最終決戦へ望むGoogleの布石のひとつ。
Googleのミッション「世界の情報のすべてをオーガナイズし、それをアクセス可能にする」を結果として拒むこととなる存在の2大ライバルは、facebookとApple。
いや、それは拒むのではなく、結果として「『Google』が、世界の情報のすべてを…」の主語を変えてしまう脅威だ。
前者は世界最高峰のエンジニアを集めれば、維持できると考えていた思想が、一人のクレイジーなCEOのモチベーションによって、Google Labsにあったいくつものアイデアが見事に打ち砕かれてしまった。最高のヒエラルキーをもった組織のプログラムよりも、プログラムのコードで世界に革命を起こすというエモーションにマーケティングの女神は微笑んだ。
そして、今回「電話」という100数年にわたる過去の遺物の機能をもった機械が、手のひらで持ち歩ける事によって、オルタナティブなコンピュータと化した。そのデバイスのライバルはかつての盟友であるApple。
モトローラを入手する事によって、ハードウェア、OS、ソフトというAppleと同じ土壌でも戦うことが可能となった。自社の携帯OSであるAndroidのベーシックな基本ルールという、端末ごとの個性(悪癖ともいう…)だけでなく、最大公約数的な基本機能の使い方を明示することが可能となるのだ。
さらに訴訟問題を同時に解決できることは、Google銀河系の影響力を再び取り戻すことができるチャンスだろう。
しかし、AppleはすでにMacやiPhone iPadで先行しており、他社の追従に応じた「それなりの機能」をアドオンして提供するだけで市場は維持できるマーケットリーダーである。
Googleに要求されるのは、Apple以上の未来戦略への挑戦である。
しかもMicrosoft型のクローズドでプロプライエタリな環境ではなく、オープンな環境で構築しなければならない。
Apple独自の「人々に受け入れられるプロプライエタリ」と「脅威を感じさせるオープン」は、「伽藍とバザール」の新解釈を必要とする最終決戦となることだろう。
ただ、Googleが提供した幾多もの無料サービス、GmailやGoogleマップ、Googleストリートビュー、そして検索。どこの政府が税金による予算も使わずこれだけの偉業を成し遂げることができただろうか?
Googleが、万一敗因の要素を見せた場合は、それらのサービスが無償で永遠に提供されることもなくなることを我々もそろそろ、覚悟をしておく必要があるだろう。
その意味でも、今回の買収のニュースは、Google銀河系の平和維持には必要な施策であったと考えている。
2011-08-16 18:48:55