前回は、中国ECサイトにおける新たな返品サービスについて紹介したが、今回は国をあげての越境EC対策、ならびにO2Oブームの到来に関して紹介する。
海外のECサイトから商品を購入したり、海外にいながら中国のECサイトから商品を購入したりするネットショッピングユーザーが増えているが、これらの国際取引のことを「越境EC」と呼ぶ。
中国政府機関が越境EC産業に注力しているため、昨今、市場が急速に拡大している。2013年における、中国越境ネットショッピングユーザーの利用金額は351億9000万ドル(約3兆5000億円)に達し、世界2位を記録したが、2018年には現在1位の米国に倍の差をつけ、首位になる見通しだ。
現在、中国政府は「支付宝(Alipay)」や「財付通(TENPAY)」など、17の第三者決済事業者に越境ECの決済ライセンスを交付している。決済事業者が外貨の一連取引を上限内で代行するため、個人販売者でも海外への販売を容易に行うことができる。ユーザーは、VisaやMasterCardを必要とせず、人民元での決済が可能で、ネットショッピング以外にも、留学費用や宿泊費、航空券などの支払も可能となるため、今後、市場はますます拡大していく見通しだ。
中国のECサイトでは、オープンプラットフォームの動向が強まっている。ECサイト大手の「京東(JD.COM)」や「苏寧易購(suning.com)」なども、オープンプラットフォーム化することで、決済や物流、カスタマーサポートなど一連のサービスを担い、収益を得ている。
京東はもともと、コンピューター、通信機、電子機器を販売するサイトだったが、現在は電機製品から日用品まで取り扱う、総合百貨サイトに変貌を遂げている。また、京東が自社で物流/配送、クラウドサービス、販促、ERPなど一連のサービスを所有しているため、加盟店はEC展開時に必要なこれらのサービスを一括で導入できる。
特に物流においては、夜間便や快速便などのオプションメニューまで揃っているため、他社との差別化を図りたい加盟店に人気である。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス