この連載では、企業でのアプリのプロモーション活用から、スマートフォン広告で重要な位置を占めるテクニカルな運用型広告、メディアやアプリ・マーケットなどの市場環境を含め、“デジタルマーケティングの今”をお伝えする。
前回は韓国のスマートフォンゲーム市場で勝ち残るためのコツをお伝えした。今回は台湾のゲーム市場の特徴について語ってみたい。
台湾はスマートフォンの普及率が50%を超えている。これは日本とほぼ同じ水準だ。2014年春、台湾でもLTEサービスが始まった。台湾最大手の移動体通信事業者である中華電信が5月30日より、台湾では初となるLTEサービスを提供している。続いて遠傳電信(Far EasTone)は6月3日、台湾大哥大(Taiwan Mobile)は6月4日にLTEサービスを開始。台湾の3大移動体通信事業者は早くもLTE対応スマートフォンを投入し、LTE時代の競争を繰り広げている。
これまでは3Gがメインだったが、通信インフラは比較的整っていて、台北市内であればWi-Fiは日本同様に普及している印象だ。
この1年ほどで台湾の市場は急速に伸びた。台湾の人口は2300万人しかいないが、Google Playのストアランキングでは、1位が日本、2位が韓国、3位が米国、4位を争うのが台湾とドイツとなっている。台湾はヨーロッパ勢と争っていて、英国などはすでに抜いている。9位前後に位置する香港も台湾と同じ繁体字圏であることから、繁体字マーケットは魅力的な市場といえる。そこでD2Cでは台湾に非常に注目している。マネタイズ効率に期待しており、支社であるD2C台湾とも協力しながら、まもなく最初のゲームをリリースする予定だ。
台湾の市場の特徴を見てみると、売上比率ではGoogle Playが85%と圧倒的だ。その背景としてHTCという大手企業の存在がある。台湾でも一番売れている端末はやはりGALAXYなのだが、2番目に売れているのがHTCだ。これに加え、現在は中国のXiaomi(小米)の人気も高い。
そんな台湾の最大の特徴は、日本とは異なるペイメントの仕組みにある。日本の場合、Android端末での決済は、Google Walletかキャリア決済を利用するが、台湾はプリペイドカード利用比率が非常に高い。また、クレジットカードを保有していない人や、保有していても登録したくない人が多い。
日本では考えにくい状況だが、Google Play経由だけではなく、アプリの公式サイトおよびゲーム紹介サイトなどから直接APKファイルをインストールすることにより、このペイメントの仕組みを実現している。PCオンラインゲームの時代からペイメントはプリペイドカードが主流だった。その背景には、流通網が整備されている状況がある。
たとえば、セブン-イレブンの普及率が日本より高い。人口が2300万人に対して、セブン-イレブンの店舗数は5000店舗を超えている。1人当たりのセブン-イレブンの店舗数は、日本の倍近くになる計算だ。もちろん2位のファミリーマート、その他のコンビニエンスストアもある。コンビニ内で陳列されたプリペイドカード、マルチコピー機でも購入できる。小学校や中学校の近くの売店でも、文房具と一緒にプリペイドカードを売っている。プリペイドカードは少額からあるので、入学祝いなどでもプリペイドカードをもらい、それをゲームに使うという文化が定着しているようだ。
そのため、その状況を知らずに決済をクレジットカードだけで考えていると、台湾では課金が十分に機能しない事態に陥ってしまう。プリペイドカードの大手は2社だが、そこと提携することがまず大切だ。
ちなみにその2社とは、1位がmycardで、2位がGASH+だ。この2社と連携することで、9割近くの台湾のプリペイド利用ゲームユーザーにリーチできるといわれている。日本の特徴はキャリア決済が普及していることだが、日本と同じ水準でキャリア決済が進んでいるのはアジアでは韓国しかない。各国の“お国事情”を熟知しないと、想像できないところで失敗することになりかねない。
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