なぜ、「独身の日」がここまで消費者にうけたのか。その成長要因として、以下3点が考えられる。
(1)モバイルの普及
モバイルからの購入額が2013年に約60億元(約1000億円)に達し、全体の約6分の1を占めている。この割合は年々上昇している。
(2)O2O戦略の成功
リアル店舗を持つ天猫が、一部サプライヤーに対し、「独身の日」に向けたポスターやQRコードを配布した。そのことで、自動車などのオフラインサービスにおける商品の売上が拡大しO2O戦略が成功している。
(3)取扱いジャンルの拡大
・自動車販売の拡大
主なジャンルであったアパレルなどの領域の売上はすでに飽和状態にあり、2013年は自動車などの高額商品の販売ジャンルが増え、販売規模を拡大している。
・ブランド商品の売上拡大
普段は天猫のPB商品「淘品牌」が安いためよく売れるが、「独身の日」にはブランド製品の売上が拡大する。消費者のブランド志向が年々高まりを見せている。
・果物と海鮮、肉、米の輸入予約サイトが大ヒット
天猫に出店する、果物と海鮮、肉、米の輸入予約サイト「喵鮮生(miao.tmall.com)」が食の安心・安全を求める中国人消費者の間で大ヒット。このサイトの発展が、天猫の売上をけん引している。
購入動機を上げるために「独身の日」という特別な日を作り、イベント化する。モバイル端末の急速な普及を背景に、今まで主にリアルで商品を購入していたユーザーをネットに引き込むO2O施策や、自動車、ブランド品、生鮮食品など取扱いジャンルを拡大する施策を投入する。多くの人にネットショッピングを体験させる流れを作った結果、天猫の「独身の日」は、中国EC全体を巻き込む大成功プロジェクトになったわけだ。
天猫スタッフは、毎年8月から「独身の日」の準備に追われている。それだけ中国のネットショッピング業界では「独身の日」が一大イベントになっている。2014年は、各社どのような仕掛けを見せてくれるのだろうか。ぜひ注目して見守りたい。
次回は、中国で新たに制定された返品に関する法案など、ユーザーを守る、消費者保護法について紹介する。
※三級都市
14の沿海部の開放都市、経済が発達し且つ歳入の高い都市を指す。以下24都市が三級都市にあたる。
唐山(河北省)、秦皇島(河北省)、淄博(山東省)、煙台(山東省)、威海(山東省)、徐州(江蘇省)、連雲港(江蘇省)、南通(江蘇省)、鎮江(江蘇省)、常州(江蘇省)、嘉興(浙江省)、金華(浙江省)、紹興(浙江省)、台州(浙江省)、温州(浙江省)、泉州(福建省)、東莞(広東省)、恵州(広東省)、佛山(広東省)、中山(広東省)、江門(広東省)、湛江(広東省)、北海(広西チワン族自治区)、桂林(広西チワン族自治区)
※四級都市氏
人口が100万人以上の都市、重点経済都市を指す。以下18都市が四級都市にあたる。
邯鄲(河北省)、鞍山(遼寧省)、撫順(遼寧省)、吉林(吉林省)、斉斉哈尓(チチハル、黒竜江省)、大慶(黒竜江省)、包頭(内モンゴル自治区)、大同(山西省)、洛陽(河南省)、濰坊(山東省)、蕪湖(安徽省)、揚州(江蘇省)、湖州(浙江省)、舟山(浙江省)、漳州(福建省)、株州(湖南省)、潮州(広東省)、柳州(広西チワン族自治区)
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