[年末特集:2006]ウェブ検索界を振り返る--グーグルにはもろ刃の剣の1年か?

文:Elinor Mills(CNET News.com) 翻訳校正:中村智恵子、小林理子2006年12月27日 08時00分

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 2006年、Googleは米国における消費者データのプライバシー保護を積極的に進めたが、中国版Googleで検閲を行ったことで中国政府の圧力に屈したとして批判された。

 ここ数年プライバシー擁護派は、ウェブ上の消費者データが過剰な熱意で迫る法執行機関によって脅威にさらされているとして、警鐘を鳴らしていた。そして、この懸念は2006年初めに広く認識されることになった。検索記録の提出を求めた米司法省からの召喚状に対して、Googleは大手インターネット検索エンジンの中で唯一、これと争う決意をした。

 連邦当局は検索語句および表示されたウェブサイトのデータを求めていたが、判事は、検索キーワードは開示されるべきではないと結論し、Googleが提示することになるインデックス化されたウェブアドレスについては一部のみ認めた。

 一方でGoogleは、中国での検索およびニュースサイトを開設するにあたって、中国政府から好ましくないと判定された内容を検閲した中国向けバージョンを提供した。制限されたアクセスではあっても、まったくないよりはよい、というのがその理由だった。

 国際連合は中国政府に協力しているとして、Cisco Systems、Google、Yahoo、Microsoftを激しく非難しており、複数の米国議員やAmnesty Internationalも同様だ。中でも特に激しい攻撃の対象となったのはYahooで、同社が提供したウェブデータによって、中国で1人のジャーナリストが有罪判決を受け、少なくとももう1人の中国人が逮捕される結果を導いたとして非難されている。

 2006年8月、AOLはユーザー65万人以上の3カ月にわたる検索ログデータをウェブ上に誤って掲載した。名前こそ匿名になっていたものの、検索内容の多くは質的に非常に機密度が高く、検索した人物を十分割り出せる詳細なものだった。

 Googleはウェブベースのワードプロセッサ開発会社Upstartle、「wiki」と呼ばれる共同編集のウェブページを構築する技術を提供するJotSpot、ラジオ広告企業DMarc Broadcastingをはじめとする買収攻勢を続けている。

 しかし、Googleがこれまでに行った最大の買収といえば、16億5000万ドル規模の株式交換で買収した動画共有サイトのYouTubeだ。また、人気のソーシャルネットワーキングサイトでNews Corp.傘下のMySpace.comに対して、検索機能と広告リストを提供する契約を結び9億ドルを支払うことで合意した。

 さらにGoogleは、クリック詐欺をめぐる提訴について、9000万ドルで和解している。また、検索関連広告では商標権侵害問題で提訴された。その中の1つ、RESCUECOMによる提訴ではGoogleに軍配があがったが、Louis Vuitton Malletierから起された同様の商標権侵害訴訟ではGoogle側に敗訴が言い渡された。

 Googleはまた、Google Newsがベルギーの新聞記事にリンクすることは著作権侵害にあたるとして提訴された。Googleは訴えていたジャーナリスト団体とカメラマン団体とは和解したが、ベルギーでフランス語およびドイツ語の新聞の著作権を管理する組織であるCopiepresseとは今も係争中だ。

 Googleは優位に立つ検索市場で利益を拡大しつづけているが、最も強力なライバルであるYahooの第3四半期の収入は前年同期と比べて落ち込んだ。Googleの株価は年間を通して着実に上昇しており、11月終わりにはその後若干値を下げたものの、ついに500ドルを突破した。

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