グーグルがモトローラ・モビリティを買収 その影響は

2011年8月16日 11時24分

 検索大手Googleは米国時間8月15日、Motorola Mobilityを125億ドルで買収することで合意したと発表しました。Motorola Mobilityの8月12日の株価終値に63%のプレミアムを付した買い取り額を提示したものです。


 今回の買収は、「Android」普及戦略上障壁となりつつあった訴訟問題への解という側面を持っています。ここ数カ月間、AppleやOracleなどが、競合企業のけん制とライセンス料の徴収を目的としてGoogleやそのパートナー企業を提訴していました。


 パートナー企業の反応も出始めています。Androidを採用した製品を展開している携帯端末大手企業は、この決定を「Androidのエコシステムを防護するもの」とするコメントを発表しました。


 Googleは声明文の中で「Androidは今後もオープンです」「GoogleはMotorola Mobilityを独立した事業として展開します」と述べています。


 2011年第2四半期分の調査ではスマートフォンの世界シェアの43.3%を占めるに至ったとされるAndroid。今回の買収の影響やGoogleの携帯端末市場における今後の動きについて、パネリストの皆さんのご意見をお聞かせください。



  • 神田敏晶
    神田敏晶さん (ビデオジャーナリスト)
    最終決戦へ望むGoogleの布石のひとつ。

    Googleのミッション「世界の情報のすべてをオーガナイズし、それをアクセス可能にする」を結果として拒むこととなる存在の2大ライバルは、facebookとApple。
    いや、それは拒むのではなく、結果として「『Google』が、世界の情報のすべてを…」の主語を変えてしまう脅威だ。

     前者は世界最高峰のエンジニアを集めれば、維持できると考えていた思想が、一人のクレイジーなCEOのモチベーションによって、Google Labsにあったいくつものアイデアが見事に打ち砕かれてしまった。最高のヒエラルキーをもった組織のプログラムよりも、プログラムのコードで世界に革命を起こすというエモーションにマーケティングの女神は微笑んだ。

    そして、今回「電話」という100数年にわたる過去の遺物の機能をもった機械が、手のひらで持ち歩ける事によって、オルタナティブなコンピュータと化した。そのデバイスのライバルはかつての盟友であるApple。

    モトローラを入手する事によって、ハードウェア、OS、ソフトというAppleと同じ土壌でも戦うことが可能となった。自社の携帯OSであるAndroidのベーシックな基本ルールという、端末ごとの個性(悪癖ともいう…)だけでなく、最大公約数的な基本機能の使い方を明示することが可能となるのだ。
    さらに訴訟問題を同時に解決できることは、Google銀河系の影響力を再び取り戻すことができるチャンスだろう。

    しかし、AppleはすでにMacやiPhone iPadで先行しており、他社の追従に応じた「それなりの機能」をアドオンして提供するだけで市場は維持できるマーケットリーダーである。

    Googleに要求されるのは、Apple以上の未来戦略への挑戦である。
    しかもMicrosoft型のクローズドでプロプライエタリな環境ではなく、オープンな環境で構築しなければならない。

    Apple独自の「人々に受け入れられるプロプライエタリ」と「脅威を感じさせるオープン」は、「伽藍とバザール」の新解釈を必要とする最終決戦となることだろう。

    ただ、Googleが提供した幾多もの無料サービス、GmailやGoogleマップ、Googleストリートビュー、そして検索。どこの政府が税金による予算も使わずこれだけの偉業を成し遂げることができただろうか?

    Googleが、万一敗因の要素を見せた場合は、それらのサービスが無償で永遠に提供されることもなくなることを我々もそろそろ、覚悟をしておく必要があるだろう。

    その意味でも、今回の買収のニュースは、Google銀河系の平和維持には必要な施策であったと考えている。






    2011-08-16 18:48:55

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