麻倉怜士氏が選ぶ2018年A&V機器10選--感動画質から憧れの8K放送まで - 8/10

加納恵 (編集部)2018年12月31日 08時30分
高音質にこだわった究極のCD/ユニバーサルミュージックジャパン「麻倉怜士セレクション SA-CD SHM名盤50」(SA-CD)

 ユニバーサル・ミュージックから「麻倉怜士セレクションSA-CD~SHM名盤50」が11月と12月で25タイトルずつ発売された。私が選曲し、各盤共通ライナーを書いた。ドイツ・グラモフォン、デッカ、フィリップスで録音された20世紀の世界遺産的名演奏をSACD、それもシングルレイヤーでディスク化するプロジェクトだ。同シリーズは、すでに数年前にユニバーサルから発売されているが、今回は、仕様変更での再発売だ。

 以前は紙ジャケットだったが、デザインに懲りすぎて、ディスクが取り出しにくいと、評判がいまひとつだった。そこで、通常のCDケースにして、廉価(2800円)で再発、しかも、私が多くの候補作から独自の目線で選択した。私が選者になったのは、紙ジャケットの時代から、多くのタイトルでライナーノーツを書いていたからだと思われる(確認したわけでないけれど)。その時からSACDのシングルレイヤーは音の鮮度、ノイズの少なさ、音楽性がいいなあと思っていた。

 今回改めて聴いてみて、60年代から80年代初期のアナログ録音は、非常に完成度の高いレベルに達していたことがわかった。そのオリジナルマスターテープを、ベルリンのエミール・ベルリーナスタジオで、DSDにマスタリング。音の良さはそれに加え、(1)シングルレイヤー。SACDはCDとのダブルレイヤーによるハイブリッド方式が普通だが、それでは互いにノイズ要因になる。(2)ディスク基材としてSHM(スーパー・ハイ・マテリアル)を使うことで、ピット反射で生じる迷光の発生が抑えられる。(3)レーベル面を緑に塗装する「音匠」仕様で、迷光が吸収――の各要素が効いた。

 音は本当にすばらしく、細かな音まできちんと表現できるが、無理がなく、音楽が自発的に浮き上がってくるようなイメージ。MQA CDでもいくつか重複しているタイトルがあるが、音は大きく異なる。情報量の多いMQA CDに対し、SACDは綿密かつしっとり。音場感も過不足がなく、バランスの良さに優れる。MQA CDがビビットな色合いを持つとすれば、SACDは淡色系。音の切れ味もフラットで、無理のない立ち上がりを見せる。

 50タイトルから特に素晴らしい作品をご紹介しよう。「カラヤン/ベルリン・フィルの《ペール・ギュント》組曲(1982年1月、2月録音)」。透明感の高い音で、クリアにすがすがしく、ペルシャ湾朝の情景が語られる(第一曲「朝」)。同じく「カラヤン/ベルリン・フィルのオペラ・バレエ曲集。歌劇《イーゴリ公》」から「ダッタン人の踊り」は、アナログ時代の超優秀録音。レンジが広く、1970年録音とは信じられないハイクオリティさだ。1971年3月にボストンで録音された「ラファエル・クーベリック指揮ボストン交響楽団のスメタナ: わが祖国」も素晴らしい。祖国愛が、エモーショナルな情的演奏に結実している。私のセレクションは名演・名録音・名音質ばかりである。ぜひ聴いて欲しい。
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高音質にこだわった究極のCD/ユニバーサルミュージックジャパン「麻倉怜士セレクション SA-CD SHM名盤50」(SA-CD)

 ユニバーサル・ミュージックから「麻倉怜士セレクションSA-CD~SHM名盤50」が11月と12月で25タイトルずつ発売された。私が選曲し、各盤共通ライナーを書いた。ドイツ・グラモフォン、デッカ、フィリップスで録音された20世紀の世界遺産的名演奏をSACD、それもシングルレイヤーでディスク化するプロジェクトだ。同シリーズは、すでに数年前にユニバーサルから発売されているが、今回は、仕様変更での再発売だ。

 以前は紙ジャケットだったが、デザインに懲りすぎて、ディスクが取り出しにくいと、評判がいまひとつだった。そこで、通常のCDケースにして、廉価(2800円)で再発、しかも、私が多くの候補作から独自の目線で選択した。私が選者になったのは、紙ジャケットの時代から、多くのタイトルでライナーノーツを書いていたからだと思われる(確認したわけでないけれど)。その時からSACDのシングルレイヤーは音の鮮度、ノイズの少なさ、音楽性がいいなあと思っていた。

 今回改めて聴いてみて、60年代から80年代初期のアナログ録音は、非常に完成度の高いレベルに達していたことがわかった。そのオリジナルマスターテープを、ベルリンのエミール・ベルリーナスタジオで、DSDにマスタリング。音の良さはそれに加え、(1)シングルレイヤー。SACDはCDとのダブルレイヤーによるハイブリッド方式が普通だが、それでは互いにノイズ要因になる。(2)ディスク基材としてSHM(スーパー・ハイ・マテリアル)を使うことで、ピット反射で生じる迷光の発生が抑えられる。(3)レーベル面を緑に塗装する「音匠」仕様で、迷光が吸収――の各要素が効いた。

 音は本当にすばらしく、細かな音まできちんと表現できるが、無理がなく、音楽が自発的に浮き上がってくるようなイメージ。MQA CDでもいくつか重複しているタイトルがあるが、音は大きく異なる。情報量の多いMQA CDに対し、SACDは綿密かつしっとり。音場感も過不足がなく、バランスの良さに優れる。MQA CDがビビットな色合いを持つとすれば、SACDは淡色系。音の切れ味もフラットで、無理のない立ち上がりを見せる。

 50タイトルから特に素晴らしい作品をご紹介しよう。「カラヤン/ベルリン・フィルの《ペール・ギュント》組曲(1982年1月、2月録音)」。透明感の高い音で、クリアにすがすがしく、ペルシャ湾朝の情景が語られる(第一曲「朝」)。同じく「カラヤン/ベルリン・フィルのオペラ・バレエ曲集。歌劇《イーゴリ公》」から「ダッタン人の踊り」は、アナログ時代の超優秀録音。レンジが広く、1970年録音とは信じられないハイクオリティさだ。1971年3月にボストンで録音された「ラファエル・クーベリック指揮ボストン交響楽団のスメタナ: わが祖国」も素晴らしい。祖国愛が、エモーショナルな情的演奏に結実している。私のセレクションは名演・名録音・名音質ばかりである。ぜひ聴いて欲しい。

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