Googleは米国時間24日、中国で新しい検索/ニュースサイトを立ち上げることを明らかにした。このサイトでは情報を検閲し、中国政府に批判的と思われるコンテンツへのアクセスを規制することになるが、同社はこの措置について、コンテンツの一部でもユーザーに提供したほうが、まったくしないよりもましだからと説明している。
新しい中国語版のウェブサイトは、米国時間25日に「Google.cn」で公開になるとみられている。GoogleのAndrew McLaughlin(政策担当シニアカウンセル)によると、このサイトでは検索結果の表示されるページの下部に、どんな場合にコンテンツが排除されるかを示す情報が開示されることになるという。
「Google.cnは中国の法律や規制を遵守したものになる」とMcLaughlinは声明のなかで述べている。「中国や他の市場へのアプローチとして、どういう形が最も望ましいかを判断する際に、われわれはユーザーの関心に応えることや、情報へのアクセスを拡大すること、さらに各地域の状況に対応することなどのバランスをとらなければならない」(McLaughlin)
Googleの「Gmail」や「Blogger」といったサービスは、当初は提供されない。これらの提供は、同社の幹部らが適切なバランスを見極めたと感じられてからになると、McLaughlinは語った。
Googleによると、これまで中国ではウェブユーザーがGoogleのサービスを利用することが難しく、いらいらするほど反応がおそかったり、接続できずにタイムアウトしてしまったりしていたという。中国では、政府の規制を守らないウェブサイトへのアクセスが遮断されているとして、複数の人権擁護団体が中国政府を非難したことがあった。
今回の件について、フランスに拠点を構える人権擁護団体「Reporters Without Borders(国境なき記者団)」は、Googleの姿勢は道義に反しており、正当化できるものはないとして、同社を非難している。
「Googleは、『反体制的』なコンテンツを除外したサービスを提供することで、中国政府が自らの手でインターネットを検閲しやすくすることになる。検索エンジンで見つからなければ、ユーザーがそのウェブサイトを見つけだす可能性はほとんどない。Googleが新たな中国語サイトを開始すれば、人権擁護関連の情報がたとえ政府のファイヤウォールで遮断されなくても、中国国内で読まれる可能性がなくなる」
約13億人の人口を抱える中国では、1億人を超える人々がインターネットを利用しており、このほとんど未開拓の市場はIT企業各社にとって非常に魅力的な存在になっている。Googleは中国に自社の研究開発センターを持つほか、同国で最も人気の高い検索エンジン「Baidu.com」の株式も保有している。
中国における検閲関連の問題で非難をあびた米国の検索企業は、Googleだけではない。同社は、中国国内で運営していた自社のニュースサイトには検閲をかけ、規制当局の禁じたコンテンツを以前から排除していたが、中国からアクセス可能な米国内にある検索エンジンの情報に検閲をかけることはしていなかった。また、Reporters Without Bordersによると、他の大手検索エンジン各社はすでに同様の措置を講じているという。
一方、Microsoftは1月に入って、中国の法律を遵守するとの方針に沿って、「MSN Spaces」サイトにあった中国人ジャーナリストのブログを削除したと認めていた。また、2005年6月には、MSNポータルサイトから「自由」や「民主主義」といった言葉を排除していたことも認めていた。
さらに、Yahooは2005年9月に、国家機密漏洩の罪に問われたあるジャーナリストの捜査で、当局に手を貸したとしてReporters Without Bordersから非難を浴びていた。このShi Taoというジャーナリストには、10年の懲役刑が下された。
これらの報道に激怒した米国の一部の政治家らは、中国政府の検閲に協力する米国企業の活動を制限するための法律を成立させようとしている。この件に関しては、米下院の人権に関する小委員会などで公聴会が予定されている。
皮肉なことに、Googleは先週、ウェブ検索記録のデータ提出を求める米国政府の要請を突っぱねたことで、プライバシー擁護者らから称賛を浴びたばかりだった。なお、Yahoo、MSN、AOLではこの要請に応じてデータを提出している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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