2005年6月27日に東証マザーズに新規上場したアドバンスト・メディア(AMI)が強烈な買い人気を集め、初日は値がつかなかった。公開価格の16万円に対して、上場日翌日の28日に70万円(公開価格の4.3倍)でようやく初値をつけた。その後も、4営業日連続のストップ高になるなど快進撃を続け、7月5日には、一時135万円(公開価格の8.4倍)の高値まで買い進まれるなど破格の人気ぶりを示している。この人気の背景はなんだろうか。
AMIは、音声認識システムの開発や販売を主力事業にしており、具体的には電子カルテシステムへの文章入力をはじめとする各種ソリューションや、ライセンス、並びに音声インターフェースを用いたエンドユーザー向けのサービスを提供している。独自に開発した音声認識エンジン「AmiVoice(アミボイス)」を中心とした音声認識システムを利用し、コンサルティングやソリューションなどを手掛ける。音声認識とは、口に出して話したことがテキストデータに変換される技術のことだ。この技術は、すでに医療をはじめとしてさまざまな分野で利用が拡大している。
音声認識の利用には、電子カルテへの記入(医療分野)や議会の議事録作成(政府・公共分野)、通話データ作成(コンピュータテレフォニー分野)などのほか、英会話学習、日本語研修で正しい発音ができているかどうかの確認にも使われている。また、現在開催中の「愛・地球博」では、同社の音声認識エンジンを搭載した話題の女性接客ロボット「アクトロイド」が活躍中だ。
2003年に開発支援ツールキット「AmiVoice SDK5.0」を発売し、これをきっかけに利用範囲が大きく広がった。積極的な顧客の開拓を進め、2004年3月期に設立7期目にして初の黒字決算を達成した。音声認識システムの市場形成はまだ始まったばかりとみられ、その中で同社はソリューションなど付加価値の高い事業を展開し、今後の成長を目指している。
同社は音声認識エンジン「AmiVoice」を核とし、ソリューション提供を手掛ける。「音声認識は先進の米国で40年の歴史があるが、これまでは音声認識エンジンを作って売るだけに止まっていた。当社は、世界最高のエンジンを作りながら、音声認識で何ができるかという商品価値の創造戦略で成長してきた。技術的優位性が高く、実質的に競合はない。2006年3月期の売上高は前期比60%増の24億円を計画しているが、このうち10%弱を新規分野の売上高にする計画。分散型音声認識(アミボイス・DSR)を事業化する。例えば携帯電話で“レクサス”と話せば、トヨタの高級車レクサスのホームページを自動的に読み出すような仕組みだ。携帯電話で話したことをメールなどで文字にすることが可能になる」(鈴木清幸社長)としており、今後の成長期待が大きく、投資家の人気が集中しているようだ。
現在、自社で市場開拓を進め、医療や政治・公共、テレフォニー、語学研修などの分野で展開中。さらに、今後は携帯電話やカーナビゲーション、ゲームなどの分野への進出が考えられる。
今後の株価について外資系証券のアナリストは「音声認識分野での高い技術力と、今後の多様な事業分野拡大の可能性への評価を背景に株価が急騰をみている。公開価格の16万円から判断すれば、上場後の最高値135万円が行き過ぎた異常な高値であることは確かだ。現在は日々出来高をこなすなかで、いごこちのいい株価水準を模索しているところだ。初値が70万円でついたところから判断して、当面は70万〜100万円程度のレンジで推移することになりそうだ」としている。
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