東京証券取引所は11月14日、ソニーコミュニケーションネットワーク(SCN)の東証マザーズへの新規上場を承認した。上場日は12月20日の予定だ。
SCNは、「ソニー子会社連動株式」のかたちで東証1部市場に上場している。子会社連動株式とは、その価値が発行会社の特定の経済価値に連動するように設計された、普通株式とは内容の異なる種類の株式の1つだ。ソニーは、SCNの経営権を100%保持しつつ、証券市場から機動的に資金調達する狙いから、2001年6月に東証に日本初の試みとして子会社連動株式を上場させた。ソニーの100%子会社であるSCNの経済価値と連動するように設計されているわけだが、当初の目論見に反して子会社連動株式の内容が多くの投資家に理解されず、株価も商いも長期に低迷してきた。
そこで、ソニーは2005年4月26日に「子会社連動株式の上場を終了し、同社の普通株式の公開を検討する」と発表し、10月26日にはこれを正式に決議した。「今後はSCNがより独立性を高め、独自の運営形態、成長戦略により、その企業価値を向上させていくことがグループ経営の観点からより望ましい」との考えのもと、SCNの普通株式を公開することを決定し、これに伴い子会社連動株式を終了させることにしたわけだ。既存の子会社連動株式は、子会社連動株式1株につき1.114株の割合でソニーの普通株式が割り当てられる。そのスケジュールは以下のとおり。
ソニー子会社連動株式の11月14日の株価終値は、前日比変わらずの4420円。2005年4月下旬頃までは1000円強の株価が続いていたが、4月26日に「普通株の上場を検討する」と発表されてからは急動意し、ソニーの株価に急接近するようになった。11月14日のソニーの株価終値は前日比20円高(0.5%高)の4000円なので、連動株のほうが上回っている。
今回の普通株の新規上場に際しては、2万株を公募し、7万株を売り出す。需要が多い場合には、1万2000株を上限に追加で売り出す。公募・売り出し価格は未定で、11月29日に仮条件を決め、12月1日から12月7日の需要申し込みの状況をふまえて、12月8日に決定する。申し込み株数単位は1株、申し込み期間は12月12日から12月15日まで。
今回の増資により、発行株式数は25万5520株に増加する。1株あたりの想定発行価格は33万円としており、資金調達額は61億9040万円を見込む。このうち、31億9040万円は接続事業の拡大にあてる。具体的には、FTTHを中心としたブロードバンド市場接続会員基盤の早期拡大を目的に、他のインターネット接続サービス事業者との提携資金の一部や、会員獲得費用の一部に使う。また、残りの30億円はポータル事業において、ポータル運営事業者や広告代理店などとの提携資金の一部やシステム投資などへあてる。
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