2013年が終わりに近づくなか、Tim Cook氏は上機嫌である。Appleは2013年のホリデーシーズンにも、自社の製品とストアに多くの人が引き付けられることを証明した。新しい「iPhone」と「iPad」に対する繰延需要は再び満たされ、人々が欲しがる製品を提供する企業というAppleの評判が再確認された。その見返りとして、Appleの株価は12月に52週高値を記録している。
人々が欲しがるApple製品は、正確な設計と綿密なデザインが施され、大量生産されるが、最先端のテクノロジや最高の処理性能を備えたコンピューティングマシンではない。Apple製品よりも解像度が高く、多くの機能を備えた「Android」デバイスは数多く存在する。また、Appleは誰もが認める市場シェアリーダーではないし、それは同社の最優先事項ではない。
Appleは最初に画期的な製品を生み出して市場を支配した後、後続企業にシェアを譲り、多額の利益を生むニッチ市場を作り出す。自動車業界のBMWと同様に、Appleは市場全体をターゲットにすることは目指していない。Androidプラットフォームは現在、圧倒的な市場シェアを維持しており、米国以外の地域におけるシェアは特に高いが、サムスンを除けば、Android陣営の企業の利益は極めて少ないか、あるいは全くない。また、NetMarketShareの調査によると、Appleのモバイルプラットフォーム「iOS」は、モバイルインターネット利用のシェアで50%以上を占めているという。
Appleは2014年も製品更新サイクルを継続し、iPad、iPhone、「Mac」には、速度向上や軽量化、バッテリ持続時間の延長、センサの追加、アプリの改善といった漸増的な機能強化が施されるだろう。
2014年は2013年のような漸増的な改善だけの年にならないことを示すヒントもある。Appleは、iPadへの指紋センサ搭載、iPhoneとiPadのスクリーンの大型化やカメラの性能強化、R2-D2のような外観の強力な「Mac Pro」の出荷開始よりも、劇的で革新的なものを発表するかもしれない。
同社が市場を定義するような製品、すなわちiPadを発表してから、もう4年になる。当時、Steve Jobs氏は次のように述べていた。「iPadは、当社の最先端テクノロジを魔法のようで革命的なデバイスに詰め込んだ製品であり、驚きの価格で提供される。iPadは全く新しい製品カテゴリを創造し、定義する。それによって、今までよりはるかに身近で直観的、そして楽しい方法によって、ユーザーがアプリやコンテンツとつながれるようになる」
うわさによると、Appleは「最先端テクノロジを魔法のようで革命的なデバイスに詰め込んだ製品であり、驚きの価格で提供される」というような宣伝文句で売り出すことがようやく可能になる製品をいくつか開発中だという。同社が「iWatch」の開発に100人以上を投入したとの報道もある。同社は世界中でiWatchという商標を登録しており、「wrist」(手首)という単語を含む特許を79件出願している。
Appleは同社のいつもの製品戦略を踏襲しており、他社に追随して性急に市場に参入することは避けている。Pebble、サムスン、ソニー、Martian、Fitbit、Basis、Neptune、MetaWatch、Qualcommは既にスマートウォッチを手がけており、LGやGoogle、さらにはDellまでもが同様の製品を開発中と言われている。今のところ、どの企業もヒット製品を生み出せていない。Appleは、iWatchが「iPod」、iPhone、iPadと同じパターンを再現することを期待している。つまり、そのカテゴリで最初の製品ではないが、市場を再定義し、最初の普及段階で市場を支配するような製品になることを望んでいる。
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