モバイルやワイヤレスに関する展示会イベント「ワイヤレスジャパン2014」。初日となる5月28日には、KDDIのソリューション事業本部 ソリューション推進本部 理事 ソリューション推進本部長である有泉健氏が「第3のプラットフォームが生み出した新しいソリューションの価値」と題した講演を実施。B2BからB2B2C、さらにM2Cへと変化するソリューション事業の在り方について語った。
有泉氏は講演の冒頭、今回の大きなテーマとなる「第3のプラットフォーム」について説明。第3のプラットフォームは「モビリティ」「クラウド」「データアナリスティクス」「ソーシャルビジネス」という、近年話題となっている4つの要素から成り立つものであり、この4つが企業のソリューション事業に大きな変化をもたらすとしている。
中でも、コンシューマ市場に大きな影響を与えているのが、モビリティとソーシャルビジネス、特にSNSになるという。スマートフォンやタブレットなどスマートデバイスの普及率が50%を超え、若年層だけでなくシニア層にもタブレットが一定の広まりを見せていることから、ITに関する“アレルギー”も心配する必要がなくなっていると話す。
また、スマートデバイスのユーザーは、女性を中心としてSNSの利用傾向が非常に高いことも、大きな特徴になっているとのこと。「電子メールはソーシャルじゃないから使わないという傾向が起きていて、将来はその傾向がさらに顕著になるのでは」(有泉氏)。
こうした動きから有泉氏は、モビリティとSNSによってコンシューマのタッチポイントが大きく変化し、企業ソリューションの形にも変化が出てきていると話す。従来のソリューションの価値は、企業の業務上の価値を追求すること、すなわちB2Bの取り組みが重要だった。しかし、SNSの台頭でコンシューマにまで対象が広がり、B2B2Cにまで守備範囲が広がっているというのが、有泉氏の考えだ。
そのため、KDDIでは東日本大震災以降を契機として、どこでも働ける環境を実現する取り組みを進め、さまざまな業務シーンで最適なコミュニケーション手段を選択できる社内向けのソリューションを実現したとしている。たとえば顧客へ営業をかける際、従来であれば営業の専門外の課題は持ち帰って検討していた。しかし、モバイルデバイスを使って、その場で社内の専門家と会議をできるようにしたことで、課題をその場で解決できるなどスピーディな判断が可能になったという。
またB2B2Cの取り組みとして、有泉氏はソーシャルギフトの事例を挙げた。SNSを経由して住所が分からない人にもギフトを贈れるソーシャルギフトは、2020年には770億円規模の市場に成長すると予測。そこで、ソーシャルギフトの仕組みや決済などを提供するソリューション事業者と、商品を提供するリアル店舗、そして利用するコンシューマの三者がWin-Winの関係を築ける仕組みを提案した。
実際、KDDIでもクーポンに依存した従来型のO2Oではなく、ギフトという慣習を活かしてSNSで拡散し、リアル店舗にも集客をもたらすユーザーホスピタリティを上げるO2Oソリューションを提供していきたいとしている。
有泉氏は、出資しているソーシャルギフト事業者のギフティと共同で展開したソーシャルギフトキャンペーンの事例を紹介。利用者のうち67%が来店した実績から、SNSを活用したB2B2Cのソリューションが、コンシューマにも影響を与えると説明した。
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