11月17日、東証1部に直接上場したSUMCOは、半導体シリコンウエハーの製造で世界第2位(2004年時点で世界シェアは約22%と信越化学工業の子会社、信越半導体の約31%に次ぐ)を占める。同社の株価は上場後もほぼ一本調子の上昇をみせており、新規上場当日につけた初値から先週末時点ですでに34%もの急騰ぶりだ。この好調な株価推移の背景を探った。上場当日の初値は3720円と公開価格の3300円を12%上回った。その後も株価は堅調な推移をみせている。先週末12月2日には一時、5000円寸前の4990円まで買い進まれている。
同社は半導体用シリコンウエハーの専業メーカーで、主流になりつつある直径300ミリメートルの大口径半導体ウエハー(以後300ミリウエハー)に経営資源を集中している。1999年にシリコンユナイテッド・マニュファクチャリングとして設立され、2002年2月に「三菱住友シリコン」に社名変更。今年8月に社名を「SUMCO」に変えている。今年7月までに累計で1170億円を投じ、2002年8月に月産10万枚、2004年6月に同20万枚、今年9月には同35万枚と生産能力を増強してきた。同ウエハーの売上構成は約30%。追加投資として900億円を来1月期末にかけて投入。2009年4月には月産70万体制を構築する計画だ。生産拠点は国内外に10カ所あるが、300ミリウエハーは製造効率の観点から九州の伊万里工場に集中させる。
全世界の主要半導体メーカーはほ同社の顧客。住友商事経由の比率が高いほか、日本サムスン、米インテル社向け販売が各10%前後を占める。海外売上高はアジア、北米を中心に50%以上。2004年のシリコンウエハー市場は前年比22%増。300ミリウエハーの世界需要は、現在月産100万枚、2007年には年平均で月産155万枚になるとの予測がある。
SUMCOの細田直之社長は上場後の記者会見で今後の展開について「300ミリシリコンウエハーの生産規模は、今年末に月産38万枚の見込みだが、これを2009年4月末までに70万枚に拡大させる方針。今後設備投資金額は1200〜1300億円程度が必要になるが、今回の東証上場で600億円強の資金調達ができたほか、事業で生まれるフリーキャッシュフローの中から設備投資を実施する。九州の伊万里工場(佐賀県)に300ミリウエハーの製造は集約。一極集中させることでコスト競争力は強くなる。当社は信越半導体にも負けない技術力を持つ自負している」としている。2006年1月期の連結業績については、売上高2050億円(前期比6.1%増)、経常利益330億円(同29%増)、純利益190億円(同74%増)と大幅な増益を見込んでいる。
同社の株価が新規上場後も約半月の短期間で30%以上の急上昇を継続した背景について外国証券のアナリストは「日経平均株価が約5年ぶりに1万5000円台を回復してくるなど、全体相場が非常に好調な推移をみせ、そのなかでもこれまではカヤの外にあった半導体関連などのハイテク銘柄に物色の矛先が向いてきたことが強烈な追い風。株価5000円で試算した今期の連結PERは31倍とかなり高い水準にまで上昇してきている。したがって、今後は5000円水準を挟んでのもみあいがある程度続いたあと、再び上昇軌道に復帰する可能性に期待感が持てそうだ」としている。
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