モノのオンライン化で拡大する「M2C」--KDDIが描くソリューションの未来 - (page 2)

モノのオンライン化で拡大するM2Cビジネス

 有泉氏は、2020年を見据えたソリューションの価値についても語った。2020年の日本では65歳以上が3割を占めるなど少子高齢化・人口減少が進み、単身の高齢者も増加すると予測。一方で、モバイルネットワークは5Gの登場で高速化が進み、ウェアラブルデバイスやスマートメーターが拡大するなど、人だけでなく、モノや機械もオンライン化すると見ている。

 さらにもう1つ、Bluetoothを使い、省電力で小容量の情報を送信できるBeaconが急速に広まり、エコシステム化するとも予測。そうしたことから、人だけでなくモノもソーシャルに加わるとともに、顧客のタッチポイントが変化しソリューションモデルはB2B2Cから、機械とコンシューマ、すなわち「M2C」へと拡大するのではないかと、仮設を立てた。

 M2Cを見据えた事例として有泉氏は、東京・渋谷で実施している、海外からの観光客利用も見据えた地下空間の歩行者3次元ナビゲーションのトライアル事例を紹介した。これは国土交通省や東京都のほか、KDDIなど通信キャリアや鉄道会社などが参加して実施されている実証実験で、渋谷の地下街などに、現在の場所を示すBeaconを設置し、それを元にARを使って3Dでの道案内をしてくれるというものだ。

  • 今後は人だけでなくモノのインターネット接続が進んでいくと予測

  • 東京・渋谷で実施されている、Beaconを用いた3次元ナビゲーションのトライアル事例も示された

  • 企業のソリューションは人やモノと直接つながり、生活に寄り添う価値を与えるものになるとのこと

 地下や建物の中では、緯度経度の情報よりも“場所”の情報が重要になることから、Beaconからは現在の場所を示す情報を発信。受信した情報を元に、スマートフォンでどの場所に行きたいか道案内をする仕組みになっているという。有泉氏は「数百円程度で購入できるBeaconを街中に設置し、位置情報を送る。それだけでもバリアフリーという価値を作ることができ、M2Cのバリューを生む源泉になる」と、その可能性を力説した。

 最後に有泉氏はライフスタイルの将来について触れ、さまざまな統計から「多くの人がバーチャルを求めると思ったら逆で、現実世界のふれあいや体感を重視したいと感じている」と説明。そうした仲間や相談相手を求める上でも、B2B2CやM2Cによるソリューションの提供が重要になってくるとのこと。「2020年のプラットフォームは、コンシューマーユーザーの体験価値を広げるドライバーになり、それが企業の価値を創っている。KDDIはそういう価値を提供できるプロバイダになりたい」と話し、講演を締めくくった。

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