桁外れなのは投資額だけではない。MetaのCEOマーク・ザッカーバーグが思い描く未来では、たった1つのデータセンターがマンハッタンの街を丸ごと覆うかのような規模になるという。
GoogleやMetaといった巨大テック企業にとって、AIの開発は社運をかけた挑戦だ。両社はAIを動かすために必要な、電力消費の激しいデータセンターの建設に莫大な資金を投入している。
火曜日、Googleは米国最大規模の電力網「PJMインターコネクション」に接続するデータセンターやAI向けインフラ設備に、250億ドル(約3兆5000億円)を投じると発表した。PJMインターコネクションは米東部の13州にまたがる巨大な送電網で、新設される施設群はペンシルベニア州とその周辺地域に展開されるという。
さらにGoogleは、急激に増える電力需要をまかなうため水力発電にも30億ドル(約4200億円)を追加投資する。この再生可能エネルギーへの投資は、同社が掲げる「2030年までに完全カーボンフリーを達成する」という目標を後押しするものだ(Metaもまた同様に、2030年までにネットゼロ排出を目指している)。
「いまや、信頼性が高くて安価で、なおかつ十分な電力が得られる場所の近くにデータセンターを建てようと、各社が競い合っている」と話すのは、カーネギーメロン大学ハインツ・カレッジで経営科学と情報システムを教えるラマヤ・クリシュナン教授だ。
ChatGPTやGoogleの「Gemini」、Meta AIなど生成AIツールの登場によって、データセンターに求められる処理能力はこれまで以上に急激に増えている。写真共有や映画のストリーミングといった日常的なクラウドサービスを支えるのも、同じデータセンター群だ。
クリシュナン教授はこう語る。「データセンターはAIを生み出し、社会に送り届けるために欠かせない巨大な工場のようなものだ」。
Googleは世界中に数十のデータセンターを展開している。そんな中、今回の発表は、ちょうどトランプ大統領がピッツバーグのカーネギーメロン大学で開かれるエネルギーサミットに出席し、AI投資について語るタイミングと重なった。
一方、月曜日にはMetaのザッカーバーグCEOが、究極的な目標である「超知能」を実現するために、今後「数千億ドル規模」の投資を行うと宣言している。
ザッカーバーグ氏によると、Metaは現在、複数のギガワット級クラスターを建設中だ。第一弾となる「プロメテウス」は2026年の稼働を予定。続いて建設される「ハイペリオン」は、今後数年で最大5ギガワットまで拡張可能な設計だという。さらに、今年の初めにはルイジアナ州で建設中の2ギガワット規模の施設も発表された。
これらはもはや想像を超えた巨大さだ。ザッカーバーグ氏はThreadsへの投稿で、たった1つのデータセンターが「マンハッタンのかなりの面積を占めるほど広大になる」という驚きの青写真を示した。
こうした大規模データセンターが建設されることで、地域には新たなチャンスと同時に課題ももたらされる。
最近行われた調査では、米国人の約70%が自宅の近くにデータセンターができても気にならず、「むしろ地域に良い影響があるのでは」と期待を寄せている。一方、建設に反対する人々がもっとも懸念しているのは、電力消費の増加、騒音公害、不動産価値への影響だった。
クリシュナン教授もこうした両面を指摘する。エネルギー供給が十分でない地域では、データセンターが電力料金を押し上げる可能性があるほか、大量の水資源を消費することも環境への影響が懸念される。しかし一方で、「データセンターを中心に様々な関連企業が集まるエコシステムが形成されれば、地域の雇用が生まれ、経済が活性化するという明るい側面もある」と語っている。
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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