米司法当局は、訴訟で合憲性を問われているオンラインポルノ規制法を弁護すべく準備を進めているが、このほどGoogle、Microsoft、Yahoo、America Onlineの4社に対し、数百万件に及ぶ検索記録の開示を求めた。しかし、Googleはこの要求を頑なに拒否している。
Bush政権は米国時間18日にカリフォルニア州サンノゼの連邦裁判所に文書を提出し、Googleに召喚に応じて情報を開示するよう求める命令を下すことを同裁判所判事に求めた。Googleが政府の要求に応じた場合、数多くのGoogleユーザーが入力した検索語が開示されることになる。
司法当局はGoogleに対し、同社の検索エンジンからアクセス可能なインターネットアドレスのうち、100万件の無作為抽出サンプルと、1週間の間にGoogleの検索エンジンで入力されたクエリのランダムサンプル100万語を提出するよう求めている。
Googleは19日、CNET News.comにあてた声明のなかで、同社は検察側の要求を「きっぱり」断ると語った。
シリコンバレーの日刊紙「San Jose Mercury News」が最初に報じた今回の要求は、アメリカ自由人権協会(American Civil Liberties Union:ACLU)が違憲だとして、フィラデルフィアの裁判所に提訴している1998年制定の児童オンライン保護法(Child Online Protection Act:COPA)を弁護する活動の一環だ。ACLUは、各ウェブサイトが現実にCOPAを遵守するのは不可能であり、また同法は言論の自由を保障した合衆国憲法修正第1条に反すると主張している。
なお、検索エンジン各社はこの訴訟の当事者ではない。
ACLUの弁護士によると、Microsoft、Yahoo、AOLの3社も全く同じ内容の召喚状を受け取ったが、3社はこの要求について裁判で争わず、それらに従うことにしたという。
Yahooは19日、司法省の要求に従ったことを認めたが、個人の身元を特定可能な情報は一切開示していないと語った。Yahoo広報担当のMary Osakoは、「われわれは、ユーザーのプライバシーはしっかりと守る」と述べた上で、「司法省の召喚には応じたが、個人情報は一切開示していない。これはプライバシーの問題ではない、というのがわれわれの見解だ」と語った。
Osakoは詳細は明らかにしなかったが、米政府が提出したGoogleに対する命令を要請する裁判所文書によると、政府が要求したのは、1週間から2カ月の期間内にユーザーが「入力した検索語のテキスト」および、検索エンジンのインデックスから抜粋したウェブサイトのリストのようだ。
ACLUの弁護士を務めるAden Fineは、「われわれが理解しているところでは、MSNとAOLは政府の要求に全面的に従い、Yahooも要求に応じて一部の情報を開示したが、その情報は政府にとって完全に満足できるものではなかった」と語った。
オハイオ州シンシナティに本部を置く擁護団体、「National Coalition for Protection of Children and Families」のシニアバイスプレジデント、Jack Samadは、検索エンジン各社はBush政権の同法弁護に進んで力を貸すべきだと述べている。
「子供たちは、ネット上でアダルト画像などにさらされてから、すさんだ生活を経験している。Googleが子供たちを保護する目的に、同社の優れたコーポレートブランディングを行使したがらないことにがっかりしている。もし彼らが子供たちのネット利用について、自由な情報の交換を手に入れるなら、(召喚に応じて情報を開示することが)COPAの基礎に実体を与えるだろう」(Samad)
AOLの広報担当、Andrew Weinsteinは、同社が司法省から召喚状を受け取ったことは認めたが、ACLUの情報は正確ではないと語った。
Weinsteinは、「われわれはそのような召喚に応じていないし、今後も応じるつもりはない。われわれが(司法省に)提示したのは、およそ1日の間に検索された匿名の検索語を集めた一般的なリストであり、検索結果は含まれていない。プライバシーを含む情報は一切開示していない」とし、さらに、「それらの検索語から個人や検索結果を特定するのは不可能だ」と付け加えた。同氏は、それ以上の詳述は避けた。
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