来高は公開株数1100株に対して6693株。初値形成後は乱高下の展開となった。高株価ランキングではセンチュリー21を抜いてトップの座を占めた。同社は上場当日の11月30日に第3四半期(05年1〜10月)決算を発表。非連結経常利益は5.56億円と今12月期計画と比較した進ちょく率が87%に達したことで、業績増額期待が高まっている。
2005年12月期の非連結決算について同社では、売上高43億1000万円(前期比87%増)、営業利益6億7500万円(同2.2倍)、経常利益6億3500万円(同2.1倍)、当期税引き利益3億6800万円(同32%増)と予想している。上場当日の会見で柳澤安慶社長は「成功報酬型広告の市場は今後2年間で2倍に成長する見通しにあり、当社も現状2割強のシェアを維持・上昇させて成長していく。今後はマーケティングビジネスなどへの事業領域拡大、新媒体の開発などを進めていく」と語った。
同社の将来性について外国証券のIT担当のアナリストは「費用対効果などの効率性でアフィリエイトを上回る新しい広告手段が出現する可能性や、現状アフィリエイトサイトサービス事業の売上構成比率が90%以上と非常に高いこと。さらに、提携している広告主やサイトが公序良俗に反する違法行為を行う懸念など、ある程度のリスクはあるものの、今後のブログの急成長によりアフィリエイトサイトの飛躍的な拡大が見込めることから、今年新規公開したベンチャー企業の中でも、来年の活躍が期待できる銘柄の代表格といえる」としている。
株価は上場初日に330万円で初値をつけて以降、いったんは12月5日に247万円まで反落したものの、その後反発に転じ300万円水準にまで戻している。現在の株価に割高感は否めないものの、年末までの地相場水準模索の値固めあとは、中期的に400万円台乗せをめざす展開が期待できそうだ。
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