インターネット上の飲食店情報検索サイト「ぐるなび」の運営を手掛けるぐるなびが、4月25日に大証ヘラクレスに新規上場する。「ぐるなび」は、行きたい店をすぐに見つけられる日本最大級のグルメ情報サイトだ。値段、場所、用途などさまざまな条件で自由に検索できるほか、どこからでも情報を得られるよう、携帯電話をはじめとするあらゆる情報端末に対応し、最新情報をユーザーに無料で提供している。したがって事業内容としては、飲食店向けにインターネットを活用したPRおよび販売促進などのサービスを販売し、収入を得ている。
さらに、個人向けBtoCの情報サービスだけでなく、飲食店経営を支えるBtoBサービスも手掛けている。「ぐるなび食市場」でこだわりの食材をインターネットで購入できるほか、プロ向けのサポートサービスである「ぐるなびPRO」では店舗づくりをトータルに支援している。
主な収入源は、販促ツールとして同社のサービス活用を希望する加盟店から支払われるサービス料金だ。2005年2月末現在の情報掲載店(無料)は1万3110店、加盟店(有料)は3万355店となっている。今後は、コンテンツの魅力増大により販売促進ツールとしての「ぐるなび」の価値拡大を図り、加盟店の増加を目指す。
同社の大きな特徴としては、インターネットに慣れているユーザーだけではなく、パソコンやインターネットの初心者にも利用しやすい画面設計を実施していることだ。さらに、ビジネス利用や高級店志向などのユーザーの状況に合わせて検索できる目的検索や、エリアを絞って探すことができる駅検索・市区町村検索があり、店名、割引特典(クーポン)内容など多方面からレストランが検索できることも大きな特徴だ。
今後の課題としては、提供するサービスの裾野を広げていくことと、1加盟店当たりの収益を拡大していることがあげられる。現在全国の一般飲食店は約44万店とされており、ぐるなびの現在の加盟店数約3万店から見て、開拓余地はまだ十分に残されている。さらに、加盟店によるネットワーク資産を活かして、飲食店に対する総合的な経営支援や、飲料・食品メーカー、納入業者など飲食店に関わる事業者を対象として支援事業を行う。
スタートしたばかりの2006年3月期の業績(非連結)は、売上高86億2000万円(前期推定比54%増)、経常利益20億2000万円(同2.2倍)、税引き後利益12億円(同2.2倍)と大幅な増収増益を見込んでいる。ただ、飲食店情報関連の検索サイト事業については、参入障壁が低いことから、新規事業者の参入や大手インターネット検索事業者との競争の激化も十分予想される。
今回の新規上場に際しての想定発行価格は1株85万円で、2006年3月期の予想1株利益で想定したPER(株価収益率)は37倍となっている。既上場の類似企業としては、飲食店支援のモックや価格比較サイト運営のカカクコムなどがある。ぐるなびは今後の成長期待が大きいうえに、近ごろのネット関連業態の人気で市場の注目を集めることが予想される。さらに、5月に入ると新規上場が一時的に大きく減少することから、その直前でIPO人気が加速する可能性もある。上場後の初値は100万円を大きく上回ることが予想され、市場環境が好調を継続していれば、中期的に200万円を目指す展開も十分予想される。
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