Google Glassを支えるテクノロジは魅力的だったが、それを活用するアプリが最後まで不足していた。
The Wall Street Journalによる2015年の報道によると、Google Glassはヘルスケアや製造、エネルギーなどの業界での活用も模索されていたようだ。そして、同社は全力を挙げて、「Google Glass 1.0」のあらゆる痕跡をインターネットから消し去った。
一方、Microsoftは2016年4月、「HoloLens」ARヘッドセットの開発者向けエディションを米国で発売した。しかし、3000ドルという価格のせいで、HoloLensはデザイナーの世界で使われるにとどまっている。また、同社はHoloLensの一般発売日について、固く口をつぐんでいる。
この分野のダークホースであるMagic Leapという企業もある。同社の共同創業者で最高経営責任者(CEO)のRony Abovitz氏は、脳の視覚認識を模したとされる「ライトフィールド」技術など、大きなことを約束している。しかし、同プロジェクトには、いくつかの問題もある。例えば、荘厳なグラフィックスで同製品を誇大に宣伝した、誤解を招くようなコンセプト動画や、テクノロジの開発が遅れているといううわさなどだ。
最後に、Googleの「Tango」ARプラットフォームを最初に搭載したスマートフォンであるLenovoの「Phab 2 Pro」は、完成度の低いアプリやゲームが搭載された、分厚くて重い失敗作だった。Googleが抱くARの野望にとって、快調な出だしではなかった。
したがって、HoloLensヘッドセットはまだ一般向けに提供されておらず、ARをちゃんと活用できているアプリも現段階ではほとんどない。しかし、今はまだ、繭の中のさなぎの状態だ。やがて革命的な蝶へと美しく成長するだろう。そして、シリコンバレーはそうなることを知っている。
Facebookの最高経営責任者(CEO)であるMark Zuckerberg氏は4月の「F8」カンファレンスで講演を行い、長い時間を費やして拡張現実について語った。FacebookはARを使って「デジタルの世界と現実の世界を新たな方法で融合」する、とZuckerberg氏は述べた。
AppleもARに照準を合わせており、CEOのTim Cook氏は2月、Independentに対して、ARはかつての「iPhone」と同じくらい大きなゲームチェンジャーだと述べている。Appleはまだ正式には何も発表していないが、「iPhone 8」に何らかのAR機能が搭載されるのではないか、さらには、ARメガネが発表されるのではないか、といったうわさも流れている。
一方、MicrosoftはGoogleの過ちから学習したようで、Microsoftがエコシステムを構築していることをさまざまな兆候が示している。同社は3月、150のアプリが既に開発済みであることを発表した。Googleの「Tango」ARプラットフォームを使用した2番目のスマートフォンとなるASUSの「ZenFone AR」はスリムで見た目もよく、少なくとも手に持ったときの操作感は進歩している。
ARは未来である。今必要なのは、第一人者となる企業だけだ。それがGoogle、Microsoft、Apple、まだ見ぬプレーヤーの誰になるのかは分からないが、いずれかの企業がこの難局をうまく切り抜けて、とても新鮮で、大幅に拡張された現実へと私たちを送り込んでくれるだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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