一部のウェブ開発者らが、古くからある技術を利用して未来のウェブを構築するレースに勝とうとしている。
Microsoftのような業界大手や新興企業など、各社がウェブ経由でデスクトップライクなアプリケーションを提供するための新しいシステムを考案し続けている。しかし、検索大手のGoogleでは異なる道を選択した。同社は旧来の技術を利用して「Google Maps」や「Gmail」といった最新アプリケーションを構築した。
Googleのこの動きを受けて、開発者らはJavaScriptやDynamic HTMLといった1990年代からある技術を見直し始めた。
「突然、Googleのような企業が、エンドユーザーに莫大な利益をもたらすウェブベースのリッチアプリケーションを大衆に提供し始めた」と、Laszlo Systemsという新興企業の最高技術責任者、David Temkinは述べている。同社の開発したウェブアプリケーションは、EarthLinkの新しいウェブメールシステムに使われている。「Google Mapsと他の地図サイトとの違いは、些細なものではない--Google Mapsは全く別のカテゴリに属する製品だ。またGmailについても同じことが言える」(Temkin)
こうした旧来の技術--スクリプト言語のJavaScriptや、World Wide Web Consortium(W3C)が推奨するカスケーディングスタイルシート(CSS)、そして他のコーディングの付加的機能など--は、Dynamic HTML(DHTML)と一括りにされることもある。
こうした技術への関心は、ネットバブル時代への懐旧の念から生まれたものではない。これらの旧来の技術は、必要なタスクをカバーするのに十分なうえ、一般的なウェブブラウザですでにサポートされていると、支持者らは主張している。
Adaptive Pathというサンフランシスコにあるコンサルティング会社の共同設立者Jesse Garrettは、2月18日に公開した自らのエッセイのなかで、自由に利用可能な技術でウェブアプリケーションを構築する方法として「Asynchronous JavaScript + XML」を使うというアイディアを売り込むために、「AJAX」という略語を新たに作り出した。これに関して、多くの開発者らが自らのブログに意見を書き込んでいる。
AJAXという造語にけちをつけるブロガーも少なくない。また、Googleのエンジニアらは彼らのコーディングテクニックを単にJavaScriptと呼んでいる。しかし、「AJAX」はわずか1カ月の間に市民権を得て、それに関する話がWall Street Journalに載るまでになった。
「ふだんは新しい略語があまり好きではないが、このAJAXの概念が普及し始めていることは喜ばしいと感じている」とYahooのプラットフォームエンジニアリンググループのプロダクトマネージャー、Toni Schneiderは述べている。Schneiderは、Yahooが昨年買収したOddpostで最高経営責任者(CEO)を務めていた。「JavaScriptを利用して、それを次のレベルに高める、というわれわれが長年取り組んできたことに、誰かが名前をつけたのだ」(Schneider)
現行世代のウェブブラウザで機能する技術が、強力でスケーラブルなウェブアプリケーション開発に実際に十分役立つものだとすると、それがLaszlo Systemsの開発するツールをはじめ、MacromediaのFlashやFlexベースの製品、Sun MicrosystemsのJavaベースアプリケーション、そしてMicrosoftが計画しているXAML(Extensive Application Markup Language)ベースのシステムやAvalonグラフィックスなどへの需要減少につながる可能性がある。
Microsoftは過去10年にわたり、自社の中核となるオペレーティングシステム(OS)およびデスクトップアプリケーション事業を脅かす潜在的脅威としてウェブと争ってきたが、そんな同社にとって、これは特に大きな利害の絡む問題だ。
Microsoftが開発したいくつかの技術は現在開発者らによって再評価を受けているが、同社は自らのXAML計画に対して脅威となるものはないとしている。
「われわれが20世紀末に公開したこれらの技術に、開発者らが今になって熱心に取り組んでいることには、ややがっかりしている」と、Microsoftのプラットフォーム技術担当ゼネラルマネージャー、Charles Fitzgeraldは述べている。「しかしXAMLは全く別の部類のものだAJAXでつくったアプリケーションは、ごちゃごちゃとしていてデバッグが非常に困難だ。なかには非常に感動的なものも見られるが、しかしXAMLが解決しようとしている事がらを見れば、XAMLが非常に大きな前進であることが分かるだろう」
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