Microsoftの新しい「Surface 3」は、499ドルという魅力的な価格設定であり、実際に使ってみても500ドル分の価値があるコンピューティング体験を得られたと言って差し支えないだろう。唯一の問題は、筆者が実際に使っていたのは630ドル相当のコンピュータという点だった。これは、Surfaceシリーズ最大の欠点が第3世代になっても続いているためだ。なくてはならない着脱式のキーボードが、Surfaceのひときわ印象的な特長であるにもかかわらず、いまだに別売りで、しかも割高である。
他の点では申し分のないSurfaceシリーズだが、最大の悲劇がこの点にある。129ドルのキーボードカバーを追加で購入するというのは、本体が1000ドルのタブレットであれば、余分な出費にはなるものの、システムの価値提案が大きく変わることはない。だが、同じ129ドルを499ドルの製品に追加するとなると、価格が20%以上も跳ね上がることになる。この低価格Surfaceタブレットに浮かれる前に、合計金額について考えた方がいいだろう。
とはいえ、新しいSurface 3では、MicrosoftのエントリレベルSurfaceタブレットシリーズにこれまであった最大の欠点が解消されている。機能限定版の「Windows RT」OS(ベースになった「Windows Runtime」アーキテクチャにちなんだ非公式な命名)ではなく、完全版のWindowsがようやく搭載された。つまり、上位機種である「Surface Pro 3」のように、同じレガシーWindowsプログラムがすべて動作するということだ。MicrosoftのWindowsアプリストアで公開されたプログラムしか動かない「Surface」や「Surface 2」からすると大きな進歩と言える。
Pro以外では初めて完全版の「Windows 8」を搭載したことで、新しいSurfaceの操作感は標準的なノートPCやハイブリッドPCに大幅に近づいたが、パワーはかなり控え目だ。採用されているCPUはIntelの「Core i」シリーズではなく、それどころか最近の超薄型ノートPCやハイブリッドPCで見られる「Core M」チップでさえない。Surface 3のCPUは、Intelの「Atom」の最新バージョンだ。Atomといえば、ローエンドのネットブック時代にまでさかのぼるチップであり、持ち運びやすさと低価格を優先するためにパワーが犠牲にされていた。新しい「Atom x7」(以前は「Cherry Trail」という開発コード名で知られていた)は、今までで最も強力なAtom CPUと言われており、4K動画の再生さえ可能だ。
実際に、気軽なウェブサーフィンや電子メール、NetflixのようなサイトからのHD動画ストリーミングに使う分には、Surface 3はスムーズに動作する。特に、「Internet Explorer 11」のようにWindowsに最適化されたプログラムや、Windows 8のタイルインターフェースにプリロードされているアプリだけを使っていれば快適だ。しかし、ほとんどのAtom搭載PCと同様、「Google Chrome」など別のウェブブラウザで複数のタブを開いたときなどに、どういうわけか動きが止まることもあった。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス