Yahooの中国事業について、中国警察当局との緊密な協力関係に対する批判が続いている。そんななか今週、米国のYahoo本社において、異例の展開が見られた。
米国時間4月10日、フランスのパリを拠点とする言論の自由の擁護団体である国境なき記者団(Reporters Without Borders:RWB)のJulien Pain氏が「ABC World News Tonight」の撮影クルーとともにカリフォルニア州サンノゼのYahoo本社を訪れた。Michael Moore氏の「Bowling for Columbine」を彷彿とさせるやり方で、Pain氏は同社幹部との面会を求めた。これに対し、Yahooは警備員が応対した。
緊迫した話し合いが続き、不法侵入で警察に逮捕させるという発言もあったが、やがてYahooは態度を軟化させ、幹部2名との会議を設定した。後にPain氏は「Yahooは広報上の危機を回避しようとしただけだ」とCNET News.comに対し語った。「広報の危機だって?それは違う、これは人権の危機だ」(Pain氏)
Yahooは中国の「Yahoo Mail」のサーバを、GoogleやMicrosoftのように言論の自由やプライバシーの権利を保護しやすい司法管轄区域内に置かず、中国国内に置くことを選択したため、2006年2月の議会聴聞会などで多くの批判を浴びてきた(12日、同社に対し電話による問い合わせを何度かしたが、返事はなかった)。
RWBは2005年9月、37歳のジャーナリストShi Tao氏が「国家機密を漏えい」したとして逮捕された際に、Yahooが提供した情報が使われたことを明らかにした。また2006年2月には、四川省達州の35歳の元公務員であるLi Zhi氏の逮捕ならびに8年間の懲役判決(2003年)につながる情報もYahooが提供したと報道した。
RWBがCNET News.comに公開したビデオには、Liの兄弟が登場し、Yahooに方針を改めるよう訴え、次のように述べた。「逮捕される前から彼の健康状態は良くなかった…投獄されてからは、厳しい労務のため、胸膜炎を起こしてしまった。彼の今の健康状態は、非常に悪い」。このビデオ撮影されたのは先月のことである。
Yahooは3月に発表した声明で、自身の行動を擁護し、「本件では、ユーザー情報を提供して欲しいという中国政府からの要求を受け、Yahoo Chinaは地元の法律に従った」と述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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