前回は、中国ECサイトが1年で最大の売上を記録する「独身の日」について紹介した。
中国のネットショッピング市場が急速に拡大する一方、様々な問題も勃発している。中でも返品に関するトラブルが著しく、中国政府は返品トラブルを避けるための新たな制度を制定した。今回はユーザーを守る、消費者保護法について紹介する。
2014年3月15日に、中国の消費者を守る制度「新消費者権利保護法」が制定された。中でも最も注目されている項目が、「7日以内の自由返品」といったものだ。
これは、インターネットやテレビ、電話、カタログから注文した商品であれば、商品が気に入らないなど、どんな理由でも7日以内なら返品できる制度である。ただし、(1)特注品、(2)生鮮食品、(3)オンラインダウンロードコンテンツや開封したCD・DVD・PCソフトなどのデジタルコンテンツ、(4)新聞や定期刊行物の4分類は返品対象外となる。
ネットショッピング大手の「天猫(TMALL.COM)」や「京東(JD.COM)」などは、15日以内の自由返品制度などをすでに独自で実施しているが、国が制定したことで、すべての事業者が返品対応の対象となった。7日以内の自由返品では、消費者が商品を受け取った翌日を1日目として計算し、最終日の7日目が土日祝日の場合、その翌日を7日目としている。
国が返品に関する制度を制定したにも関わらず、ネットショッピングのトラブル件数は相変わらず減少しない。5つの主要都市(北京、上海、南京、杭州、広州)のネットショッピング相談センター宛てに、本制度の制定から3カ月弱で、2万7000件の苦情が寄せられた。このうち53.69%が「7日以内の自由返品」に関する相談で、特にモバイルと家庭用家電、PC・アクセサリという、比較的単価の高い商品に関する苦情が多い。ネットショッピング市場規模の拡大に伴い、相談件数が増加している。
この法案は対象外商品を各サイトが個別に追加することが可能である。そのため、ネットショッピング大手の「1号店(yhd.com)」は規定の4項目に加え、食品(飲料、健康食品、薬品、酒類、粉ミルク、離乳食など)、高額装飾品(ジュエリー、貴金属、時計など)、スキンケア用品、デジタルコンテンツを対象外としている。天猫は、格安ホテル・旅館やツアー、映画チケット、ジュエリー、酒類、薬品、デリバリー食品など、30種類以上を返品の対象外としている。
また、ECサイト各社は、返品による利益の損失以外にも、模造品制作を目的とした悪用を危惧している。悪質事業者が、消費者を装い商品を購入し、そのデザインや仕様などをコピーした後に返品する事例も多くあるらしく、そういった事業者を事前に阻止するためにも、各社返品に条件をつけている。
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