Gartnerは、さまざまな新興技術に対する関心の高さや普及度合いなどをまとめたグラフの最新版「Hype Cycle for Emerging Technologies, 2021」を公開した。この2021年版では、新たに取り上げた非代替性トークン(Non-Fungible Token:NFT)、デジタルヒューマン、物理学に基づくAI(physics-informed AI:PIAI)を含め、25種類の技術を紹介している。
ハイプサイクルは、何らかの技術が登場して期待が高まり、次第に普及していく過程を(1)黎明期(Innovation Trigger)、(2)過度な期待のピーク期(Peak of Inflated Expectations)、(3)幻滅期(Trough of Disillusionment)、(4)啓蒙活動期(Slope of Enlightenment)、(5)生産性の安定期(Plateau of Productivity)という5つのフェーズに分類するもの。特定の技術が成熟するまでのどの段階にあるかを見極める助けになる。Gartnerは、企業経営者や投資家、マーケター、研究開発チームなどが技術を検討する際に考慮すべき情報だとしている。
NFTは、ブロックチェーンを応用して、自動車や絵画といった物理的な資産のほか、CGや音楽データのようなデジタルデータ資産と結びつけることで、資産の真正性などを保証する技術。世界初ツイートやAIアート、Tim Berners-Lee氏の書いたソースコードなどのオークションで使われた。2021年版ハイプサイクルでは「過度な期待のピーク期」の頂点に達しており、今後2年から5年かけてビジネスや社会に強い影響を及ぼすと考えられるという。
Gartnerは、現在のトレンドとして(1)信頼の構築(Engineering trust)、(2)成長の加速(Accelerating growth)、(3)変化の形成(Sculpting change)という3項目を挙げている。
イノベーションを起こすには信頼性の高い基盤が必要で、こうした領域の先進技術としては、NFT、サービスとしてのリアルタイム・インシデント・センター、ソブリンクラウド、データファブリック、機械可読法 (機械で読める法律)、分散型金融 (DeFi)などがあるとした。
信頼できる基盤や中核が確立されると、成長が可能になるという。そして、成長の加速につながる先進技術としては、デジタルヒューマン、ジェネレーティブAI、量子機械学習 (ML)などを選んだ。
さらに、変化によって破壊やカオスがもたらされるリスクはあるが、技術を活用することで秩序をもたらし、変化を形成できると指摘。こうした効果の期待できる先進技術としては、PIAI、インフルエンスエンジニアリングなどがあるという。
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